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孫に、当時を思い出し語る。
1☆猛スピード恋愛結婚
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流花と明綛は夫婦の盃を飲む。
そしてほっとして二人は見つめて微笑む。
「全く…迷惑かけおって…」
晴綛は腕を組んでフーッとため息を吐く。
晴綛はなんとか、二人の結婚式を急遽行い、体裁をととのえたが、やはり流花の親族は誰一人来なかった。
流花の家のものが一人も来ない理由は明白だ。
流花は宮中で働く内掌典で同じく同じ職場で働く従兄弟の許嫁だった。
濃い血筋でもっと神を宿らせる子が出来ることを期待されていた。
それは、日和国を治める祝皇陛下にもっと神のお言葉を正確に伝える役目が必要だからだ。
本来なら巫女ならば男と結ばれず一生を過ごすのが生業だったが、当時は『大昇』の時代男女対等になりつつあり陛下も不穏な時代には珍しく理解のあるお方だった。
だが世間はそれは許されない時代でもあったが、巫覡同士の結婚ならば良い血筋が、紡がれると思うのが、世の常だった。
血筋、異能の能力には問題はなかったか、二人は一目惚れで恋に落ち、一夜を共に過ごし、孕ってしまう前代未聞の今で言えばスピード結婚だ。
(呆れを通り越して関心までしてしまうわ……)
晴綛は二人の様子を少し恨みがましく見つめてしまう。
☆☆☆
当時は恋愛で結ばれるなんて稀なことで結婚とは家同士でするものだった。
流花は許嫁のことは、男として意識していなくて、決められたことに従うだけだと思っていたが、明綛に惚れて宮中から身をくらました。
晴綛はイライラしていた。
家名の恥とは思わないが、一言も相談されなかった事にもどかしさを感じる。
たった二人の兄弟で親戚など、亡き妹が嫁いだ香茂家のみだ。
阿部野家の存続も危ないのに家長でいる兄の明綛が行方不明なのである。
陰陽の狐の化身と言われ、香茂家の者のように二人だけしか通じないテレパシーを通じることができた。
行方が不明なのと掌典寮の嫌味をぐちぐち言われて危うく宮中で刃傷沙汰起こす寸前まで行った。
友として仲良くしていた亀裂さえ植え付けられ、すべて自分に責任が押し付けられる理不尽さにもイライラの原因だった。
「宮中でそんなにイライラするものではない、我々の本職を忘れたか?」
当時陰陽寮長だった卜部帯斗は穏やかな人柄で優しく晴綛を宥める。
「本業……?」
晴綛は腕を組み首を左に傾けて考える。
魑魅魍魎退治で、陛下の御命を狙うものを葬る仕事……それは、黒御足に付き合わされてる仕事で…本来の仕事……
「はっ!怒りのあまりわすれておった!」
晴綛は狐耳と尻尾をピン!立てて目を見開いた。
「忘れて、陰陽寮で殺気を帯びて彷徨かれてはかなぬぞ。」
そう忠告する陰陽寮長の帯斗は緋扇を開いてため息を吐く。
「今の役目は宮中厳重見回りの審神者の役目を兼任されてて忘れてました。ははは…猛省いたします…ぐすん。」
晴綛はわざとふざけたように言った。
代々陰陽寮職員ではあるのに己の体たらくに頭をかいて反省する。
「将来の陰陽寮は先が思いやられるの。お前たち二人にかかっておるのに…」
帯斗はため息を吐いた。
「そんな小言は兄に言ってやってください!もう私が身代わりになるのはゴリゴリなんです。」
晴綛は本気の涙目だった。
さらに声まで涙声で哀れになる。
まだ、怒りを表していた方がマシだったと思うほどだ。
「確かにの。早速奴らの行方を陰陽寮長直々に占ってやろう。西洋から取り入れたタロットとなる札の占術を試してみたくての」
帯斗はそう言って楽しそうにタロットカードを展開させた。
宮中の裏鬼門の方角、阿部野屋敷と結果が出た。
「占いの報告待ってるぞ。これは外回りの仕事として報告してやるからな」
陰陽寮長はそう言って情緒不安定で妖気を放つ晴綛を宮中から追い出した。
そしてほっとして二人は見つめて微笑む。
「全く…迷惑かけおって…」
晴綛は腕を組んでフーッとため息を吐く。
晴綛はなんとか、二人の結婚式を急遽行い、体裁をととのえたが、やはり流花の親族は誰一人来なかった。
流花の家のものが一人も来ない理由は明白だ。
流花は宮中で働く内掌典で同じく同じ職場で働く従兄弟の許嫁だった。
濃い血筋でもっと神を宿らせる子が出来ることを期待されていた。
それは、日和国を治める祝皇陛下にもっと神のお言葉を正確に伝える役目が必要だからだ。
本来なら巫女ならば男と結ばれず一生を過ごすのが生業だったが、当時は『大昇』の時代男女対等になりつつあり陛下も不穏な時代には珍しく理解のあるお方だった。
だが世間はそれは許されない時代でもあったが、巫覡同士の結婚ならば良い血筋が、紡がれると思うのが、世の常だった。
血筋、異能の能力には問題はなかったか、二人は一目惚れで恋に落ち、一夜を共に過ごし、孕ってしまう前代未聞の今で言えばスピード結婚だ。
(呆れを通り越して関心までしてしまうわ……)
晴綛は二人の様子を少し恨みがましく見つめてしまう。
☆☆☆
当時は恋愛で結ばれるなんて稀なことで結婚とは家同士でするものだった。
流花は許嫁のことは、男として意識していなくて、決められたことに従うだけだと思っていたが、明綛に惚れて宮中から身をくらました。
晴綛はイライラしていた。
家名の恥とは思わないが、一言も相談されなかった事にもどかしさを感じる。
たった二人の兄弟で親戚など、亡き妹が嫁いだ香茂家のみだ。
阿部野家の存続も危ないのに家長でいる兄の明綛が行方不明なのである。
陰陽の狐の化身と言われ、香茂家の者のように二人だけしか通じないテレパシーを通じることができた。
行方が不明なのと掌典寮の嫌味をぐちぐち言われて危うく宮中で刃傷沙汰起こす寸前まで行った。
友として仲良くしていた亀裂さえ植え付けられ、すべて自分に責任が押し付けられる理不尽さにもイライラの原因だった。
「宮中でそんなにイライラするものではない、我々の本職を忘れたか?」
当時陰陽寮長だった卜部帯斗は穏やかな人柄で優しく晴綛を宥める。
「本業……?」
晴綛は腕を組み首を左に傾けて考える。
魑魅魍魎退治で、陛下の御命を狙うものを葬る仕事……それは、黒御足に付き合わされてる仕事で…本来の仕事……
「はっ!怒りのあまりわすれておった!」
晴綛は狐耳と尻尾をピン!立てて目を見開いた。
「忘れて、陰陽寮で殺気を帯びて彷徨かれてはかなぬぞ。」
そう忠告する陰陽寮長の帯斗は緋扇を開いてため息を吐く。
「今の役目は宮中厳重見回りの審神者の役目を兼任されてて忘れてました。ははは…猛省いたします…ぐすん。」
晴綛はわざとふざけたように言った。
代々陰陽寮職員ではあるのに己の体たらくに頭をかいて反省する。
「将来の陰陽寮は先が思いやられるの。お前たち二人にかかっておるのに…」
帯斗はため息を吐いた。
「そんな小言は兄に言ってやってください!もう私が身代わりになるのはゴリゴリなんです。」
晴綛は本気の涙目だった。
さらに声まで涙声で哀れになる。
まだ、怒りを表していた方がマシだったと思うほどだ。
「確かにの。早速奴らの行方を陰陽寮長直々に占ってやろう。西洋から取り入れたタロットとなる札の占術を試してみたくての」
帯斗はそう言って楽しそうにタロットカードを展開させた。
宮中の裏鬼門の方角、阿部野屋敷と結果が出た。
「占いの報告待ってるぞ。これは外回りの仕事として報告してやるからな」
陰陽寮長はそう言って情緒不安定で妖気を放つ晴綛を宮中から追い出した。
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