5 / 14
4☆再会
しおりを挟む
モヤモヤする……
榊誠を諦められない……
思い出すと胸が痛い……
初恋はこんなにも忘れられないものなのか……?
私はモヤモヤした気持ちを抱きながらバイクを走らせる。
まだ肌寒い春分前日の三月の冷たさでもっと心が冷静にならないものかという思いでバイクを叔母の異界の温泉旅館に向けて走らせる。
翌日は休みだ。誰に咎められることもない。
冷やした頭と体を温泉の温かいお湯で溶かして恋心も溶けて仕舞えばいい……
そんな詩的なことを思いながら目的地を目指す。
私、緒丹子の後ろを一台のバイクが追い抜いた。
突然のことに私はキョトンとする。
「な、なんだと!この私を抜かすとは!」
私の走りがノロノロして邪魔だと言うことか⁉︎
「いい度胸じゃねえか!」
私はエンジンを吹かしてスピードを上げ、横に並ぶ。
相手はヘルメットをしているために顔は見えないが、こちらを見て己のヘルメットを指差す。
その行為が、
《おまえ、頭大丈夫か?》
と、ジェスチャーした様に感じて、私はキレる。
「ふざけんじゃねぇぞ!テメェぇッ!」
相手のバイクを横蹴りしてやった。
相手は揺らいで倒れそうになるのを堪える。
また、横につけて峠を指す。
「スピードを勝負してぇのか?」
相手は頷いた。
「おもしれぇ!峠に着いたらテメェの面拝ませてもらうから覚悟しろや!」
うんうんと、相手は頷く。
私はヘルメットをしていなく、声は元来デカい。
なので私の言っている言葉が相手に伝わるのだろう。
バイクレースになり峠を越えたところまでが勝負の決着だと、言葉は交わさずともそう互いに理解した。
目印は赤い自販機だ。
「スタートだ!」
私はさらにバイクにスピードをつけ走る。
私はバイクの走りに自信がある。
喧嘩相手のバイクなど抜いては先回りしてボコ殴りにして来た。
地獄にもバイクを乗り回して逃げる亡者どもをひっとらえることもして活躍しているのだ。
あの世でも現世でも私に勝てるものなどいないと自負している。
それほどすごい才能を開花させたのは失恋だ。
失ったものを補う様に強くなったのだ。
その失恋相手のことを想って走っているのに邪魔するこいつは刑罰決定だ。
どうやってボコボコにしてやろうかと思いながら峠までバイクを走らせる。
「勝った!」
と想った瞬間、スッと抜かされた。
最後の最後で抜かしてバイクを半回転させて止める。
そして、ヘルメットを取ると恋焦がれたイケメンが現れた。
「勝ったのは僕だよね?」
柔和に微笑むその顔は変わらず優しげで胸を打つ。
「さ、榊誠さ、ん?」
自販機の前でバイクを降りて止まっていた人は初恋の人だった。
「やっぱり緒丹子ちゃん?綺麗になったね。そんな綺麗な顔を守るためにもヘルメットはしなきゃ、め!だよ!」
子供にするような怒り方は懐かしい。
「ふぁ、ふぁい!今度からヘルメット被りましゅ!」
嬉しさのあまり言葉の羅列が回らず素直に言うことをきいてしまった。
忘れようとした恋心に胸の音がドキドキと再び鳴り始めた。
それは叶わぬ恋だと言うのに……
ずっと会いたかった誠さんの顔を見ると涙で目の前が滲む。
「泣いちゃ、めっ!だよ?」
そう言って涙を拭う優しさも何もかもやっぱり好きなのだ………
榊誠を諦められない……
思い出すと胸が痛い……
初恋はこんなにも忘れられないものなのか……?
私はモヤモヤした気持ちを抱きながらバイクを走らせる。
まだ肌寒い春分前日の三月の冷たさでもっと心が冷静にならないものかという思いでバイクを叔母の異界の温泉旅館に向けて走らせる。
翌日は休みだ。誰に咎められることもない。
冷やした頭と体を温泉の温かいお湯で溶かして恋心も溶けて仕舞えばいい……
そんな詩的なことを思いながら目的地を目指す。
私、緒丹子の後ろを一台のバイクが追い抜いた。
突然のことに私はキョトンとする。
「な、なんだと!この私を抜かすとは!」
私の走りがノロノロして邪魔だと言うことか⁉︎
「いい度胸じゃねえか!」
私はエンジンを吹かしてスピードを上げ、横に並ぶ。
相手はヘルメットをしているために顔は見えないが、こちらを見て己のヘルメットを指差す。
その行為が、
《おまえ、頭大丈夫か?》
と、ジェスチャーした様に感じて、私はキレる。
「ふざけんじゃねぇぞ!テメェぇッ!」
相手のバイクを横蹴りしてやった。
相手は揺らいで倒れそうになるのを堪える。
また、横につけて峠を指す。
「スピードを勝負してぇのか?」
相手は頷いた。
「おもしれぇ!峠に着いたらテメェの面拝ませてもらうから覚悟しろや!」
うんうんと、相手は頷く。
私はヘルメットをしていなく、声は元来デカい。
なので私の言っている言葉が相手に伝わるのだろう。
バイクレースになり峠を越えたところまでが勝負の決着だと、言葉は交わさずともそう互いに理解した。
目印は赤い自販機だ。
「スタートだ!」
私はさらにバイクにスピードをつけ走る。
私はバイクの走りに自信がある。
喧嘩相手のバイクなど抜いては先回りしてボコ殴りにして来た。
地獄にもバイクを乗り回して逃げる亡者どもをひっとらえることもして活躍しているのだ。
あの世でも現世でも私に勝てるものなどいないと自負している。
それほどすごい才能を開花させたのは失恋だ。
失ったものを補う様に強くなったのだ。
その失恋相手のことを想って走っているのに邪魔するこいつは刑罰決定だ。
どうやってボコボコにしてやろうかと思いながら峠までバイクを走らせる。
「勝った!」
と想った瞬間、スッと抜かされた。
最後の最後で抜かしてバイクを半回転させて止める。
そして、ヘルメットを取ると恋焦がれたイケメンが現れた。
「勝ったのは僕だよね?」
柔和に微笑むその顔は変わらず優しげで胸を打つ。
「さ、榊誠さ、ん?」
自販機の前でバイクを降りて止まっていた人は初恋の人だった。
「やっぱり緒丹子ちゃん?綺麗になったね。そんな綺麗な顔を守るためにもヘルメットはしなきゃ、め!だよ!」
子供にするような怒り方は懐かしい。
「ふぁ、ふぁい!今度からヘルメット被りましゅ!」
嬉しさのあまり言葉の羅列が回らず素直に言うことをきいてしまった。
忘れようとした恋心に胸の音がドキドキと再び鳴り始めた。
それは叶わぬ恋だと言うのに……
ずっと会いたかった誠さんの顔を見ると涙で目の前が滲む。
「泣いちゃ、めっ!だよ?」
そう言って涙を拭う優しさも何もかもやっぱり好きなのだ………
0
あなたにおすすめの小説
『愛が切なくて』- すれ違うほど哀しくて
設楽理沙
恋愛
砂央里と斎藤、こじれてしまった糸(すれ違い)がほどけていく様子を描いています。
◆都合上、[言う、云う]混合しています。うっかりミスではありません。
ご了承ください。
斉藤准一 税理士事務所勤務35才
斎藤紀子 娘 7才
毒妻: 斉藤淳子 専業主婦 33才 金遣いが荒い
高橋砂央里 会社員 27才
山本隆行 オートバックス社員 25才
西野秀行 薬剤師 22才
岡田とま子 主婦 54才
深田睦子 見合い相手 22才
―――――――――――――――――――――――
❧イラストはAI生成画像自作
2025.3.3 再☑済み😇
籠の鳥〜見えない鎖に囚われて✿❦二人の愛から…逃れられない。
クラゲ散歩
恋愛
私。ユリアナ=オリーブ(17)は、自然豊かなオータム国にあるグローパー学院に在籍している。
3年生になって一ヶ月が経ったある日。学院長に呼ばれた。技術と魔術の発展しているフォール国にある。姉妹校のカイト学院に。同じクラスで3年生の男子3名と女子3名(私を含め)。計6名で、半年の交換留学をする事になった。
ユリアナは、気楽な気持ちで留学をしたのだが…まさか学院で…あの二人に会うなんて。これは…仕組まれていたの?幼い頃の記憶。
「早く。早く。逃げなきゃ。誰か〜私を…ここから…。」
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる