【GunSHOP】スキルで銃無双

カロ。

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35.お嬢様

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35.お嬢様

















坑道内に響く戦闘音を頼りに小走り程度のスピードで進んでいく【気配探知】にはまだ引っかからないので少なくとも100メートル以上は離れている。

音が反響して分かりにくいが何となく勘で進んでいく。



「ん?」



【気配探知】に人の気配を捉えた、進んでいる方向から来ているのでさっきの戦闘音を出していたパーティかそれに気づいて逃げているパーティか。

【気配探知】によると4人が前から来ている。



「~~!~~~!?」



何やら言い争いをしながら逃げてきているようで話し声が聞こえてくる。



「おい!いいのかよ!?」



「しょうがねえだろ!あれはどうしようもねぇ!」



「うるせぇ!喋ってねぇで走れ!」



見えてきたのは薄汚れた格好をした男が4人、2人は言い合いをしていてそれをリーダー格と思われる人物が怒鳴っていて最後の1人は黙って走っている。



「っ!邪魔だどけ!」



このままだと正面衝突しそうだったので慌てて避ける。



「須藤さん!みられちまったよ!どうすりゃいいんだよ!」



「名前だすんじゃねボケが!黙って走れ!」



4人は俺のそばを猛ダッシュで駆け抜けていきすぐに見えなくなっていった。



「今の人達は………」



先ほどよりも小さくなった戦闘音、恐らく戦っている人の数が減ったのだろう。それにさっきすれ違った人達の発言を考えると。



「まずいな」



移動速度を上げて走り抜けていく。そこまで広くない坑道内を右に左にと音を頼りに、途中からは【気配探知】に姿を捉えたのでそれを頼りに走っていく。



走りにくいがすぐに戦闘に入れるようにアサルトライフルを胸の前で構えて走る。



「みえたっ!」



手前に倒れ込んでいる人が1名、それをかばう様に戦闘をしている人が1名。

その姿はボロボロで今にも倒れそうなほどだ、破れた防具に肩で大きく息をする姿はやく介入しないとやばそうだ。



戦闘している人の前にはぎゅうぎゅうにつまった『ドワーフ』の群れ、つまり過ぎて何体いるかもわからない。



「救援入ります!下がって!」



「っ!助かる!」



倒れている人の盾となっていた女性と入れ替わり前にでて〝アサルトライフルCharlie〟で掃射する。

もはやどこを撃っても当たる状態だが出来るだけ手前のを倒していく。



手前のを倒して余計に詰まらせてこっちに近づけないようにしていく。



「もっと下がって!」



チラッと後ろを見ると先ほど戦っていた女性が倒れていた人の傍で待機していたのでもっと下がってもらう。



【気配探知】で少なくとも後ろには敵が来ていない事が分かっている。



『ドワーフ』の群れが詰まって動けなくなったのを確認して俺も下がる、十分に距離を保てたのをみて手榴弾を1つ投げ込む。



後ろの2人をかばう様に前に立ち手榴弾の爆発に備える。



「っ!」



「ぐっ!」



大きな音が響き『ドワーフ』の群れが爆散する、その間にリロードを済ませて倒しきれていない場合を想定する。



「後3匹か」



爆発がおさまると立っている『ドワーフ』は3匹だけだった、立っているといっても辛うじて、と付くような感じだ。

なので慌てず狙いを定め1発づつで倒していく。



「ふぅ、終わりましたよ。大丈夫ですか?」



【イーグルアイ】も使い全ての『ドワーフ』の輪郭が灰色になり死んでいるのを確認する。

それから後ろを振り返り改めて2人の様子を見る。



「あぁ、助かった………」



助かったと実感がわいて気が抜けたのかへなへなと座り込んでしまった。



助けた2人はどちらも女性で、先ほどまで戦っていたのは身長が180を越えそうなほどの長身でその体は鍛えられているのか筋肉がむちっとしている。

急所を守る様に防具を付けており肌の露出は多いがその恰好が似合っている。



そして未だに目を覚まさない倒れている女性だが、彼女の恰好はメイド服だ。なぜダンジョンでメイド服?と思うがもしかしたら見た目が特殊なだけでちゃんとした防具かもしれない。



ああいった一見コスプレにもみえる防具が宝箱から出る事があると聞いたことがある。



「取り合えず落ち着くにも外へ一旦出ましょうか、そこまで護衛しますよ」



「そうだな………迷惑をかける」



「いいえ、構わないですよ」



倒れている女性を背負ってもらいダンジョンの出口へと歩き始める。











◇  ◇  ◇  ◇











「お嬢様!!」



「お嬢様……?」



道中特に危険な場面も無く、無事にダンジョン外へと出てきたところで声が聞こえてきた。



前からものすごいスピードでやってくるのは執事服をきた白髪の男性、歳は50か60かそれぐらいだろうか。

結構歳がいってそうなのに年齢を感じさせない動きだ。



「爺や………」



爺や………お嬢様という言葉………あー、うん。何となく察した。



「お嬢様大丈夫でしたか!?護衛に付けた者がお嬢様を連れずに戻ったので何事かと心配しましたよ!」



「あぁ、その話はあとでまずはカレンを病院に連れて行こう頭を強く打っているんだ」



「カレン!すぐに病院へ行きましょう!」



お嬢様と呼ばれた彼女が背負っていたメイド服の女性を受け取ったかと思うとこれまたすごいスピードで走っていってしまった。



「バタバタとしてすまない、今回の礼がしたいので連絡先を教えてもらえるだろうか?」



「あーいや、助けたのは偶然なのでお礼とかいいですよ」



お礼をと言われたが明らかにややこしそうな立場の彼女とはこれ以上お近づきになりたくない。まぁ出来る事ならだけれど。



「しかし、それでは申し訳ないんだが………」



「お嬢様~~~~!病院に行きますよ!」



断られるのが意外だったのか言葉につまって一瞬2人の間に沈黙が続くと先ほどの執事さんの声が聞こえてきた。



「ほら、呼んでますよ」



「あぁ、もう!今度あったら絶対に礼をするからな!」



倒れていた女性を病院に連れて行かないといけないのと俺との問答に挟まれた彼女は少しいらだった様子でそれだけ言うと執事が乗って来たであろう車に乗って病院へと向かっていった。



「はぁ、今日は俺も帰るか」



予想外のイベントで気疲れした俺はそのまま今日の探索を終えて家へと帰る。



お礼を断ったのはちょっと申し訳ない気持ちともったいなかったかな?という気持ちがあるがそれ以上に面倒だったのでこれでよかっただろう多分。











◇  ◇  ◇  ◇











「地図によるとこれを越えた先かな?」



目の前に見えるのはお馴染みになってきたボス戦の扉。



あの日、お嬢様と呼ばれた女性を助けてから3日が経った。【ドワーフの鉱山】に籠り地図によるとこの先にミスリルの採れるポイントがあるはずだ。

その前にボス戦をしなくてはいけないが。



「まぁサクッと行こう」



倒すための用意は既にしてあるので扉を開けてボス部屋へと入っていく。



「おぉ………でかいなぁ」



ボス部屋にはいるとすぐに目に入ったのは大きな『ゴーレム』、石なのか鉄なのか見た目では分からないが四角いブロックがいくつも繋がってできた角ばった『ゴーレム』だ。



大きさは10メートルは超えるだろうか?かなりでかい。



ゴゴゴゴゴとどこからか音が聞こえて『ゴーレム』が動き出す、動きはゆっくりだが1歩あるくだけでここまで振動がくる。



「強そうだけど、俺にしてみればただの的なんだよな」



本来ならその頑丈な体は剣などの攻撃をはじき返しまともな武器じゃダメージも与えられないだろう。



そこで用意するのは〝徹甲榴弾〟を装填したアサルトライフルのマガジン。

事前に撃てる状態までにしてあるのでそのまま狙ってまずは1発、足を撃つ。



「お、ぉ、ぉ、ぉ、ぉ、おー振動がすごい」



〝徹甲榴弾〟が当たった『ゴーレム』の足はバラバラに破壊されて体勢を崩し倒れ込んでしまった、その際の振動で声帯が震えて意識せずともビブラートになってしまう。



倒れた『ゴーレム』を見て見ると壊れた足が少しずつ修復されていているのが分かる。

飛び散った破片が生き物のように足に集まってきている。



まぁこのまま放置しても問題ないんだけどさっさとボス戦を終わらせたいので続けて〝徹甲榴弾〟を撃っていく。



胴体に1発、頭に1発、そのまま追加で2発ほど撃って気がつけば『ゴーレム』は完全に沈黙していた。

再生する気配もないし【イーグルアイ】で見ても灰色なので死んでいるのだろう。



『ゴーレム』に近づいたその体の素材を見てみるが目の前でみてもこれが何なのかわからない。もはやこれは『ゴーレム』という素材なのかもしれない。



「これってGPにするといくらになるんだろう?」



『ドワーフ』の死体はなんとなく嫌でGPに換えなかったが『ゴーレム』なら素材感が強いので抵抗はない。

すると気になるのはこの大きな体がいったいいくらになるのか。



【GunSHOP】の売却画面を開き『ゴーレム』へと近づける。するとにゅるっとした感じで吸い込まれていった。



「どれどれ………おぉ!?3万!?高いな!」



『ゴーレム』1体で3万GPもはやこれはボーナスステージでは?今あるGPがこれで10万を超えた。



「周回したいけど今はミスリルを優先するか」



残念なことに5日後には学校がまた始まってしまうのでダンジョンに籠れるのは帰りも考えると今日までだ。



「あ、宝箱」



いつのまにか出現していたいつもの宝箱を開ける。



「これは、ランタン?」



宝箱から出てきたのは片手で持てるほどの大きさのランタン、四角く透明な板がはまっており上の部分は家の屋根のように傘になっている。

下の部分にはなにかを投入する入口がついておりそこを開くための取っ手もついている。

全体的に暗い色の木で出来ており落ち着いた感じだ。



これは恐らく魔道具だろう、鑑定するまではっきりとは分からないがこれがただのランタンなら数万円、なにか効果がついていれば数十万から数百万になるだろう。



「当たりだな!」



一瞬これもGPに換えようかなと思ったが折角だしこれは鑑定にだそう、その結果を見てからでも構わないだろう。



【空間庫】にランタンをしまいボス部屋を出る。そのまま奥へと進み坑道内から外へと出ていく。



「たしかミスリルがとれるのはあっちの山だったかな?」



地図を見ながらあたりをつけミスリルのでる山へと進んでいく。



山と山を繋ぐ橋を渡り、途中で邪魔してくる『ハンマー鳥』を倒しつつ時折みかける『ドワーフ』も倒していく。



「ここか」



地図に記されたミスリルの採れる坑道内へと入っていく、ここからは鉱脈を見逃さないように敵に気を付けつつ壁も見ていく。



この先はいつ鉱脈を見つけられるかは運だ、ミスリル以外にも鉄や石炭、銀に金と採れる物の種類は多い。



「これは鉄、こっちは石炭………これは銀か?」



時々鉱脈を見つけるがそのどれもが目的の物ではない、鉱脈の見本となる物を携帯で表示させながら一つずつ確認していく。



それから1時間か2時間か、たまに出会う『ドワーフ』を倒しながらも探索を続けた頃にそれを見つけた。



「お!あった!これだろ絶対」



光に照らされて薄く青く輝く鉱脈、特徴が一致するので恐らくあれがミスリルの鉱脈だ。



結構な範囲に鉱脈が走っているのが見えるが果たしてこれでどれだけの量になるか。



「さて採ろう」



ここで問題です、果たしておれはミスリルをどうやって採取するでしょうか?









正解は。













ぺた………ぺた………ぺた………ピッ。





「うん、これでいいか。あとは離れてっと」



鉱脈から十分距離を取りさらに曲がり角の向こうまでいく。そして点火。



「おぉぅ、おもったより衝撃がくるなC4って」



大きな爆発音が聞こえてそれから壁の崩れるガラガラという音が聞こえてくる。



そう、今回俺が使ったのはC4といわれる設置型の爆発物だ。1つ3000GP、今回3つ使ったのでこれだけで1万近くGPを消費しているがもはや俺には痛くもかゆくもない。



設置型の爆発物は使う機会が無く出番がなかったが今回のはちょうどいいと使ってみたがその結果は………





「おぉ、いっぱいあるある」



C4の爆発した後に行ってみると薄く青く輝く鉱石の塊がいくつも落ちていた、うまい事爆発できたみたいだ。



目につく範囲のを拾って【空間庫】へと仕舞っていく、爆発でえぐれた壁を見て見るとまだいくつか鉱脈が見えるが今回はこれぐらいでいいだろう、十分すぎるほど採れた。



「後はこれをどっかの工房に持っていくだけか」



ミスリルでオーダーメイド品を作ると決めてからある程度持っていく工房の候補はいくつかあるが帰ってから決めないといけない。



「よし、帰ろ!」











◇  ◇  ◇  ◇











「見つけたぞ!」



「んあ?」



ダンジョンから外へと出た瞬間声が聞こえた、それも何となく聞き覚えのあるような。



「あっ」



視線を動かして声のした方を見るとこのあいだのお嬢様が立っていた。

180センチを超える長身に服の上からでもわかる鍛えられた筋肉、その後ろには護衛なのか何人かいてそりゃもう目立つ。



「探したぞ!3日もどこに行ってたんだ」



「ダンジョンに籠ってました、それよりどうしてここに?」



「どうしてって、言っただろう?お礼をするってそれじゃぁいくぞ!」



「え、ちょっ待って………」



腕をぐいっと持たれれて引きずられるようにして車に乗せられた、周りではそれにあわせて何人もの人が別の車に乗り込んでいく。



車内は豪華な装飾が施されており明らかに高級品だというのが分かる。



「どこに行くんですか?」



もはや今更抵抗しても無駄だと諦めて大人しくしておく、ここで暴れても無駄って知ってるんだ………俺。



「今から私の家へ行く!」



「あー………」



速攻で家か………まぁ何とでもなるか………このまま流れに任せよう。















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