【GunSHOP】スキルで銃無双

カロ。

文字の大きさ
39 / 67

36.お礼

しおりを挟む
36.お礼

















ほぼ拉致同然な感じで連れてこられたのは、いつの時代だよと思うような豪邸。

まず鉄製の大きな門がありそこを抜けると森があり暫く進むと綺麗な庭園が出迎えてくれてその奥にはこれまた大きな屋敷が見えてくる。



ここまで広い敷地と大きな建物をみるともはや家というよりそういうテーマパークとかに見えてくる。



大きな屋敷前に車が止まり、勝手にドアが開く。

降りて見ると外にクラシカルなメイド服の女性がいた、わざわざ開けてくれたみたいだ。



「ありがとうございます」



ドアを開けてくれたお礼を言うと軽くにこっと微笑まれた、可愛い。



「こっちだ!」



メイド服の女性っていいなって思っていると未だに名前も分からないお嬢様に手を引かれ屋敷内へと入っていく、彼女は身長が180ぐらいもあり筋肉もむちっとしているので腕を掴まれると抵抗もできない、そのまま連れて行かれる。

何人もの使用人と思われる人とすれ違いなら少しづつ武装解除されていく、持っていた銃を持っていかれバックを持っていかれ一応で付けていた片手剣も、持っていかれた。

防具は脱がせ方が分からなかったのか、防具だしいいやってなったのかそのまま通されたのは応接室と思われる部屋だ。



部屋の真ん中に大きなテーブルが置いてあり傍には高級そうなソファが並んでいる。窓は縦に長い長方形で上の部分が丸くなっておりそこだけステンドグラスみたいになっている。

先ほど持っていかれた装備なども一緒にこの部屋に運ばれたのか隅のテーブルの上に置かれていた。



取り合えず思ったのは今の時代にこういう部屋があるのかという感想だった。



部屋に入って取り合えずソファに座らされたのでそのまま座る、その前に今まで着ていた防具を解除してネックレスに戻しておく。



「おぉ!それは魔道具か?面白そうだな」



「はぁ、まぁそうかな?」



今まで防具を解除するタイミングがなかったから仕方がないがこうも注目されるとやりづらい。



そうしている間にもお茶の用意がされたりお菓子が届けられたりなど何か準備が進んでいる。



「ん?」



「あ、やべっ」



遠くからどたどたと誰かが走ってくる音がする。



「お嬢様!」



「か、カレン………」



扉をバンっとあけて入ってきたのはこの間救助したメイド服の女性だ、あの時は気を失っておりぐでっとしていてわからなかったが、その眼は勝気で意思の強さがうかがえる。



「また無理やり事を進めたんですね!?ご予定をお聞きするだけといったでしょう!あなたがどうしても自分で伝えたいというから行かせてあげたのに!」



「うっ………ご、ごめんなさい」



「謝る相手が違うでしょう!」



「す、すまない。無理やり連れてきてごめんなさい」



「申し訳ありませんでしたお客様、お嬢様にはきつく指導いたしますのでお許しください」



「あ、はい」



突然の怒涛の流れに完全に置いていかれて口から出た言葉はこれだけだった、ここ数時間でものすごく濃い時間を過ごしている気がするな。



「この後のご予定は平気でしたでしょうか?もしご都合が悪ければ今すぐにでもお送りいたしますが」



「特に予定も無いので大丈夫ですよ」



「ありがとうございます、それではまずは自己紹介から行きましょうか。私は立花カレンといいます、今回は助けてもらった立場だというのにご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」



カレンさんはそう言うと深く頭を下げた。



「確かに驚きはしましたが迷惑だとは思っていないのでそう何度も謝らなくて結構ですよ。俺の名前は神薙響です、よろしくお願いします」



「ありがとうございます、よろしくお願いしますね」



深く下げた頭を上げて笑うカレンさんは先ほどとは違い可愛く美しかった。



「あ、私は神宮寺 綾乃だ。今回は迷惑をかけてすまない」



カレンさんに「ほら、次はお前の番だぞ」という視線をうけたお嬢様が自己紹介をする。

というかさっきから明らかに二人の仲が使用人とその主人って感じではなくどちらかというと友達みたいな感じに見える、何となく関係性が見えてきたな。



そしてお嬢様の名前、神宮寺 綾乃………こういってはなんだが180センチで筋肉むちっとした女性にしては可愛らしい名前だな。



「はい、神薙響です」





「そ、それで今回神薙さんに来てもらった理由なんだが。この間助けてもらったお礼をしたかったんだ」



すこしお互いに沈黙していると神宮寺さんが意を決したように話し始めた。



「お礼ですか。まぁ貰えるなら貰いますけど」



「何がいいだろうか?何か欲しい物があればそれにするが」



「欲しい物ですか」



そう言われても困る、そりゃ欲しい物はいっぱいあるがどこまで要求していいのかとか何も分からない状態では何も言えない。



「そういえば、欲しい物を言う前にあの時どうしてあんな状況だったのか聞いても?」



だいたい想像はつくがどうしてああなったのか気になっていた、欲しい物を考える時間を稼ぐためにも聞いてみよう。



「あれか………本当はあそこには私とカレン以外にも護衛を依頼していた探索者が4人いたんだがあいつら………遠くで勝手に戦闘を始めたかと思えば手に負えないといって逃げてきてな、しかも途中でモンスタートレインも起こしたみたいで、逃げられないと思ったのかカレンを餌にしようとして不意打ちの攻撃をしてきたんだ」



「ひどいですね」



やっぱり大体は想像していた通りだったか、それにしてもひどい話だ。護衛対象を餌にして逃げるなんて、物語などではよくあるシチュエーションだが現実でも起きるとはな。



「あぁ、だが安心してくれ神薙さんに助けてもらった後にきっちりと落とし前はつけたからな!」



きっちりと落とし前の部分でものすごく笑顔になったので怖くてその続きは聞けなかった。



「それで、助けてくれた神薙さんには是非ともお礼をしたいんだ。何がいいだろうか?」



「んー」



考えながらも出されていたお茶を一口飲む、なんだこのお茶ものすごく美味しいな………これが高級品か。



「特にこれといった欲しい物は………あ、そうだそれではミスリルを加工できる職人さんを紹介してくれませんか?」



「ミスリルを加工できる職人?」



丁度いい機会かもと職人の紹介を頼む、新井さんにプレゼントするミスリルを加工する職人だ。

本来なら帰った後で自分で調べて探すつもりだったが。



ミスリルはその性質上加工できる職人は限られる、大手の企業だったり個人でやっている偏屈な人か、そういった通常では頼む事も難しい相手ばかりだ。

俺の場合は大手の所へ持ち込もうと思っていた、一応大手でもそういった一般の人からの依頼を受け付けている所もあるのだ。



その代わり加工代金だったり完成するまでの時間がかかったりするし、オーダーメイドにしたくても細かい所まで要望を出す事は出来なくなるが。ある程度きまった形のならすぐにできるのでそれにするつもりだったのだ。



だけど正直もっとちゃんとした所に依頼できたらなーという気持ちは多少残っていた、なので今回の事は丁度いいかもしれない。

彼女はお金持ちだろうし、俺では本来たどり着けない伝手とか持っていたりするかもしれない。

まぁ無いならないで別の物にするが。



「ミスリルを持っているのか?」



「えぇ、さっきのカバン………あぁありがとうございます」



カバンっと手を彷徨わせた瞬間横からスッとさっき持っていかれたカバンを差し出された。

動きが素早い。



カバンから【ドワーフの鉱山】から採ってきたミスリルの塊を取り出す。



「これを使ってお世話になっている人になにかプレゼントを贈ろうと思ってまして、加工できる職人を探していたんです」



「ふむ、見せてもらえるか?」



「はい、どうぞ」



カバンから取り出したミスリルを神宮寺さんに手渡す、なぜ【空間庫】があるのにカバンにミスリルを入れているのかって?

実は今までも多少の戦利品はカバンに入れて持ち帰ってた、なぜなら毎回戦利品無しで戻っていたら空間系のスキルか収納袋を持っていると思われるかもしれないからだ。



スキルがあると思われると勧誘がひどくなるだろうし、収納袋でも持っているだけで勧誘されるし俺はソロなんだ狙われる可能性だってある。



そういうリスク回避のために一応多少はカバンに何か入ってますよーって感じをかもしだしている。



「なぁ、神薙さん。よければだがこのミスリルの加工を私に任せてはもらえないだろうか?」



「神宮寺さんに?」



「あぁ!こう見えて私は【魔鍛冶師】のスキルを持っているんだ!」



「お嬢様!」



「何だカレン、いいじゃないか」



「ぐっ、少しは危機感を持ってください【魔鍛冶師】スキルはその珍しさだけで襲われる対象になるんですから」



「わかったわかった」



突然自分のスキルを言い出した神宮寺さんにも驚いたがそのスキルにも驚いた。

【魔鍛冶師】と言えば有名なユニークスキルで歴史の教科書にも載っている。

それを持っているだけで人生に勝利したと言えるほどの有用スキルだ。



普通のスキルとは違い、これはいわば職業スキルだ。【料理人】だとか【大工】などのその職業に特化したスキルでそのどれもが持っていればその道で食っていける。

そんな中でも【魔鍛冶師】の需要はすごい。



世界にダンジョンが出来てから探索者という職業ができて、もちろん武器を作る職人も増えた。

刀剣を扱う鍛冶師、しかしどれだけダンジョン素材を使おうがその性能を十全に生かせずにしかしそれでもある程度は戦えるのでそのまま時代は進んでいった。



そんなある時【魔鍛冶師】という特殊なユニークスキルを持った人が現れた。

彼、あるいは彼女はそのスキルを使い、今まで生かしきれていなかった魔物の素材の性能を引き出し作られた武器はそれはもう破格の性能になったみたいだ。



誰もが強い武器が欲しい、それを持つだけで探索が楽になり有利になるからだ。

そんなわけで【魔鍛冶師】が作る装備はどんどんと高値が付きしまいには1つ売るだけで生涯を過ごす資金を稼げるほどになった。



そんな物を作れる人物がいればもちろん必然的に悪い人達に狙われることになる。

誘拐して、言う事を聞かなければ殺して、言う事を聞くなら監禁して奴隷のように扱う。



そういったことが実際に起こった、だから【魔鍛冶師】スキルを持つ者はその存在を徹底的に秘匿されてきた。



たまに【魔鍛冶師】スキル持ちが作ったであろう新作が出来るときがある、そういったときには世界中でその存在を探されるが見つける事は出来なかったという。

それぐらい秘匿されるべきスキルをもった人物が目の前にいる。



「それは俺には言わない方がよかったのでは………」



「私が話したんだからいいんだ!それよりもこのミスリル私に任せてもらえるか!?」



「まぁ出来るならいいんですけど、逆にいいのかな?」



「いいんだよ、私があのダンジョンへいった理由もミスリルが使いたかったからだからな!それに私はこう見えても十分修行を積んでいるからな!」



こう見えても………か、確かに見た目は若いそれこそ俺とそんなに歳が離れていないんじゃないだろうかと思う。



「何歳なんですか?」



「む!女性に年齢を聞くとは仕方のないやつだな!だがこたえよう!私は17歳だ、高校3年生だぞ。ちなみにカレンも同じだ」



「ちょっと、お嬢様!」



「取り合えず私の工房に行こう、こっちだ!」



またしても腕を掴まれて連れて行かれる、さっきまでの反省は何だったのか。何だかもう疲れてきた。



「お嬢様!お客様に失礼ですよ、手を放してあげてください!」



「おおぅ!すまんすまん、じゃぁこっちだ!」



カレンさんに言われて解放されたが神宮寺さんはそのまま歩いていってしまったので慌ててついていく。



暫く歩き屋敷の外へと出る扉に着いたかと思うとそのまま神宮寺さんは外へと出て行ってしまった。

後をついていくと屋敷の裏は庭のようになっておりそこに少し大きめの一軒家って感じの家が建っていた。

横には鍛冶場なのか石造りのしっかりとした建物もある。



「ここが私の工房だ!」



神宮寺さんはそのまま鍛冶場っぽい所へ入っていったのでついて中へと入るとそこは何かの素材とよくわからない道具がいっぱい置いてあった。



炉があるのはわかるがあの大きなベルトのついた丸いやつは何なんだろう?不思議な物がいっぱいある。



「さぁそのミスリルで何を作ろうか!」



そう言って笑顔になる神宮寺さんは今まで見てきたよりも年相応の可愛らし女性に見えた。

















しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

処理中です...