超越ミミックの人類調教計画!~迷宮で宝を得るために異世界を変革させます~

二足のわらじ

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冒険者ギルド世界を変える

123 ギルド幹部は打ち合わせをする 後

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「面倒そうだな。まぁベルは頭が良い。一任するからなんとかしろ。幸い人間はラ・メイズ中に余っている。適当に連れてこい。あとは教育だけだ」

 面倒なことは丸投げするに限る。
 俺の所有物の働きは俺の働き。たしか前世はジャイアニズムという美学があったはずだ。

「簡単に言うてくれるな…。了解や。初期の混乱はどうしようもあらへんな。まぁ進めるうちになんとかなるやろ」

「そうだな」

「あ、ベルさんの頭が静かになりました。良かったです…」

 シオンがほっとした顔で呟く。ハラハラシオンかわいい。
 そしてベルは考えることを止めたらしい。思考停止のタイミングも絶妙である。
 ショートしないスーパーコンピュータは素晴らしい。ギルドに一台は必要だ。

 なんだかんだで俺とベルの認識は一致している。
 とりあえず初めてみて、問題はその都度踏み潰していく方針だ。

 我ながら大雑把なことだとは思うが、個人商店を開く段階で大企業の人員配置を考えろと言うのは無茶がある。
 前世ならそれ相応のマニュアルが存在していても不思議ではないが、この世界に同じことを望むことはできない。

 なんとかなる。俺は魔物だ。用意不足で出る損害など知ったことではない。要は立ち止まらなければ良いのだ。
 問題が発生しても、それで足場が崩れるより先に拡大を完了させればすべてを飲み込んで回り出す。
 そのための力はすでにあるし、それで上り詰めた人や組織を俺はたくさん知っている。


「私は門外漢なのでなんとも言えないのですが、それで大丈夫なのでしょうか。戦に当たっては万全の準備を整えておくものではないかと愚考しますが」

 コウエンが冷静に問いかける。
 ギルドメンバーの暴走に気付き、それを咎めるのも俺がコウエンに期待する役割だ。もっともその役割が俺に適用される時が来るかは不明だが。

「うむ、コウエンはまじめだな。言っていることも正しい。俺たちが始めるのは既存の仕組みに対する戦いだ。想定外は当たり前、本来なら想定外にすら備えるのは当然だろう。最善を尽くすのは大前提だ。ただ今回は見切り発車しても問題ない」

 コウエンの言うことは俺にもよく理解できる。
 迷宮で生き残るためには慎重である必要があった。
 格上が存在したのはずいぶん昔のことだが、想定外のことで死にかけるなど日常茶飯事だったからな。

 そういう意味では、今回は温い戦いだ。
 失敗しても死ぬわけではないし、仮想敵はすでに瀕死。
 味方に王族が存在し、そもそも俺たちが勇者で領主だ。最強の武力と財力を持つ。

「レインベルには船があったな。あれを例えにするなら、俺がいる限り冒険者ギルドという船は沈まない。例え操縦する者が初心者でも問題はない。陸に乗り上げても岩を砕いて進み、魔物に襲われれば蹴散らし、嵐が来ても雲を吹き飛ばせばよい。何も問題はない。慌てず確実に育てていけば良い」

「はっ、確かに閣下のおっしゃる通りです」

「人材の獲得と育成の件については、必要になる人員を見積もり俺に報告しろ。予算を配分するから拾い屋か浮浪者か奴隷あたりから有能なものを仕入れてこい」

「御意。…これで今年の餓死者は減りそうですな。赤貧にあえいでいた元拾い屋の身としては、閣下の取り組みに感謝するばかりです」

 コウエンが頭を下げる。

「貴重な冒険者候補がくだらない死に方をするのはもったいないからな。俺の目的のためだ。感謝は必要ない」

「閣下らしいですな。…今後も閣下へ変わらぬ忠誠を捧げます」

「受け取ろう」

 コウエンは相変わらず真面目だな。

「あ、そういえばウチらを扱ってた奴隷商はんがアポ入れて来てたで」

 ベルが人材の件へ話題を戻す。

「あの奴隷商か。なかなか凝ったことをするおもしろい人間だったな。扱う商品の質の高さはベルたちで実証済みだ。ひいきにしても良いだろう」

 ドワイト、エルダ、ベルは同じ奴隷商の元で売られていた。
 そう考えれば、あの奴隷商のセンスは非常に優秀だったということなのかもしれない。

「あれはトシゾウはんが凄すぎただけやと思うけどな。奴隷に伝説の秘薬をポイポイ使う主人が他にいるとは思えんわ。…まぁあの奴隷商が優秀なんも間違いあらへん。奴隷の時にちょいちょい見とったけど、ちゃんと奴隷を商品として大切に扱ってたし、バランスの良い商売をしとったで」

「そうか、ベルが言うなら間違いないだろう。他の者も奴隷を買う場合は優先的に利用してやれ」

 俺は奴隷商の慇懃な態度と笑みを思い出しつつ会議を進めていく。


「はー、なんだかすごいねぇ。話についていけないよ」

「まったくだ。難しいことはわからん。建てて、鍛えて、飯食って酒が飲めるなら上等だわい」

「何言ってるんだいドワイト。難しいことができない分、私もあんたも今以上に仕事を頑張るんだよ。でないと飯抜きだからね」

「お、おうエルダ。そりゃもちろん自分の仕事はちゃんと…ってなんでワシが怒られているんだ…?」

 ギルドの屋台骨たちは会議に参加しつつも、途中からのんきに茶をすすっていた。良くも悪くも職人気質な二人である。

 なんだかんだと言いつつも、ドワイトとエルダが自分の役割を果たしていることは事実だ。
 それぞれができる仕事をこなせば良い。
 それをまとめるのが俺の仕事であり、目的のための行動だ。

 人間の世界を変革するために一丸となり前へ進む。
 冒険者ギルドは一つのパーティのようなものなのかもしれない。
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