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第二章 そして語られる過去と現在
第十話「パラライザー」
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第十話「パラライザー」
デヴォイは、『パラライザー』やギルド襲撃事件の事をエイジス達に説明して貰った。
「どうしてその組織の名前が分かったんだ?」
「刺客の一人をネスツギルドが捕らえてね。組織名を吐いただけで、あとは拷問の途中で力つきて逝っちゃったけど。」
エイジスはさらっと言う。
「こちらも、その全ての事件が彼らの仕業だと確信しているわけではないわ。模倣犯もあるでしょうし。でもこれだけの規模で起こるのは組織的犯罪以外にはあり得ないと上は見ているようで、何度か襲撃時に目撃されているあの少女が今回ターゲットとなったの。」
「ギルドを直接襲うなら分かるが、何故俺が襲われる? Bランクソルジャーなどまだ名前や顔が知れる程の者じゃないだろう?」
「たまたまギルドに出入りするところを彼らの仲間に見られたか、もしくは…これは本当に本当に仮定なんだけど…。」
彼女は念を押す。
「ソルジャーのリストが流れている、という可能性があるのよ。あんなものは各ギルドにいちいちあるものじゃない。本部にしかないものなのよ。」
「横流しされてる…上の誰かとパラライザーが繋がっている?」
バンが少し青い顔をして呟く。
「私の師匠でもあり、姉の様な存在でもあるギルド幹部のソルジャーがいるんだけど…彼女なら何かもう掴んでいるかも知れない…。」
「ところで…訊こうと思っていたんだが。」
デヴォイが抑えた調子で話題を変えた。
「前に君達が俺を襲った任務の詳細って分かったか?」
「いえ、結局分からずじまいよ。ただ、あなたは幾つかの任務の中でターゲットに上がっているって話は聞いたわ。あなた、何かしでかしたんじゃないの? よっぽどの事を。」
俺は剣術大会や魔法大会に出ていた頃…ソルジャーになる数年前の事だが、それ以前の記憶がない。もしかしたら伝説の大犯罪者だったのかもしれない。考えるのが恐くなってきたので、この話はやめにしよう。
ひょっこり戻ってきたクレアと共に、四人でエルザレクドへ。
「じゃあ私達はパラライザーの事について当たってみるわ。そうそう、この街には大きなデパートがあるから、クライアントのお嬢ちゃんと一緒に買い物でもしてらっしゃい。」
デヴォイ達は二人と別れる。
デパートで一通りのものを買い終えた二人は屋上でアイスクリームを嘗めていた。
「ふう、こう小さいとバーゲンでおばさん達の間をすり抜けられるのが利点ね。」
クレアは必要以上の買い物袋をもっていた。大きくなってから着る予定の服が詰まっている。
「…まさかあの人達に気を許しているわけではないでしょうね?」
間をおいてクレアが訊ねる。エイジス達の事について話題を変えたみたいだ。
「いや。基本的にSNGってのは共同任務では仲間、でも任務によれば敵にもなりうる存在だ。その事は勿論身をもって分かっているさ。」
「でも、あなた、女好きですからねぇ。そこが心配だわ。」
「うるさいやい。確かにそれが災いしたけどな。」
デヴォイは苦笑する。
二人は資金調達のため、街のギルドを訪れ、そこで例の賞金首のポスターを見つける。
これがあの少女だな…『フィアー』という名前なのか…って森でエイジスが言ってたっけな。この名前は少女が自ら名乗ったのか、それともやはりパラライザーとネスツギルドは…とにかく、調べなくてはならない。
デヴォイはそのままギルドを出る。
「あれ、依頼受けなくていいの!?」
クレアが驚く。入ってきた目的をすっかり忘れていた。
「まあ、いいか、レクイードに着いてからでも。船賃は確保してある訳だし。」
「そうなんだ。じゃあいいけど。私としては早い方が好都合ですもの。」
「俺としても早く君の大人の姿を拝みたいな。」
でも…そうなるとお別れになるか。
二人と行き違いに、エイジス達がギルドに足を踏み入れる。
受付で先程の任務の失敗報告をする。
「ああ、また失敗者の一人に名前を連ねてしまいましたね。」
「まあ、いいじゃないの、命があっただけで。彼女と出会った人の半分は殺されているみたいだし。」
エイジスがまたさらっと言う。
「さあ、新しい『パラライザー』に関する任務は…と、まだないわね。」
「とりあえず折角来たことですし、これでもどうでしょう?」
Aランクの任務で、一週間だけ学校で代理教師をする、というもの。どうやら依頼人の教師が病欠らしい。報酬は千八百ホールドだ。
「いいんじゃないですか、姉御?」
「これは私には合うかも知れないわね。」
“金髪美人教師”の図が二人の頭に思い浮かんだ。
「あんたはじゃあ教員補助として授業の準備ね。」
「分かりました。へへ、正規の教育をちゃんと受けてきて良かった、と思いますね。教員免許はないですけど。」
とりあえず、様子を見よう。また『姉さん』ともコンタクトは取れることだし。エイジスはそう思い、依頼を受けて出口へ向かおうとしたときだった。
ギルドのドアが開く。
静かに、風のようにしなやかに、全身にフードとマントを覆った人が入ってきた。依頼人か? それともソルジャーか?
しかし、二人はその時、直感で最悪のケースを想定してしまう。そしてそれはまさに的中した。
その性別不明の人物は、入り口に立ち止まったまま魔法詠唱をし、烈風の魔法を発動した!
異変に気付いて咄嗟に反応できたギルド内の人間は少なかった。また、反応出来たエイジス達でさえも、その無差別攻撃によって、切り刻まれ、深手を負う。
「ぐばっ!」
地面に倒れ、気付いた時には、その人物は姿を消していた。
ギルド内は、ソルジャーや係員、依頼人達の血の海と化していた。見るも無惨なギルド襲撃事件はこうしてまた目の前のものとなった。
デヴォイは、『パラライザー』やギルド襲撃事件の事をエイジス達に説明して貰った。
「どうしてその組織の名前が分かったんだ?」
「刺客の一人をネスツギルドが捕らえてね。組織名を吐いただけで、あとは拷問の途中で力つきて逝っちゃったけど。」
エイジスはさらっと言う。
「こちらも、その全ての事件が彼らの仕業だと確信しているわけではないわ。模倣犯もあるでしょうし。でもこれだけの規模で起こるのは組織的犯罪以外にはあり得ないと上は見ているようで、何度か襲撃時に目撃されているあの少女が今回ターゲットとなったの。」
「ギルドを直接襲うなら分かるが、何故俺が襲われる? Bランクソルジャーなどまだ名前や顔が知れる程の者じゃないだろう?」
「たまたまギルドに出入りするところを彼らの仲間に見られたか、もしくは…これは本当に本当に仮定なんだけど…。」
彼女は念を押す。
「ソルジャーのリストが流れている、という可能性があるのよ。あんなものは各ギルドにいちいちあるものじゃない。本部にしかないものなのよ。」
「横流しされてる…上の誰かとパラライザーが繋がっている?」
バンが少し青い顔をして呟く。
「私の師匠でもあり、姉の様な存在でもあるギルド幹部のソルジャーがいるんだけど…彼女なら何かもう掴んでいるかも知れない…。」
「ところで…訊こうと思っていたんだが。」
デヴォイが抑えた調子で話題を変えた。
「前に君達が俺を襲った任務の詳細って分かったか?」
「いえ、結局分からずじまいよ。ただ、あなたは幾つかの任務の中でターゲットに上がっているって話は聞いたわ。あなた、何かしでかしたんじゃないの? よっぽどの事を。」
俺は剣術大会や魔法大会に出ていた頃…ソルジャーになる数年前の事だが、それ以前の記憶がない。もしかしたら伝説の大犯罪者だったのかもしれない。考えるのが恐くなってきたので、この話はやめにしよう。
ひょっこり戻ってきたクレアと共に、四人でエルザレクドへ。
「じゃあ私達はパラライザーの事について当たってみるわ。そうそう、この街には大きなデパートがあるから、クライアントのお嬢ちゃんと一緒に買い物でもしてらっしゃい。」
デヴォイ達は二人と別れる。
デパートで一通りのものを買い終えた二人は屋上でアイスクリームを嘗めていた。
「ふう、こう小さいとバーゲンでおばさん達の間をすり抜けられるのが利点ね。」
クレアは必要以上の買い物袋をもっていた。大きくなってから着る予定の服が詰まっている。
「…まさかあの人達に気を許しているわけではないでしょうね?」
間をおいてクレアが訊ねる。エイジス達の事について話題を変えたみたいだ。
「いや。基本的にSNGってのは共同任務では仲間、でも任務によれば敵にもなりうる存在だ。その事は勿論身をもって分かっているさ。」
「でも、あなた、女好きですからねぇ。そこが心配だわ。」
「うるさいやい。確かにそれが災いしたけどな。」
デヴォイは苦笑する。
二人は資金調達のため、街のギルドを訪れ、そこで例の賞金首のポスターを見つける。
これがあの少女だな…『フィアー』という名前なのか…って森でエイジスが言ってたっけな。この名前は少女が自ら名乗ったのか、それともやはりパラライザーとネスツギルドは…とにかく、調べなくてはならない。
デヴォイはそのままギルドを出る。
「あれ、依頼受けなくていいの!?」
クレアが驚く。入ってきた目的をすっかり忘れていた。
「まあ、いいか、レクイードに着いてからでも。船賃は確保してある訳だし。」
「そうなんだ。じゃあいいけど。私としては早い方が好都合ですもの。」
「俺としても早く君の大人の姿を拝みたいな。」
でも…そうなるとお別れになるか。
二人と行き違いに、エイジス達がギルドに足を踏み入れる。
受付で先程の任務の失敗報告をする。
「ああ、また失敗者の一人に名前を連ねてしまいましたね。」
「まあ、いいじゃないの、命があっただけで。彼女と出会った人の半分は殺されているみたいだし。」
エイジスがまたさらっと言う。
「さあ、新しい『パラライザー』に関する任務は…と、まだないわね。」
「とりあえず折角来たことですし、これでもどうでしょう?」
Aランクの任務で、一週間だけ学校で代理教師をする、というもの。どうやら依頼人の教師が病欠らしい。報酬は千八百ホールドだ。
「いいんじゃないですか、姉御?」
「これは私には合うかも知れないわね。」
“金髪美人教師”の図が二人の頭に思い浮かんだ。
「あんたはじゃあ教員補助として授業の準備ね。」
「分かりました。へへ、正規の教育をちゃんと受けてきて良かった、と思いますね。教員免許はないですけど。」
とりあえず、様子を見よう。また『姉さん』ともコンタクトは取れることだし。エイジスはそう思い、依頼を受けて出口へ向かおうとしたときだった。
ギルドのドアが開く。
静かに、風のようにしなやかに、全身にフードとマントを覆った人が入ってきた。依頼人か? それともソルジャーか?
しかし、二人はその時、直感で最悪のケースを想定してしまう。そしてそれはまさに的中した。
その性別不明の人物は、入り口に立ち止まったまま魔法詠唱をし、烈風の魔法を発動した!
異変に気付いて咄嗟に反応できたギルド内の人間は少なかった。また、反応出来たエイジス達でさえも、その無差別攻撃によって、切り刻まれ、深手を負う。
「ぐばっ!」
地面に倒れ、気付いた時には、その人物は姿を消していた。
ギルド内は、ソルジャーや係員、依頼人達の血の海と化していた。見るも無惨なギルド襲撃事件はこうしてまた目の前のものとなった。
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