繰り返しのその先は

みなせ

文字の大きさ
22 / 57

第22話 神の世界 2



 隣の世界の神が去っても、神の世界では、何処までも続く焼け野原の真ん中で、その男はまだ声を上げて泣いていた。
 いつもならさっさと消して、新しい世界を作るのに、何故か手が動かなかった。

 体の中からもやもやしたものが湧きあがり、気分が悪い。

『世界を作り、見守ればよい』

 神にこの空間を与えた見知らぬ誰かの言葉通りにしてきたはずなのに、それが間違いだったような気がしてならなかった。

――――あれに、尋ねればいいのだろうか?

 隣の世界を見やり、初めて世界を作った日の事を考える。
 
――――あの時は、どうしたろうか?

 どうすればいいのかと尋ねようとして、世界を与えた者を見上げれば、それは何かを問うにはどこまでも大きく、酷く恐ろしかった。
 声を出す事もできないまま、今と同じような気分だった事を思い出した。

 それでも、あの時、世界には力が溢れていた。
 何も分からないまま、それらに適当に世界に色をつけた。

 散らばる色をまとめ、見てくれよく形作れば、それぞれが意思を持ち、なんとなく世界は動き始めた。
 何度も、何度も世界を壊し、作り直すうちに、少しずつ世界を作る事に慣れ、いつの間にか夢中になっていた。

 上手く出来る事もあれば、気にくわない事もあったが、いつしか当たり前のように世界を作り出す事が出来た。
 最初にすべてを与えれば、あとは世界が勝手に動き出す……そのように。

 それが、正しいか正しくないかは、分からなかったが、神は自分で世界を作り見守っていたのだ。
 言われた通りに。


 何度も何度も繰り返す世界を。

【お前の世界は疲弊している】

 男はそう言っていた。
 確かに、初めて世界を作った時より、目の前の世界は力が無いように見えた。
 隣の世界に比べれば、なおさらだ。

――――隣の世界のようにすればいいのだろうか?

 獣のような声を上げ泣く男を見ながら、神は途方に暮れた。




感想 2

あなたにおすすめの小説

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

“いつまでも一緒”の鎖、貴方にお返しいたします

ファンタジー
男爵令嬢エリナ・ブランシュは、幼馴染であるマルグリット・シャンテリィの引き立て役だった。 マルグリットに婚約が決まり開放されると思ったのも束の間、彼女は婚約者であるティオ・ソルベに、家へ迎え入れてくれないかというお願いをする。 それをティオに承諾されたエリナは、冷酷な手段をとることを決意し……。 ※複数のサイトに投稿しております。

王太子妃に興味はないのに

ファンタジー
眉目秀麗で芸術的才能もある第一王子に比べ、内気で冴えない第二王子に嫁いだアイリス。周囲にはその立場を憐れまれ、第一王子妃には冷たく当たられる。しかし誰に何と言われようとも、アイリスには関係ない。アイリスのすべきことはただ一つ、第二王子を支えることだけ。 その結果誰もが羨む王太子妃という立場になろうとも、彼女は何も変わらない。王太子妃に興味はないのだ。アイリスが興味があるものは、ただ一つだけ。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

どうぞお好きに

音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。 王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。

真実の愛に祝福を

あんど もあ
ファンタジー
王太子が公爵令嬢と婚約破棄をした。その後、真実の愛の相手の男爵令嬢とめでたく婚約できたのだが、その先は……。

呪いという祝福を贈りましょう

luna - ルーナ -
ファンタジー
亡き母の言いつけを守り、ジュリエッタは能力を隠していた。 異母妹に無実の罪をつけられて、処刑になったジュリエッタは祝福という呪いを贈った。 死に戻りはしません。 死に戻りの話は多いけど、最後まで死に戻りはしません。ヒロインが幸せにならない話は嫌だ! と、いう方には向かない話です。ご理解の上、読んでください。