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第41話 兄 2
妹の部屋に、妹に近しい者が集められたのは、朝日が昇る間近だったように思う。
倒れる前からつきっきりだった母と、妹が心配で屋敷から出られずにいた父。
妹が子供のころからそばについていた執事と侍女が二人。
そこにいた誰もが息をひそめ、遠巻きに医師の診察を受ける妹を見つめていた。
私は言い知れぬ不安と恐怖で部屋に入ってすぐの場所で立ち尽くしていた。
どれくらい経ったろうか。
妹の荒く苦しそうな息遣いが、か細く長く空気が抜けるような音に変わった。
そうして、静まり返った部屋で、医師が首を横に振った。
私は妹の呼吸が聞こえなくなったことと、医師が首を振ったことを結びつけることが出来ず、誰かが動き出すのをただ待っていた。
長くて短い沈黙の後、わあ、と最初に声を上げたのは誰だったろうか。
娘の姿に弱音も吐かず付き添い続けた母だったのか。
それとも、侍女たちか。
とにかくその声とともに母が倒れこみ、父が支えるのが見えた。
執事が部屋を飛び出して行き、侍女たちがお互いを抱きしめあって。
私は、腹の奥から何かが湧き上がるのを感じて、そこからは、よく覚えていない。
ずっと闇の中を歩いて歩いて、ようやく明るさに気が付いた時、目の前には妹の棺があった。
誰かが私を自室に戻し、着替えをさせたのだろう。
黒い上下を身に着け、真白な百合を携えていた。
「……」
名を呼んで棺にすがりつき、守ると誓ったのに守れなかったと号泣した。
そんな私を父と母が慰める。
二人とも憔悴しているのに、私が二人を支えるべきなのに、二人は私が落ち着くまで一緒にいてくれた。
そして、私が落ち着くと、父は言った。
「母と一緒に領地に行くように」
と。
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