だって私、悪役令嬢なんですもの(笑)

みなせ

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62.愛し子の日記 2

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 十四代目の愛し子は人々に正しく生きるよう、かなり強く指導したみたいね。

 悪いことをすると、愛し子に火をつけられる。

 そんな言葉が流行したらしいわ。
 おじさん日記にも愛し子の日記にも書かれていなかったけど、火の精霊王が教えてくれたわ。
 小さな子どもたちに燃える家の絵を見せて、泣かせて、許しを請わせてたって……笑ってた。

 町に火をつけたのは貴方かと聞いたら、当然だって威張ってたけど、完全に悪役じゃない。
 まぁ、そのくらいの恐怖信仰だったから、長く人々の心を支配し、悪い心を封じることができたのね。


 十五代目の愛し子が現れるまで、結構な期間があった。


 十七代目は、神経質っていうか、変わりものね。
 どうやら私と同じく前世の記憶を持っていたみたい。
 神殿に捕獲されてすぐから日記を書いているけど、見事に日本語だった。
 それも凄い達筆。
 十五歳でミミズ字を書いていた私とは雲泥の差よ。

 早くから精霊たちと交流していて、神殿、聖女、勇者のあれこれや、過去の愛し子の話を聞いて憤っていた。
 ついでにこのころに、先代たちの日記を手に入れて、自分の境遇に疑問を持ったみたいね。
 まだ幼いって言うのに、神殿に物申して待遇改善を要求してる。

 けど、神殿の人たちは全く相手にしてくれなかった。
 だから、滅びの愛し子と、十四代目の愛し子の真似をした。
 聖女への加護の拒否からの、失踪。
 探しあてられてから一年ほど、光の精霊王の協力で昏睡状態になったそう。

 何をしたかったかって言えば、女神に会いたかったみたいよ。
 滅びの愛し子にお菓子をくれた女の人を女神だって推測し、滅びが近付くことで女神が自分に接触するだろうって。

 すごい洞察力と行動力よね。

 かくして、夢の中(?)に女神が現れて、聖女に加護を与える代わりにいくつか願いを叶えてもらったんですって。

 その一つが愛し子の部屋。
 前世、個室に慣れていた十七代目は、神殿の暮らし方は嫌いじゃなかったけれど、朝から晩まで他人や精霊たちに囲まれるのが苦手だったのね。
 少しも気が休まらない上、加護だの世界を救えだの言われて、他の愛し子とは違う意味で疲弊していたみたい。

 前世の記憶のおかげなのかしらねぇ。女神に会う前の日記にははっきりと、

 こんな世界滅ぼしてやるっ!!

 って書かれてたわ。



 私とはずいぶん境遇が違うけど、その意見だけは賛成よ。




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