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61.愛し子の日記 1
しおりを挟むなんとかおじさん日記―――もしかしたら女性もいたかもしれないけど、名前的に男ばかりよ―――を読み終わって、ようやく愛し子の日記に取りかかったわ。
他人の日記だけど、過去の自分の日記って思うと、やっぱり手がつけにくいのよね。
なんて言ってられないから読むけど。
国が滅んだ後から、愛し子は三歳で神殿に確実に捕獲されるようになった。
でも三歳だと流石に文字は書けないから、日記は当然文字が書けるようになってから始まってる。
滅んだ後、初めての愛し子はずいぶん大切にされたみたいで、日記も早い段階で書き始めてた。
基本は一日の生活のこと。
最初はその日勉強したことやお世話をしてくれる人の名前、途中からは儀式のやり方とか訪問した場所とか……・まるで覚書とか防備録。
愛し子の感情とか気持ちとか全然なくて、おじさん日誌の方が日記に見えるくらい。
唯一感情が見えたのは、聖女に加護を与える前後に精霊王たちの記述があって、綺麗だったって……それだけ。
その次から何代かの愛し子は、孤児と一緒に育てられたみたいで、少し大きくなってから日記を書き始めてる。
この子たちは同じような年の子たちと育ったおかげか、豊かとは言い難いけど感情が見えたわ。日記も日記らしくて、楽しかったこととか悲しいことがその時の気持ちと共にちゃんと書かれてた。
親の迎えがあった子や就職したりする子の事は羨ましいと、褒められれば嬉しいと、怒られれば辛いって。
教えられていないのか、自分が愛し子だなんて思ってなかったのね。
聖女が現れて、自分が加護を与える事になってすごく驚いてた。
いつか出ていかなければならないって思ってた神殿に、そのまま一生いなければならないって聞いて戸惑っていた。
そして、親から無理矢理引き離された事を聞いて、喜んだ。
でも、こう言っちゃなんだけど、愛し子って馬鹿みたいに良い子なのね。
ずっと親に捨てられたと思ってたのに、実は神殿の都合で引き離されて、理不尽な境遇に追いやられてるいるのに……
捨てられたわけじゃなかったって喜ぶなんて!!!
問題も無いのに親と引き離されるなんてよっぽどよ?
この神殿でどうやって子どもたちを育ててたのか分からないけど、神殿に都合のいい考え方をしすぎよ。
私なら絶対怒って……第二の滅びの国を作ってるところよ。
なんて言うか、彼女たちの日記は、いい子ぶってる気がしてすごくイライラしたわ。
そんな気分を吹っ飛ばしてくれたのが、十四代目の愛し子ね。
彼女の日記は、本人もぼんやりしてるタイプじゃなく、一緒に育つ仲間が問題児が多かったみたいで、最初から飛ばしてた。
親から引き離されたところから怒ってた。
親と一緒に帰ると暴れ、
こんなところに住めないと暴れ、
こんなもの食べれないと暴れて。
自分が愛し子だってこともちゃんと知っていたし、どうして神殿に捕獲されるのかも感づいていた。
特に、聖女が現れ、加護を拒否したくだりは最高だった。
流石に待遇改善を拒否されて、生き物への被害はなかったとはいえ町を一つ燃やしちゃった事は反省してたわ。
けど、その後かなり長い間恐れられたことで、もっと人は正しく生きろと指導出来たと喜んでいた。
読んでてとってもおもしろかった!!
皆さんにぜひ原本を読んでいただきたいわ!
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