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しおりを挟む私は、カレンの手を引きその場を離れた。
ぼんやりしたカレンの視線は、いつまでもそちらの方を向いていて、私が呼びかけても答えてくれない。
教室まで連れて行き、何度か問いかけてようやくカレンが私を見た。
「殿下、あの方は誰なんですか?」
「殿下?」
今までずっとリオン様と呼んでいたカレンが突然呼び方を変えた。
「ほら、ミアさんと一緒にいた方です」
私の疑問などお構いなしに、カレンがそう聞いてくる。
「……あれは、ミアの新しい婚約者だ」
腑に落ちないが、期待に満ちた目にそう答える。
ヒューイと言えば、隣国にそんな名前の王子がいたような気がするが。
「婚約者って、ミアさんには殿下がいるのに! いいんですか?」
「ミアとは婚約を解消した。準備が整えば、カレン、君と婚約する」
「え?」
カレンが急に真顔になった。
「え、あの……私……」
「私の父にも、カレンの父君にも話は通っている」
「そんな、あの、私」
「君も私と結婚したいと言ってくれたろう?」
喜んでいるとは思えない表情だ。
「カレン?」
「ごめんなさい、私……」
フルフルと頭を振って、カレンは私の手を振り払った。
「カレン?」
「殿下、申し訳ありません。少し考えさせて下さい!」
カレンはそう叫ぶと、私に背を向けて走り去った。
「え?」
これ、どう言うこと?
あの茶番劇から一週間。
私はカレンとの約束の場所へあししげく通っていたが、カレンが現れることはなかった。
代わりに聞こえてくるのは、カレンがミアとヒューイを追いかけまわしていると言う話だ。
どう言うことか。
そんなこと、考えなくても分かっている。
私は振られた、と言うことだ。
それも、婚約者のミアと、
“真実の愛”の相手だと思った、カレンに。
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