【完結】世界転生バイトですが、裏切られて捨てられた公爵令嬢の聖女と私を煽てるあなたは恋愛詐欺師ですか?知りませんが、幸せな花嫁になるので!

西野歌夏

文字の大きさ
34 / 75
第二章 二度目の人生 リベンジスタート

レキュール伯爵領のやり直しと考察会

しおりを挟む
 私達は純斗の部屋にいた。

 純斗の部屋のホワイトボードには簡単な地図が描かれている。ボアルネハルトの国境沿いに線が引かれ、隣国ハープスブートの大地は緑色で斜線が軽く引かれ、両国の領地にとてつもなく領土格差があることが一目瞭然となっていた。

 この時点で世界有数の大国であったハープスブートを治めるカール大帝の都も描かれている。ヴィエリだ。

 ボアルネハルトとハープスブートの国境沿いのボアルネハルト側が小さく紫色で囲まれて、レキュールと書かれてある。バリドン公爵領地の方が大きく豊かだが、実は貴重な資源が眠る場所でハープスブートが狙っている領地だ。私が聖女になる前はまだ貧しい辺境の地だったが、私が処刑される頃には注目されていた。

「君がヒューと確認しに行ったという灰色の空と灰色の大地は、辺境伯レキュールの領地なんだね?」

 純斗が私にそう聞きながら写真をホワイトボードに貼っている。私はうなずいた。
 
「銀の鉱山があるわ。メーナルンド山がここにあるわ。それからダイヤモンドが採れるハンドッヒ山はここよ。レキュールではないけれど、ここもこれから大注目されるわ」

 私は純斗の隣に立ち、メーナルンド山とハンドッヒ山に印をつけた。

 辺境伯レキュールの土地は聖女である私が譲り受けた。正確には国王が買い取り、私に与えたものだ。私は結局あの辺境の地に家を建てるという夢を叶えずに死んだ。
 
 寒さや疲労や空腹の感覚は、バイトをしてカツカツの生活をしている富子側だけの感覚ではない。公爵令嬢で聖女であったヴァイオレットでも数えきれないほど経験した。いろんな領地を回るのは馬車だったし、思うように宿を取ることができないこともあったのだ。

 今、午後のゆったりとした時間が流れていた。私は辺境の地に思いを馳せて黙った。

 大家さんの用意してくれた炭酸入りのレモネードを私と純斗は飲んでいる。純斗はこれまで顔見知り程度の仲だった。同じ大学に通っているのは知っているし、同じアパートの下の階に住んでいるのも知っていた。純斗が大学の授業の合間に仕事をしている、もしくは何かのバイトをしていることは私も知っていた。彼の帰宅は夜遅かったりしたからだ。

 私がファーストフードのバイトと、異世界転生バイトの2つを掛け持ちしていることを彼は知っていた。メガネをかけている潤斗が非常に整った顔立ちをしているのに、この日初めて私は気づいた。



 ――純斗は女の子にものすごくモテそうだわ。こんなに顔立ちが整っているなんて今まで全然気づかなかった。

 一つ言えるのは、純斗と私は働かなければ大学に通えないという点で、私たちは同じような感じだということだ。

 純斗の部屋はブルックリンスタイルというらしく、安価な家具量販店で揃えたという手頃でオシャレな家具でスタイルが統一されていた。居心地が良い。

 私は今朝、ヒューの部屋から朝帰りした。ヒューが車で送ってくれた。着替えていると、サミュエルがフェラーリで迎えに来てくれて大学に向かった。誰にも朝帰りのことは知られていないと思っていて、私は一日中ふわふわとして幸せな気持ちだった。



 今日純斗の部屋に揃ったメンバーは、大家さん、魔導時ジーニン、純斗と私だ。純斗は私がスマホで撮った写真を拡大したものを壁一面に設置されたホワイトボードに貼って、登場人物相関図を作った。登場人物の大半は私がスマホで撮ったものだ。ヒューは用事があるからと、遅れてやってくることになっていた。

「新規に追加された人物は、聖女候補のカトリーヌ、ルネ伯爵家の侍女、国王陛下、サンル・デ・カルマラ王立修道院の院長、君の継母のルイーズ、妹のアンヌ、料理人のベスだね」

 純斗はテキパキと印刷した写真をホワイトボードに並べた。

「でも、写真が無い人物がまだいるね。アルフレッド王子とマルグリッドの兄だ」
「そうなの。まだ会っていないのよ」

 私は純斗に答えた。ジーニンは、額にしわを寄せて一瞬考え込んで教えてくれた。

「マルグリッドの兄は確かポールという名前です。ヒューより2歳上でございます」
「オーケー、2人の名前をここに書いておくよ」

 純斗はマジックでボードに書いた。

「それからゲットしたアイテムは、『聖フランセーズの防御の盾』と、『聖ヴィクトワールの剣』だね。ここに写真を貼るよ」

 アイテムとカテゴリしながら、純斗は縦と剣の写真を貼った。

「さあ、どう攻略するかだな」

 純斗は腕組みをしながらホワイトボードを見た。


「君が大火傷をするところだったアンヌの誕生日には、シャーロットおばさまのゼルニエ侯爵夫人、そしてその夫のゼルニエ侯爵、レロックス男爵、その子息のスチュアート、レロックス男爵夫人、モートン伯爵、モートン伯爵夫人、モートン伯爵令嬢のキャサリン、アリス姉妹とルネ伯爵とその伯爵夫人、マルグリッド、侍女のアデル、執事のハリーはいたんだね?」

「ええ、全員いたわ。そこにまだいなかったのは、家庭教師のパンティエーヴルさんよ。私が聖女候補に選ばれてからバリドン公爵家にやってきたのよ。アンヌの誕生日の時はまだいないわ」

 純斗は腕組みをしてホワイトボードに貼った写真を睨んだが、静かにつぶやいた。

「カトリーヌには確かに動機あるが、そもそもこの時はヴァイオレットが聖女候補になるとは彼女は知らない。だから、この事件にはカトリーヌは無関係だろう。やはりマルグリッドが一番怪しいと思う」

 私とジーニンはうなずいた。純斗は続けてジーニンに聞いた。

「ヒューが来る前に聞きたいのだけれど。ジーニン、ヴァイオレットが死んだ後に何があったんだ?」


 ジーニンはドキッとした表情をした。実は私もその事をが聞きたかった。私が死ぬ前の話は沢山してくれていたのに、ヴァイオレット死後の話は一度も二人から聞いたことがなかった。

「ヒューは誰と結婚したの?」

 私はジーニンの詰め寄った。

「だ……だ……誰とも結婚していません。ただ……「ただ何よっ!答えてちょうだい。あなたは私の味方でしょう!?」」

 私はそこはちゃんと確認したかったので、語気を強めてジーニンに迫った。ジーニンは観念した表情になり、ひれ伏した。私の目には紫色のマントが翻るようにジーニンが勢いよく床にひれ伏したのが見えた。

「ヒュー王子はルネ伯爵令嬢と婚約なさいました」
「は!?!!!!!」

 私は動揺して、怒りで震えた。私が処刑を言い渡される場で、ヒューの隣にいたのはやはりマルグリッドだろう。私の見間違えではなかったのだ。彼女は、あの時ヒューの隣に立って私が処刑を言い渡されて、命を失うのを見ていたのだ。

「ジーニン、私が処刑を言い渡されたとき、あなたは何をしていたの?ヒューの隣にマルグリッドがいなかったかしら?」


 私は完全に公爵令嬢のお高く止まった物言いでジーニンに問いただした。ジーニンは言葉に詰まった。

「お救いすることができなくて、大変申し訳ございません!」

 魔導師ジーニンの紫のマントが小刻みに揺れた。顔を下に向けて泣いているのあろう。

「この映像を見たとき、ヒューは何と言ったの?」

 純斗はメガネをしっかりとずり上げながら私に聞いた。彼の目は真っ直ぐに私に顔を見つめている。

「確かマルグリッドは『わざとに見える』と言ったわ」

 純斗はうなずいた。

「ショックを受けた様子は?」
「そういえばそんな様子はなかったわ。ジーニンは憤っていたけれど、ヒューはどちらかというと冷静だったわ」

 私は幸せで周りが何もかもバラ色に見えていた。ヒューの行動を振り返って少し不安を感じた。

「他には、ヒュー自身はマルグリッドの兄とアルフレッドが仲が良いのは知っていたけれど、奇妙な偶然だという点は私とジーニンの意見に同意見だったと思うわ。私はマルグリッドの兄のポールとアルフレッドが仲が良いのは知らなかったわ」

 そこで、私たちの会話にジーニンが割って入ってきた。

「ちょっと待ってください!今の会話はヒュー王子を疑っているということですか?」

 ジーニンは純斗に食ってかかった。

「うーん、気になるというだけかな。今朝ヴァイオレットは朝帰りした。だから、考察会は本当は昨晩行われるはずだったのに、今日やっている。とみちゃんは、つまりヴァイオレットはヒューと朝まで過ごしたの?」

 純斗はグイグイと踏み込んで質問をしてきた。私は力無くうなずいた。

「そう。ヒューと初めての夜を……過ごしたわ」
 
 純斗の顔が一瞬強張った、と私は思った。ジーニンは息を飲んで無言になった。大家さんは「まあ、バイトの雇い主兼婚約者みたいな事を自分で言っていたしね」とつぶやいた。

 ヒューの写真を純斗はホワイトボートの真ん中に置いた。

「善なのか、悪なのか、グレーなのか。彼について、今のところ僕は判断できない」

 なぜか純斗は怒っていて、私との間に最悪な感情が漂っているようだ。だが、それがなぜなのか私もよく説明出来ない。

 そこにヒューがやってきた。部屋のインターホンが押されて、純斗が出迎えた。ヒューはiPad以外の手荷物を手に持っていた。


 ヒューは私を見つめるなり、床にひざまずいた。 

「ヴァイオレット、辺境伯レキュールの灰色の空と灰色の大地を見た日を覚えている?」

 ヒューは私にささやいた。

「えぇ、覚えているわ」

 私は予感に震えてしまった。手が震える。心臓がドキドキした。

「あの時俺はプロポーズだけした。でも、指輪をちゃんと渡していなかったんだ。だから、今度はちゃんと指輪を渡したい。これは母の形見だ。ヴァイオレット、俺と結婚していただけますか」

 私は涙が出そうだった。でも、隣に立つ純斗の怒って最悪だという表情が気になって、躊躇した。

「本当は、辺境のレキュール伯爵領を訪れた時に俺はちゃんと指輪を渡すべきだと思う。それはこれからのやり直しがうまく行けば、きっと君にこの指輪をちゃんと渡すと思う。でも、今、ここで受けってもらえないだろうか。改めて俺と結婚してください」

 私はヒューが差し出した指輪を見つめた。涙が勝手に込み上げてきて、私はなんだか泣けてきた。炎の刑で死んだ私は、何もヒューからもらったものを持っていなかった。

 私は手を差し出して、ヒューが大きなダイヤが輝く指輪をはめてくれた。

 ヒューは私を見つめるなり、床にひざまずいた。 

「ヴァイオレット、辺境伯レキュールの灰色の空と灰色の大地を見た日を覚えている?」

 ヒューは私にささやいた。

「えぇ、覚えているわ」

 私は予感に震えてしまった。手が震える。心臓がドキドキした。

「あの時俺はプロポーズだけした。でも、指輪をちゃんと渡していなかったんだ。だから、今度はちゃんと指輪を渡したい。これは母の形見だ。ヴァイオレット、俺と結婚していただけますか」

 私は涙が出そうだった。でも、隣に立つ純斗の怒って最悪だという表情が気になって、躊躇した。

「本当は、辺境のレキュール伯爵領を訪れた時に俺はちゃんと指輪を渡すべきだと思う。それはこれからのやり直しがうまく行けば、きっと君にこの指輪をちゃんと渡すと思う。でも、今、ここで受けってもらえないだろうか。改めて俺と結婚してください」

 私はヒューが差し出した指輪を見つめた。涙が勝手に込み上げてきて、私はなんだか泣けてきた。炎の刑で死んだ私は、何もヒューからもらったものを持っていなかった。

 私は手を差し出して、ヒューが大きなダイヤが輝く指輪をはめてくれた。


 ヒューは私を抱きしめて、キスをした。

 涙に曇る私の耳に、純斗が喋っている声が気こえた。指輪はずっしりと重く、私は大切にするためにどこかにしまっておこうと思った。

「マルグリッドは結局君を陥れて処刑させて、自分は生き延びて各ヒューの婚約者におさまっていた可能性が高い。16歳のヴァイオレットは、国王に圧倒的な力を示した。戻ったら、ヴァイオレットの状況はかなり改善されているとは思う。でも、逆に心配だ。それほど国王に気に入られてしまえば、嫉妬をより早く買うと思うから。次も16歳だよね?僕も一緒に行こう」

 純斗はとんでもないことを喋っていた。自分も私と一緒に異世界に行くという。煌めく指輪と、ヒューの優しい心を知っていた私は、そんなバカなという言葉を純斗に言うのをド忘れてしまっていた。

 ――ヴァイオレット、あなた聞いているかしら?

 私は過去に無念な思いを抱きながら死んで行った自分に思いを馳せた。もらった指輪は、私が死ぬ前にもらってないものだった。大きなダイヤの指輪だ。

 私は今、幸せだ。

 私の死後にマルグリッドが婚約してもらった指輪のことは、考えない。

 次にマルグリッドに会ったら、容赦しない。聖女の力でも何でも使って二度とやられないようにしよう。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

悪役令嬢に成り代わったのに、すでに詰みってどういうことですか!?

ぽんぽこ狸
恋愛
 仕事帰りのある日、居眠り運転をしていたトラックにはねられて死んでしまった主人公。次に目を覚ますとなにやら暗くジメジメした場所で、自分に仕えているというヴィンスという男の子と二人きり。  彼から話を聞いているうちに、なぜかその話に既視感を覚えて、確認すると昔読んだことのある児童向けの小説『ララの魔法書!』の世界だった。  その中でも悪役令嬢である、クラリスにどうやら成り代わってしまったらしい。  混乱しつつも話をきていくとすでに原作はクラリスが幽閉されることによって終結しているようで愕然としているさなか、クラリスを見限り原作の主人公であるララとくっついた王子ローレンスが、訪ねてきて━━━━?!    原作のさらに奥深くで動いていた思惑、魔法玉(まほうぎょく)の謎、そして原作の男主人公だった完璧な王子様の本性。そのどれもに翻弄されながら、なんとか生きる一手を見出す、学園ファンタジー!  ローレンスの性格が割とやばめですが、それ以外にもダークな要素強めな主人公と恋愛?をする、キャラが二人ほど、登場します。世界観が殺伐としているので重い描写も多いです。読者さまが色々な意味でドキドキしてくれるような作品を目指して頑張りますので、よろしくお願いいたします。  完結しました!最後の一章分は遂行していた分がたまっていたのと、話が込み合っているので一気に二十万文字ぐらい上げました。きちんと納得できる結末にできたと思います。ありがとうございました。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

処理中です...