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第一章 波乱と契約婚の花嫁生活幕開け
何でも話せる人
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私の父は鍛冶屋の息子として生まれて、グラマースクールとオックスフォード大学のカレッジで学んで聖職者になった。法律家を聖職者が兼ねるのが当時は当たり前だったからだ。法廷弁護士として父は働いていたが、常時500人の使用人がいると言われれるジットウィンドの家にしきりに呼ばれるようになった頃から、暗雲が立ち込めた。
ジットウィンド枢機卿自身も肉屋の息子だ。王妃の実家が商人であった実例もあるし、最近は貴族ではない家柄の者が法曹界にも多いと聞く。実際に第一聖女ヴィラは公爵令嬢だったが、私は平民出身でありながら第二聖女として陛下に認められた。
ただし、貴族の間ではやっかみがすごいはずだ。
「僕と君はなんでも話せるんだ。これまで、僕と君はいろんな問題について率直に意見を交わしていた。君の家の問題についても、率直に話してくれて構わない。僕はとっくに君の家の事情のことは把握していたわけだし」
私はスティーブン王子に優しくそう告げられて、思わず彼の胸に飛び込みたくなった。必死で自分を抑えた。
「結婚をするにあたり、君を丸ごと受け入れる覚悟があるから」
私は泣きたくなった。嬉しくて。
私が話さなくても、王子が既に知っていて、ずっと受け入れてくれていたことに驚いたが、心のどこかでスッと楽になる部分があった。
「君のお父様が失職した悔しさだけれど……」
スティーブン王子の胸はとても広く、褐色の髪が風に揺れていて、私を見つめる眼差しはどこまでも優しく、不思議な形に刈り込まれた樹木のそばで佇む様子は、上品でありながら理知的で包容力に溢れていた。
――王子を抱きしめてしまいたいわ……。
父の悔しさは私も少しは知っている。ずっと何があったのか知りたいと思っていた。だが、触れてはならない巨大な力があるということも知っていた。
「よければ、僕は調べてみようと思う。お父様の無念を晴らしてあげたいからね」
私は信じられない言葉を王子の口から聞いて、涙が溢れるのを抑えきれなかった。
「よしよし。大丈夫だから」
スティーブン王子は私をそっと抱きしめてくれた。大丈夫、大丈夫と私の背中を優しく撫でてくれて、私は広くて温かい胸の中で涙が溢れるままに抱きしめられていた。
これ以上優しい言葉をかけられたら、私はこの恋心を隠していられるか自信がない。
「夫の義務のことなんだけれど……」
父の法廷弁護士時代の話を私に聞こうとしながら、王子は急に契約婚の条件の話をし始めた。
「はい」
私は素直にうなずいた。
「待って、頷く前に聞いてくれる?夫の義務とは……その昨日のような僕の行動か、もしくは最後まですることなんだけれど……」
スティーブン王子の腕の中で顔を赤らめて、思わずスティーブン王子の顔を見上げた。至近距離で王子の美しい顔が見えて、私は思わず飛びすさろうとして、王子の腕に抱きすくめられた。
「いいね?フランソワーズ、君に対しての義務は全て果たす」
――王子はとんでもないことを言っていることに気づいていらっしゃるのかしら?
私は王子の瞳をこれほど近くで見たことがなかったので、その美しさに心奪われながら、そう思った。
ジットウィンド枢機卿自身も肉屋の息子だ。王妃の実家が商人であった実例もあるし、最近は貴族ではない家柄の者が法曹界にも多いと聞く。実際に第一聖女ヴィラは公爵令嬢だったが、私は平民出身でありながら第二聖女として陛下に認められた。
ただし、貴族の間ではやっかみがすごいはずだ。
「僕と君はなんでも話せるんだ。これまで、僕と君はいろんな問題について率直に意見を交わしていた。君の家の問題についても、率直に話してくれて構わない。僕はとっくに君の家の事情のことは把握していたわけだし」
私はスティーブン王子に優しくそう告げられて、思わず彼の胸に飛び込みたくなった。必死で自分を抑えた。
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私は泣きたくなった。嬉しくて。
私が話さなくても、王子が既に知っていて、ずっと受け入れてくれていたことに驚いたが、心のどこかでスッと楽になる部分があった。
「君のお父様が失職した悔しさだけれど……」
スティーブン王子の胸はとても広く、褐色の髪が風に揺れていて、私を見つめる眼差しはどこまでも優しく、不思議な形に刈り込まれた樹木のそばで佇む様子は、上品でありながら理知的で包容力に溢れていた。
――王子を抱きしめてしまいたいわ……。
父の悔しさは私も少しは知っている。ずっと何があったのか知りたいと思っていた。だが、触れてはならない巨大な力があるということも知っていた。
「よければ、僕は調べてみようと思う。お父様の無念を晴らしてあげたいからね」
私は信じられない言葉を王子の口から聞いて、涙が溢れるのを抑えきれなかった。
「よしよし。大丈夫だから」
スティーブン王子は私をそっと抱きしめてくれた。大丈夫、大丈夫と私の背中を優しく撫でてくれて、私は広くて温かい胸の中で涙が溢れるままに抱きしめられていた。
これ以上優しい言葉をかけられたら、私はこの恋心を隠していられるか自信がない。
「夫の義務のことなんだけれど……」
父の法廷弁護士時代の話を私に聞こうとしながら、王子は急に契約婚の条件の話をし始めた。
「はい」
私は素直にうなずいた。
「待って、頷く前に聞いてくれる?夫の義務とは……その昨日のような僕の行動か、もしくは最後まですることなんだけれど……」
スティーブン王子の腕の中で顔を赤らめて、思わずスティーブン王子の顔を見上げた。至近距離で王子の美しい顔が見えて、私は思わず飛びすさろうとして、王子の腕に抱きすくめられた。
「いいね?フランソワーズ、君に対しての義務は全て果たす」
――王子はとんでもないことを言っていることに気づいていらっしゃるのかしら?
私は王子の瞳をこれほど近くで見たことがなかったので、その美しさに心奪われながら、そう思った。
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