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2. レエリナサウラと秘密結社 →数億年前地球 中世ヨーロッパ
第27話 二重スパイの読み まさみ
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「では、沙織が無事に救われて事件が解決した暁には、沙織はお妃候補から外れるということでよろしかったでしょうか。」
沙織の兄の実行(さねゆき)が土下座姿勢のまま、帝に問うた。
そうそう。そうだ。そこは重要な点。私だって是非お聞きしたい。
私は帝の表情の動きを仔細に見つめる。
帝は動揺した、と思う。
お顔が赤くなったり、青くなったり、唇をへのじにしたり、一瞬のうちに表情が動いた。
そして、キッパリと告げた。
「いえ、それはない。私は正式に沙織さんと婚約してゆくゆくは婚姻しようと考えている。」
帝の予想外のお言葉に兄の実行(さねゆき)のみならず、橘五右衛門も土居田陸軍長官も息を呑んだ。
私は悲鳴をあげそうになる。
ちょっと待って。
私は自分の記憶を思い出す。喫茶に来店した時の二人の様子を思い出す。顔を赤らめたり、やたら二人で幸せそうなご様子で、だから私は嫉妬したのではなかったか。
私の嫉妬を、牡丹に鼻で笑われてイライラしたのではなかったか。
既に二人の間には恋が始まったということか。
「帝、恐れながら申し上げます。」
橘五右衛門が静かに告げた。
「吊り橋効果というものがございます。命の危険を感じたり、一緒にゲームに参加してハラハラする時間を過ごして、それを恋と勘違いしてしまう現象でございます。」
よくぞ言った、橘五右衛門!
今日の大金星よ。
そうなの、そうなの。
吊り橋効果で恋と勘違いしているのではないかしら?
私は期待を込めて、帝のお顔を見つめる。
「それはない。私は間宮沙織さんと正式に婚約して結婚しようと思う。彼女を守りたいという思いは、最初の動機とは全く違うものだと断言できる。今はそう考えている。」
「帝!」
「ええ!」
「まさか!」
「そんなー」
私の悲鳴が一番大きかったかもしれない。
恋に落ちつつある帝。私の「旦那様」が、そんな・・・
「承知いたしました。」
沙織の兄の実行(さねゆき)は、未来の弟になられるであろうお方にひれ伏した。
「沙織さんはどうやってゲームに参加したのですか。」
土居田陸軍長官が、ふと、素朴な疑問を言った。私にとってもまだ色々謎があるなかで、その最後のパズルが埋まらない。
橘五右衛門は知っているはずだ。帝も知っているはずだ。
だが、二人揃って同じことを告げた。
「それは言えません。」
「禁断の方法だ。知られてはならない。」
私はそのことは敵も知らないと思っている。一体、どうやってゲームの生存者と間宮沙織の間に強烈な紐付けがされたのか、それは謎である。
罠が仕掛けられて、それに引っかかったのが二重スパイの私。
罠を仕掛けたのは、土居田陸軍長官。
しかし、私が二重スパイであることを帝が告げたその場に、橘五右衛門が同席したことで、標的が増える可能性を私は否定できない。
どう転ぶのか、もはや誰にも制御不能で予測がつかない事態になった。
沙織の兄の実行(さねゆき)が土下座姿勢のまま、帝に問うた。
そうそう。そうだ。そこは重要な点。私だって是非お聞きしたい。
私は帝の表情の動きを仔細に見つめる。
帝は動揺した、と思う。
お顔が赤くなったり、青くなったり、唇をへのじにしたり、一瞬のうちに表情が動いた。
そして、キッパリと告げた。
「いえ、それはない。私は正式に沙織さんと婚約してゆくゆくは婚姻しようと考えている。」
帝の予想外のお言葉に兄の実行(さねゆき)のみならず、橘五右衛門も土居田陸軍長官も息を呑んだ。
私は悲鳴をあげそうになる。
ちょっと待って。
私は自分の記憶を思い出す。喫茶に来店した時の二人の様子を思い出す。顔を赤らめたり、やたら二人で幸せそうなご様子で、だから私は嫉妬したのではなかったか。
私の嫉妬を、牡丹に鼻で笑われてイライラしたのではなかったか。
既に二人の間には恋が始まったということか。
「帝、恐れながら申し上げます。」
橘五右衛門が静かに告げた。
「吊り橋効果というものがございます。命の危険を感じたり、一緒にゲームに参加してハラハラする時間を過ごして、それを恋と勘違いしてしまう現象でございます。」
よくぞ言った、橘五右衛門!
今日の大金星よ。
そうなの、そうなの。
吊り橋効果で恋と勘違いしているのではないかしら?
私は期待を込めて、帝のお顔を見つめる。
「それはない。私は間宮沙織さんと正式に婚約して結婚しようと思う。彼女を守りたいという思いは、最初の動機とは全く違うものだと断言できる。今はそう考えている。」
「帝!」
「ええ!」
「まさか!」
「そんなー」
私の悲鳴が一番大きかったかもしれない。
恋に落ちつつある帝。私の「旦那様」が、そんな・・・
「承知いたしました。」
沙織の兄の実行(さねゆき)は、未来の弟になられるであろうお方にひれ伏した。
「沙織さんはどうやってゲームに参加したのですか。」
土居田陸軍長官が、ふと、素朴な疑問を言った。私にとってもまだ色々謎があるなかで、その最後のパズルが埋まらない。
橘五右衛門は知っているはずだ。帝も知っているはずだ。
だが、二人揃って同じことを告げた。
「それは言えません。」
「禁断の方法だ。知られてはならない。」
私はそのことは敵も知らないと思っている。一体、どうやってゲームの生存者と間宮沙織の間に強烈な紐付けがされたのか、それは謎である。
罠が仕掛けられて、それに引っかかったのが二重スパイの私。
罠を仕掛けたのは、土居田陸軍長官。
しかし、私が二重スパイであることを帝が告げたその場に、橘五右衛門が同席したことで、標的が増える可能性を私は否定できない。
どう転ぶのか、もはや誰にも制御不能で予測がつかない事態になった。
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