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誓約の魔法 ※

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 自然豊かな美しいノーキーフォットの街には、森をはさんで、フィッツクラレンス公爵家の別邸とバウズザック伯爵家の広大な屋敷がある。二つの家は属する王朝が異なった。現王朝のチュゴアートに属するフィッツクラレンス家と、裏の政権であるバリイエル王朝の当主であるバウズザック家は敵対関係にある。

 子供の頃に偶然出会った私とジョシュアは互いの家を知らないままに仲良くなり、相手の家のことを知っても会うのをやめなかった。すぐに互いの特別な魅力に惹かれてしまったから。

 そして大きくなって恋に落ちた。誰にも言えない秘密の関係だった。

 思春期を迎えた私たちはどんどん大人になり、ついに結ばれる日々を迎えた。彼は私を大切に扱った。

 二つ上の大好きな彼のささやく声が私の耳元で熱く響くのを覚えている。私はまだ知らぬ感覚に甘い体の疼きを感じてキスで応える。

「愛している」

 頬を真っ赤に染めあげた私は震えながらもうなずいた。キスから始まった行為はそっと服を脱がされ、胸に口付けされ、性急な愛撫に私が声を漏らして喘ぎ、恥ずかしがる私を彼がなだめすかし、毎日毎日少しずつ少しずつ私たちは先に進んだ

 あぁん……んっ

 初めて口付けをした日。初めてジョシュアの舌が私の首筋を舐めて、胸を触った日。初めてジョシュアが私の下着を脱がして私の胸の先を舐めた日。そこから先は止まらなかった。毎日のように逢瀬を繰り返し、私はジョシュアの手によって、口によって、ジョシュア自身によって少しずつ恋をした幸せを手に入れて行った。


 ジョシュアの部屋のベッドで愛撫され、おかしくなるような快感に喘ぎ声をあげて、何度も何度も私はジョシュアの手によって達する幸せに溺れた。

 あぁっ……

 ジョシュアも私の舌や手の愛撫で達して、幸せに満ちた穏やか眼差しで私を見つていた。

 ついに私たちは愛する人と一つになろうとするとき、私の太ももの間に愛する彼自身が入ってくる前に私たちは誓約したのだ。

 婚姻の契りなく決して互いに大事な体を許してはならないから。

 やんっ……んっ……ぁんっ……っ

 私たちはジョシュアと強力な誓約を交わして行為に及んだ。彼の上気した顔と輝く瞳を今でも私は覚えている。

 そして、その結果として、文字通り追い詰められた。

 私の祖父とジョシュアの祖母は魔術が使えたと聞く。ペガサスの魔力と龍の魔力は有名だ。末裔に隔世遺伝のように、時に応じて魔力を有する子孫が生まれる。

 遺伝的には私もジョシュアも魔術を使える可能性があった。

 追い詰められた私たちは、魔術で未来を変えられるのではないかと期待した。藁にもすがる思いで自分たちの魔力が持つ可能性に頼った。家同士の争いで婚姻できぬ状況を魔術で突破しようとしたのだ。

 その時訪ねた魔女に教わったのがあの呪文だった。


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