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第二夜(1) ※

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 ハイベリー宮殿の周りに夜のとばりが下りる頃、夕食が終わって寝る支度を整えた王太子閣下と私は、めくるめく第二夜を迎えていた。もう一度贅沢に軽く湯を浴びた私と王太子閣下は、湯上がりに月を窓から眺めていた。

 華やな城の塔の上に黄金色の満月がふんわりと並び、王太子閣下と私がやがて移り住むであろう、国王と王妃の居城を美しく華麗に夜の闇に浮かび上がらせていた。

 私はお妃教育担当より、夜の奥義を口頭で手ほどきを受けていた。王太子閣下と王太子妃の交わりは第一義務だから。王家に脈々と受け継がれる男子誕生のための奥義と説明されたが、説明を受けた当時はよく分かっていなかった。最初の結婚生活でも、一度も男性のそのものを見たことはなかったからだ。

 しかし私は熱心に取り組むつもりでいた。よく分からなくても、お妃教育の一環で教えられたことであり、税制と徴収と同じくらいに大切なことなのだから。

 寵愛を受けることに関しては、国の未来を左右することであり、私にとっては大事なつとめだ。


 月を見上げる王太子閣下の唇にそっと自分の唇を重ねて、王太子閣下の手を引いてベッドに連れて行った。私は顔から火が出そうなぐらいに真っ赤だった。

 ぎこちない仕草で王太子閣下をベッドに横たわらせて、そのまま王太子閣下の夜の衣装をそろりそろりと脱がせた。そして、そのまま王太子閣下のそのものにそっと手を添え、舌をー

「待って。キャロルも脱いで」

 そうささやかれて、私は恥じらいながらも自ら美しいレースの縫い込まれたネグリジェをゆっくりと脱いだ。身体中真っ赤だったのではないかと思う。穴があったら入りたいぐらいに恥ずかしかった。

 そのまま舌を使ってみた。王太子閣下は苦悶の表情からよく分からない表情になった。

 うぅっ……あぁ……っ

「だめ……ですか?」

 私は唇をかみしめて、うまくいかなかったのかもしれないと思い、王太子閣下にそっと聞いた。

「だめじゃない……あぁっ……ぁぁっ…」

 だめじゃないと言われた瞬間に私は意を決して奥義を舌を使って続けた。王太子閣下は手を私の胸の辺りに伸ばしてきたが、あぁっ……んと甘い息を吐いてささやいた。

「待って待って……」

 王太子閣下は焦ったようにくるりと向きを変えて、後ろから私を抱きしめた。

「キャロル……僕だけ先にイってしまう。気持ち良すぎるよ……」
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