超神曼陀羅REBOOT

石動天明

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第九章 野獣の饗宴

第八節 黝―あおぐろ―きモノ

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 蛟が、ゆらりと立ち上がる。

 頸を、自分自身の髪の毛でねじり折られたメルの、突き出した頸骨の先端に、陽根をあてがって、そのままむりむりと傷口にねじ込んで行った。

 それを見ている筈なのに、メルを殺したケイ子は何の反応も示さない。

 蛟はメルの咽喉を使い、端正な顔をほんの僅かに歪めて、精を放った。
 逸物を引き抜くと、頭部を外されたメルの頸から、押し出されるようにして粥のような液体が血と混じって吹きこぼれた。

 その間に、メルの頸を折ったのと同じ音が、アミの頸と、そして背骨から聞こえた。

 イクヨはアミの後ろから、彼女の頸を絞めた。そのまま身体を反り返らせて、背骨まで圧し折ってしまったようなのだ。

 正座をしたまま、後頭部を両足の間に落としたアミの、天井を向いたお腹から、あばら骨が突き出している。

 蛟は自分の指に唾液を絡めると、手刀を一閃した。
 アミのお腹に、蛟の指先が通った軌跡を辿り、一筋の口が開いた。
 赤い液体がこぼれる。内臓が覗き、異臭が室内に満ち満ちた。

 蛟はアミの胴体を跨いで、その傷口に自分自身を挿し込んでゆく。

 エリは、蛟に挿入された時、彼がどんな顔をしていたのか見ていない。だが、自分の内部で前後するものの冷淡なテンポから、きっと彼はこれと言った表情を浮かべる事がなかったのであろうと想像した。

 今は、違う。

 蛟は白い頬を紅潮させて、唇を耳まで吊り上げるようにして、アミの内臓を犯している。
 内蔵と言っても、それは膣とか子宮ではなく、大腸の辺りだろうか。

 蛟が、その美貌から出るとは思えぬ唸り声を上げて、達した。
 アミの手折られた身体が痙攣して、口から泡を吐き出した。

 ほぅ……と、一仕事終えたように、熱のこもった吐息を漏らす蛟。

 異常性交という言葉でさえ、彼の行為を表現する事は出来ない。女を強姦した後に殺すとか、死体とSEXをするとかいう話は聞かないではないが、別の女に殺させた死体の、頸やお腹の傷口にペニスを突っ込むというのは、度が過ぎている。

 ベッドの下のエリを、蛟がちらりと見た。その眼が、白く揺らめいているように見えた。

 エリは弾かれたように立ち上がり、逃げ出そうとした。
 その前に、いつの間にかルナが立っている。
 ルナも、エリの頸に手を掛けようとした。

 だがその前に、ケイ子がルナの腕を掴んで、ベッドに引き戻した。
 そしてイクヨと共に、その両腕を鷲掴みにする。

 ルナの、掴まれた上腕から、太い枝木を手折る音がした。

 それぞれ、既に一人を殺している女たちが、両腕を変な方向に折り曲げられたルナの身体に群がってゆく。

 イクヨは、ルナの乳房に噛み付いた。そのまま、柔らかい乳肉の片方を噛み千切る。

 ケイ子はルナの下腹部に頭を突っ込み、陰部から引き裂いてしまった。ベッドの上に大量の血液がこぼれて、シーツに赤い染みが広がってゆく。

 ルナの全身の皮膚を剥ぎ取るように、イクヨとケイ子は歯をがちがちと噛み鳴らした。

 その二人に、背後から近づくものがあった。
 頭が千切れそうになっているメルが、這うようにして迫る。
 背骨を圧し折られたアミは、裂けた腹を上に向け、逆さまの顔で近寄った。
 メルの指先が、イクヨの腰に喰い込む。
 アミの口が、ケイ子の太腿に喰らい付いた。

 イクヨもケイ子も気にせずに、ルナの身体を貪った。メルとアミは、イクヨとケイ子をそれぞれ貪っている。

 そして蛟は、その様子を見ながら自らを慰めているのだ。

 エリは、自分が何処にいるのか、分からなくなってしまった。
 この空間の意味を理解するには、彼女の脳は余りに常人であり過ぎた。

 エリは再び逃げ出した。
 ドアまで一直線に駆け出す。

 部屋のドアはオートロックになっているが、内側からはハンドルをひねるだけで開けられる。エリは全裸のまま、廊下に飛び出した。

 明度の低かった部屋から、鮮やかな電灯が照らす赤いカーペットの上に、勢い余って転がってしまうエリ。

 だがそれは、彼女の駆け出した勢いの所為だけではないようだった。

 その足首に、あおぐろいものが絡み付いている。

 それは人の手ではない。縄のようなものだった。表面がぬるぬると湿っており、血が流れる脈動を感じる事が出来る。

 尻尾?

 エリは、蛇を連想した。
 部屋にそんなものがいたとは思えない。だが、実際にエリの足首には、蛇のようなものが巻き付いているのだ。

 その蛇によって、エリは部屋に連れ戻された。
 ばたんと、再びドアが自動でロックされた。
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