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第3話 当夜(とうや)
しおりを挟むBL熱夏日記(ねっかにっき)
当夜(とうや) 第3話
By 二月永 (イオルリョン)
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一度たりともアバママの誠心を疑ったことはなかった。ユンスと共に漢陽の街の民を目にするまでは。
崇徳保民之心
(徳を崇め、民を守ろうとする心)
敬祖安邦之心
(祖先を敬い、国を安らかにしようとする心)
仁政惠民之心
(仁政を施し、民を恵もうとする心)
護國養民之心
(国を守り、民を養おうとする心)
愛民敬德之心
(民を愛し、徳を敬う心)
経典で学んだ「君主之道」が誤っていると言えるのか?
既に知っていた。
高齢のハルバママの側には、勢力家の外戚たちが主眼を覆い、聖耳を塞ぎ、朝廷の大臣たちは私利私欲に目がくらみ、アバママに忠言する者はいない。
言葉も、心も、何一つ変えられないという事実を、ユンスと共に自らの目で確かめたのだ。
ユンスよ、私はこれからどうすればよいのか?
この国の民は、どうすれば少しでもより良い未来を迎えられるのか?
遅い夜、眠れぬほど混乱し、深いため息で締めくくろうとした、その瞬間だった。
By 朴允洙(パク・ユンス)
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ぼんやりと漏れ出る灯火の光の間に、恋しく思う影があり、そこには無数の言葉がともに交わっていた。
混乱の時勢であることは疑う余地がない。
金厥之(キム・クォルジ)大監
安東金氏の中心勢力であり、自らの娘を高齢の殿下の正妃とした外戚の象徴であり、生まれながらの策略家である。
外戚が官職に就くことを禁じる慣例にもかかわらず、宮廷内で絶大な影響力を行使している人物だ。
近頃の動きを見れば、いつ何時、危険な企みを起こしても不思議ではない。
世孫(セソン)様の親父(チンブ)であられる世子邸下(セジャジョハ)の周囲もまた、危うい状況にある。
配下の密偵の情報によると、将来、玉座に就かれる世子邸下の 国婚(こっこん) を準備し、垂簾聴政(すいれんちょうせい)を企てる大妃殿の動きも捉えられている。
一寸先も見えぬ 風前の灯火(ふうぜんのとうか)の時勢。
世孫様の安全も保証できぬ状況に至った。
不眠之夜(ふみんのや)を過ごされる昨今の状況において、
世孫宮(せそんぐう)でも、徹底した近侍(きんじ)の備えをしていた。
その矢先、一筋の悲鳴が虚空に響き渡り、
鼻をつく煤けた灰の匂いが、むせ返るほどに漂った。
慌てて戸を開け駆け出した世孫様の瞳が揺らいでいた。
「東宮(とうぐう)です!」
炎の気配だ。
確信した瞬間、無意識のうちに世孫様の衣の袖を掴んでいた。
「……確認しなければならぬ」
世孫様の瞳には、いつもそうであるように、一片の偽りもなかった。
「お支度を。後に続きます。」
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