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第一章 神編
舎弟?弟子です
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「アース君。学園の教師にでもなったら?なぁ、テルトはどう思う」
「…アース様は、冷静に対処されていましたし、同じ魔法で相殺した上、アルト様の水球の三段上となるヘプタでダメージを与えることなく戦意を失わせたことから、私も生徒ではなく教師として立つ方が望ましいかと思います」
審判役を務めた執事長…テルトさんと呼ばれた人が、評価してくれた。二人して「教師になれ」なんて言うとは思ってなかった僕は、即座に拒否。
しかしここで、ミューズ王妃が賛成派に加わった。
「でしたら、アルトの師匠のような立場はどうかしら。幼少期にあなたが教えた後は、独学と学園で教わる程度ですもの。師となる者が、本人よりも魔法の扱いが上なら問題ありませんわ」
嫌だよ。同年齢の相手を師匠だなんて。ほら、アルトも言ってやってよ…なんて思ってた僕がバカだった。
アルトは生まれた小鹿のように震える足を気合いと根性で止まらせ、先程までの態度はどこへやら、騎士のように正しい姿勢で「よろしくお願いします」と言った。
退路を断たれた僕は受け入れるしかなくなり、何故か舎弟…もとい弟子となったアルトと共に学園へ通うことに。
流石に毎日付き従い行動を共にする訳には行かず学園内のみとなった。
早速、明日から通うことになったが、この後は冒険者ギルドへ行く予定だったので、解散することにした。
ちなみに住む場所は変わらず城と決まった。
城門から冒険者ギルドへ向う。
転移で来た為に歩いて向かうのは初めてだった。
城壁門を南として中心に王城を構えたアルバ王国。西区にアルバ魔法学園があり、東区に貴族街、北区に開発区がある。開発区はまだ更地だったりスラムがあったりと、プライドの高い貴族にとって近づきたくない場所となっている。当然、高い塀が東区と北区の間にあり、どちらも塀に近づくことはない。
僕は冒険者ギルドがある南区に向かっている訳だが、冒険者ギルドや宿屋の他に王城近くから衣服店、食料店、日用雑貨店、商業ギルド、市場と広がっていることがわかった。平民の住宅は大通りから外れた、中道にあった。
冒険者ギルドに着いた僕を偶然降りて来たトリスが気づき、踵を返してギルドマスター室の方へと駆けて行ったのを見て、「何かやったかな」と思いながらトボトボ依頼掲示板の方へと歩いて行った。
掲示板前に着くや否やトリスさんに呼ばれ、ギルドマスター室へと入った。
そこには、男女四人組パーティが左のソファーに、正面の椅子にギルドマスターと立ち姿のトリスさんがおり、トリスさんから右側のソファーを勧められ着席した。
「アース君。彼らはBランクの〈白き翼〉というパーティだ。ダット、彼は先日冒険者登録したばかりのEランクで、アースという」
「さて、先日アース君は城壁門が閉まってすぐの頃に受付で上薬草を納品してくれたね?それも百束の上薬草を。初めに報告を受けた時は、何かの冗談かと思ったよ」
「新人が上薬草を納品?!」
「命が惜しくないのか!」
剣士のダットという青年と、重そうな鎧の男性が口を挟む。
口を挟まれたことには触れず、ギルドマスターは淡々と話していく。
「アース君が上薬草を採取していた時に恐らく彼らは、レッドボアという赤い体毛の魔物に追いかけられていた。そして何故かレッドボアは突然即死し、アース君は上薬草を納品」
なるほど、あの時の冒険者は彼らだったのか。あの猪の魔物がカウボアの成長後の姿なんだなと、僕はズレた感想を抱いていた。
「心当たりは…ありそうだね」
「あーはい。僕が倒しました」
すると、女性ヒーラーのヒスクがヒステリック気味に叫ぶ。
「ありえません!登録したばかりの新人が、Aランクの魔物を即死させるなどっ!」
「はぁ、アース君。レッドボアはアルバ大森林の中心部辺りに生息する、Aランクの危険な魔物なんだ。参考までにどうやって倒したか教えて欲しい」
「極小のアクア・ショットを頭に」
「上級魔法ですか…」
そう呟くトリスさん。
「え?”優化魔法”ですよ?」
トリスさんは若干引き気味の顔で、優化魔法は優魔族など人族ではない者の言い方で、人族はそれを上級魔法と言い換え、劣化魔法も下級魔法と言っているそうだ。
とにかく、彼らの討伐依頼であるレッドボアをピンチ時に救ったとはいえ、横槍を入れたことに変わりはなかった。
登録早々にこんなことになるとは思っておらず、僕は内心ビクビクしていた。
「…アース様は、冷静に対処されていましたし、同じ魔法で相殺した上、アルト様の水球の三段上となるヘプタでダメージを与えることなく戦意を失わせたことから、私も生徒ではなく教師として立つ方が望ましいかと思います」
審判役を務めた執事長…テルトさんと呼ばれた人が、評価してくれた。二人して「教師になれ」なんて言うとは思ってなかった僕は、即座に拒否。
しかしここで、ミューズ王妃が賛成派に加わった。
「でしたら、アルトの師匠のような立場はどうかしら。幼少期にあなたが教えた後は、独学と学園で教わる程度ですもの。師となる者が、本人よりも魔法の扱いが上なら問題ありませんわ」
嫌だよ。同年齢の相手を師匠だなんて。ほら、アルトも言ってやってよ…なんて思ってた僕がバカだった。
アルトは生まれた小鹿のように震える足を気合いと根性で止まらせ、先程までの態度はどこへやら、騎士のように正しい姿勢で「よろしくお願いします」と言った。
退路を断たれた僕は受け入れるしかなくなり、何故か舎弟…もとい弟子となったアルトと共に学園へ通うことに。
流石に毎日付き従い行動を共にする訳には行かず学園内のみとなった。
早速、明日から通うことになったが、この後は冒険者ギルドへ行く予定だったので、解散することにした。
ちなみに住む場所は変わらず城と決まった。
城門から冒険者ギルドへ向う。
転移で来た為に歩いて向かうのは初めてだった。
城壁門を南として中心に王城を構えたアルバ王国。西区にアルバ魔法学園があり、東区に貴族街、北区に開発区がある。開発区はまだ更地だったりスラムがあったりと、プライドの高い貴族にとって近づきたくない場所となっている。当然、高い塀が東区と北区の間にあり、どちらも塀に近づくことはない。
僕は冒険者ギルドがある南区に向かっている訳だが、冒険者ギルドや宿屋の他に王城近くから衣服店、食料店、日用雑貨店、商業ギルド、市場と広がっていることがわかった。平民の住宅は大通りから外れた、中道にあった。
冒険者ギルドに着いた僕を偶然降りて来たトリスが気づき、踵を返してギルドマスター室の方へと駆けて行ったのを見て、「何かやったかな」と思いながらトボトボ依頼掲示板の方へと歩いて行った。
掲示板前に着くや否やトリスさんに呼ばれ、ギルドマスター室へと入った。
そこには、男女四人組パーティが左のソファーに、正面の椅子にギルドマスターと立ち姿のトリスさんがおり、トリスさんから右側のソファーを勧められ着席した。
「アース君。彼らはBランクの〈白き翼〉というパーティだ。ダット、彼は先日冒険者登録したばかりのEランクで、アースという」
「さて、先日アース君は城壁門が閉まってすぐの頃に受付で上薬草を納品してくれたね?それも百束の上薬草を。初めに報告を受けた時は、何かの冗談かと思ったよ」
「新人が上薬草を納品?!」
「命が惜しくないのか!」
剣士のダットという青年と、重そうな鎧の男性が口を挟む。
口を挟まれたことには触れず、ギルドマスターは淡々と話していく。
「アース君が上薬草を採取していた時に恐らく彼らは、レッドボアという赤い体毛の魔物に追いかけられていた。そして何故かレッドボアは突然即死し、アース君は上薬草を納品」
なるほど、あの時の冒険者は彼らだったのか。あの猪の魔物がカウボアの成長後の姿なんだなと、僕はズレた感想を抱いていた。
「心当たりは…ありそうだね」
「あーはい。僕が倒しました」
すると、女性ヒーラーのヒスクがヒステリック気味に叫ぶ。
「ありえません!登録したばかりの新人が、Aランクの魔物を即死させるなどっ!」
「はぁ、アース君。レッドボアはアルバ大森林の中心部辺りに生息する、Aランクの危険な魔物なんだ。参考までにどうやって倒したか教えて欲しい」
「極小のアクア・ショットを頭に」
「上級魔法ですか…」
そう呟くトリスさん。
「え?”優化魔法”ですよ?」
トリスさんは若干引き気味の顔で、優化魔法は優魔族など人族ではない者の言い方で、人族はそれを上級魔法と言い換え、劣化魔法も下級魔法と言っているそうだ。
とにかく、彼らの討伐依頼であるレッドボアをピンチ時に救ったとはいえ、横槍を入れたことに変わりはなかった。
登録早々にこんなことになるとは思っておらず、僕は内心ビクビクしていた。
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