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第二章 婚約破棄編
これからのこと
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「ヴァイス様……」
もう会えないと思っていた彼が、今目の前にいる。エルシャのこともヴァイス様のことも夢ではないのかと思った。
しかしエルシャの背には翼があり、彼はそこにいた。
「聖典が嘘を広める本だとわかったところで聞きたいんだけど、今アーテル国には王子と両親、王子の一派とシャイニーの両親が残ってるんだよね?シャイニーの両親を国から救って、放っておけば結界のない国は、聖典と一緒になくなると思うんだよ」
「それほど上手くことが進みますか?」
尋ねるアグエイアスさんに、ギルドマスターのリゲルさんが口を開く。
「どの大陸にも魔物がかなりの数いますし、結界で今まで守りを固めて来た国は自衛の手段が少ないと思います。それにあの国は、冒険者の入国を断っていますから」
リゲルさんの言うように僕らは、のんびり過ごすだけで良いと思う。結界がなくなっただけで維持出来なくなるなら、それまでということ。
後は、目の前の二人の若者が結ばれるかどうか。
その若者二人は、手を取り合い何やら話しているがあまり聞こえない。シャイニーは口元に手をやり驚いた様子になるが、次にはお互い抱きしめ合っていた。展開、早過ぎない?
「カイト、暑くない?」と冗談っぽく聞くと「風を送りましょうか?」とまるで通じてない。
これにはアグエイアスさんも苦笑で真面目すぎるのも困ると思った。
「アース様、俺、シャイニーに伝えましたよ」
親指を立ててドヤ顔を披露するヴァイス君。君そんなキャラだった?あまりの変わりように僕は呆気に取られた。
「アグエイアス国王陛下。お願いしたいことがあります」
「貴族籍はお願いされてもダメだが…」
「私はアーテル国の王族ではなく孤児でした。優魔族のヴァイスではありますが、この王国に住むことを許可して頂きたく…」
そう跪き頭を下げる彼にアグエイアスさんは、「今すぐには決められない」と妥当な判断をした。
人族が住む王国に他種族が加えて欲しいと頭を下げている。過去の事件があったとしてもどの種族だろうと変わりなく、多数の意見を聞き国王が最終決定を下すのだ。そうやってこの王国は続けて来た。
「当分の間…つまり判断が出るまで、アース様の飲食店で彼を雇って貰いたいのだが、どうだろうか」
「…どうだろうか、カイト君」
「私ですか。まぁ問題はないと思います。今のあなたしかわかりませんが、王族であったなら礼儀作法やマナーは学んでいるでしょう。王国と同じかはわかりませんが、その辺は教えます。後は平民も貴族も関係なく、態度を変えることなく接して下さるなら」
カイトは空中に書き記している文字を読むように、スラスラと言葉を発していた。一度も噛むことも止まることもなくスラスラと。
直立から、バッと頭を下げてまた直立に戻るヴァイス君は、真面目な人の印象を受けた。彼なら働いても困ることにはならないだろう。何故かそんな気がした。
もう会えないと思っていた彼が、今目の前にいる。エルシャのこともヴァイス様のことも夢ではないのかと思った。
しかしエルシャの背には翼があり、彼はそこにいた。
「聖典が嘘を広める本だとわかったところで聞きたいんだけど、今アーテル国には王子と両親、王子の一派とシャイニーの両親が残ってるんだよね?シャイニーの両親を国から救って、放っておけば結界のない国は、聖典と一緒になくなると思うんだよ」
「それほど上手くことが進みますか?」
尋ねるアグエイアスさんに、ギルドマスターのリゲルさんが口を開く。
「どの大陸にも魔物がかなりの数いますし、結界で今まで守りを固めて来た国は自衛の手段が少ないと思います。それにあの国は、冒険者の入国を断っていますから」
リゲルさんの言うように僕らは、のんびり過ごすだけで良いと思う。結界がなくなっただけで維持出来なくなるなら、それまでということ。
後は、目の前の二人の若者が結ばれるかどうか。
その若者二人は、手を取り合い何やら話しているがあまり聞こえない。シャイニーは口元に手をやり驚いた様子になるが、次にはお互い抱きしめ合っていた。展開、早過ぎない?
「カイト、暑くない?」と冗談っぽく聞くと「風を送りましょうか?」とまるで通じてない。
これにはアグエイアスさんも苦笑で真面目すぎるのも困ると思った。
「アース様、俺、シャイニーに伝えましたよ」
親指を立ててドヤ顔を披露するヴァイス君。君そんなキャラだった?あまりの変わりように僕は呆気に取られた。
「アグエイアス国王陛下。お願いしたいことがあります」
「貴族籍はお願いされてもダメだが…」
「私はアーテル国の王族ではなく孤児でした。優魔族のヴァイスではありますが、この王国に住むことを許可して頂きたく…」
そう跪き頭を下げる彼にアグエイアスさんは、「今すぐには決められない」と妥当な判断をした。
人族が住む王国に他種族が加えて欲しいと頭を下げている。過去の事件があったとしてもどの種族だろうと変わりなく、多数の意見を聞き国王が最終決定を下すのだ。そうやってこの王国は続けて来た。
「当分の間…つまり判断が出るまで、アース様の飲食店で彼を雇って貰いたいのだが、どうだろうか」
「…どうだろうか、カイト君」
「私ですか。まぁ問題はないと思います。今のあなたしかわかりませんが、王族であったなら礼儀作法やマナーは学んでいるでしょう。王国と同じかはわかりませんが、その辺は教えます。後は平民も貴族も関係なく、態度を変えることなく接して下さるなら」
カイトは空中に書き記している文字を読むように、スラスラと言葉を発していた。一度も噛むことも止まることもなくスラスラと。
直立から、バッと頭を下げてまた直立に戻るヴァイス君は、真面目な人の印象を受けた。彼なら働いても困ることにはならないだろう。何故かそんな気がした。
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