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第三章 転生編
合流
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高ランク冒険者になったからか、アース、ルシオン、トルテの三人は自重という名の魔力制御を覚えた。今までの彼らなら、高火力の魔法で魔物を倒すのが普通だった。が、悪目立ちを避けて行動したり他者に被害が及ばないようにしたりと、魔力を抑えて行動した為か魔力制御が自然と身についたのだ。必要な時に必要な分だけ魔力を放出することを覚えた彼らは、周囲に無駄な被害を出すことがなくなっていった。
しかし今は緊急事態。魔力制御は必要だが、出し惜しみしてる場合ではない。一刻も早く冒険者タイヨウと合流し、事情を聞く必要があった。
なので、最近になって覚えた身体強化で走り続けていた。
「なぁ、アース。その火の大精霊様が言った黒龍というのは、どのくらいの強さなんだ?アースなら勝てそうだが、俺やトルテは難しいのか?」
走りながらルシオンはそんなことを言う。
「僕が全力で攻撃すれば倒せるけど、その代わりこの星が持ちそうにない。ルシオンとトルテの二人で黒龍に挑んでも、ギリギリ届かないんじゃないかな。体力切れすると思う」
「黒龍と対峙した際に体力も魔力も万全の状態であれば、勝つ可能性はありますか?」
「あると思うよ。黒龍が最後の力を振り絞って…とかなければ。龍はブレスだけでなくその体が武器だからね。大きさも違うから…当たったら痛いよ?」
最後だけ柔らかく口にすると、彼らは苦笑していた。
そう、龍はその巨体が武器であり鎧でもある。下級魔法では大したダメージにはならないだろう。その上、膨大な魔力を持っている。たった一撃でも身体に受ければ、タダでは済まない。
余裕を持って会話を繰り広げていたその時、【空間把握】に目当ての人物が引っかかった。
「止まろう」
僕の声に合わせて、ルシオンとトルテもその場で止まり、土埃が舞う。少し強めの風を吹かせて土埃を払うと、丸と人影が少し前に見えた。
「おーーーい!」
気づいてくれるように大きな声で彼を呼んだ。すると、向こうも気づいてくれて手を振り返してくれる。
良かった。そう安堵する。無視して通り過ぎるのなら、攻撃してでも止まってもらうつもりだったから。
「上から失礼します。初めまして、冒険者のタイヨウです。このスライムは仲間なんで攻撃はしないで下さい」
優しげな口調で挨拶をして来たことに好感が持てる。
「あー知ってる知ってる。転生者のタイヨウ君でしょ」
言った途端、目を見開いた後、僕の方をじーっと見つめてくる。あっ、弾いたな。
「おいおい、勝手に鑑定するのはダメだろう。ちゃんと転生する前に言ったんだけどな、聞いてなかったのか?」
語尾に怒気を含み殺気を向けると、タイヨウ君だけでなくキングスライムまでもが後ずさりした。
「す、すみません…あの、あなたは何者なんですか?」
キングスライムの影から恐る恐る聞いてくるあたり、殺気が強すぎたかな。
それにしても、ヒントを与えてもまだ僕に気づかないのか……。
「この姿なら思い出せるか?」
僕は、タイヨウが転生前に話していたお爺さんの姿に変わる。それを見た彼は、僕を指差し突然叫んだ。
「あの時のお爺さん!!」
しかし今は緊急事態。魔力制御は必要だが、出し惜しみしてる場合ではない。一刻も早く冒険者タイヨウと合流し、事情を聞く必要があった。
なので、最近になって覚えた身体強化で走り続けていた。
「なぁ、アース。その火の大精霊様が言った黒龍というのは、どのくらいの強さなんだ?アースなら勝てそうだが、俺やトルテは難しいのか?」
走りながらルシオンはそんなことを言う。
「僕が全力で攻撃すれば倒せるけど、その代わりこの星が持ちそうにない。ルシオンとトルテの二人で黒龍に挑んでも、ギリギリ届かないんじゃないかな。体力切れすると思う」
「黒龍と対峙した際に体力も魔力も万全の状態であれば、勝つ可能性はありますか?」
「あると思うよ。黒龍が最後の力を振り絞って…とかなければ。龍はブレスだけでなくその体が武器だからね。大きさも違うから…当たったら痛いよ?」
最後だけ柔らかく口にすると、彼らは苦笑していた。
そう、龍はその巨体が武器であり鎧でもある。下級魔法では大したダメージにはならないだろう。その上、膨大な魔力を持っている。たった一撃でも身体に受ければ、タダでは済まない。
余裕を持って会話を繰り広げていたその時、【空間把握】に目当ての人物が引っかかった。
「止まろう」
僕の声に合わせて、ルシオンとトルテもその場で止まり、土埃が舞う。少し強めの風を吹かせて土埃を払うと、丸と人影が少し前に見えた。
「おーーーい!」
気づいてくれるように大きな声で彼を呼んだ。すると、向こうも気づいてくれて手を振り返してくれる。
良かった。そう安堵する。無視して通り過ぎるのなら、攻撃してでも止まってもらうつもりだったから。
「上から失礼します。初めまして、冒険者のタイヨウです。このスライムは仲間なんで攻撃はしないで下さい」
優しげな口調で挨拶をして来たことに好感が持てる。
「あー知ってる知ってる。転生者のタイヨウ君でしょ」
言った途端、目を見開いた後、僕の方をじーっと見つめてくる。あっ、弾いたな。
「おいおい、勝手に鑑定するのはダメだろう。ちゃんと転生する前に言ったんだけどな、聞いてなかったのか?」
語尾に怒気を含み殺気を向けると、タイヨウ君だけでなくキングスライムまでもが後ずさりした。
「す、すみません…あの、あなたは何者なんですか?」
キングスライムの影から恐る恐る聞いてくるあたり、殺気が強すぎたかな。
それにしても、ヒントを与えてもまだ僕に気づかないのか……。
「この姿なら思い出せるか?」
僕は、タイヨウが転生前に話していたお爺さんの姿に変わる。それを見た彼は、僕を指差し突然叫んだ。
「あの時のお爺さん!!」
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