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第四章 水の楽園編
創造神アース⑤
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私は精霊王ネクサス。
今日は百年に一度の大精霊報告会。開催場所は変わらず精霊界で行われる。まとめ役は精霊王である私だ。もう、何度目になるかは忘れてしまったが。
「さて、報告会を始めよう」
開始の合図をかけて円席を見回すと、隣に座る本物の精霊王と目が合った。
『アース様、私の真似をしなくても良かったのでは?…改めて報告会を始める。では、タイキから』
名を呼ばれた火の大精霊タイキが報告を行っていく。
『俺のいる火山地帯の近くでたま~に、ドワーフを見かけるんだよ。ラクド何か知ってるか?』
「また予言に関係すること?」
『アース様、黒龍の件は持ち出さないで欲しいなぁ~』
苦笑いをしながら椅子の上でぷかぷか浮かぶタイキ。
彼も予想が当たるとは思っておらず、当時は酷く焦っていたようだ。
『若いモンが勝手にうろついておるようじゃ。見つけ次第、燃やしてくれてかまわん。例え眷属でも他のモンの所に、ズカズカ入るような奴らは面倒見きれんわい』
『おっけ~』
軽く返事するタイキもだけど、”王道楽土”の文字そのままの名を与えた、ドワーフお爺さんも中々言うことが過激だ。僕もラクドって呼ぼうかな。
「ラクドとタイキの場所って近いの?」
疑問をぶつけてみた。
『いんや。間に海があんだけど下で繋がってんだよな、あの場所』
「え、大陸同士が繋がってるの?初耳なんだけど」
なんと、大陸下部が繋がっており、行き来することが出来るようだ。大陸間に海があっても川のような扱いだからか、ドワーフでもギリギリ渡ることが出来るらしい。
問題は繋がっている場所で、崩れることはないが呼吸がし難く、最悪死に至るという。しかし危険を犯してでも若いドワーフは、より良い素材を求めてタイキの支配領域へ向かうとか。
「ちなみにその、より良い素材ってどんな鉱石?」
『六角形状の集合体でクオーツと呼ばれ、めちゃくちゃ綺麗なやつは水晶ってぇモンになる。後は…そうだな、龍鉄か』
「龍鉄?聞いたことない鉱石だね」
チラチラとタイキの方に視線を向けつつ、ラクドは話し始めた。
要は、寿命で死んでしまった龍の外殻だった。龍族が寿命で死ぬ際に、自身より高位の龍に燃やしてもらう訳だが、そうすると外殻が硬質化し魔素と合わさることで、龍鉄という物質に変化するらしい。
鉄の最上位物質が龍鉄で、龍族が死ぬ時が素材を入手出来る時な為、非常に価値が高いという訳だ。また、ドワーフであれば龍鉄は加工がしやすく、どんな鉱石とも相性が良いという。
そりゃ、欲しくなるな。
『龍は素材じゃねぇ』
『あぁ、わかっとる。若いモンらにも伝えとるが、奴ら、「再利用してるだけだ」と言い張っておるんじゃ。じゃから、火山地帯におるドワーフは燃やしてくれてかまわん』
過激だ。龍鉄も会話の内容も出来れば聞きたくなかった。
そして、タイキの報告が終わり水の大精霊アマヨの番になった。
『次は、アマヨだ』
『……特にない』
青の短髪に上半身は上着一枚で、下半身が海龍尾の男性が呟く。
女性のような名前だが、男性でしかも強面。黒龍と同じで話せば良い奴なのだが、非常に口数が少ない。力は強いが消極的と、色々残念な大精霊だ。
「アマヨが普段いるのってどこ?」
『海の底の楽園……』
「へー、じゃあ近々行ってみるよ」
顔を赤らめて俯くアマヨ。恥ずかしがり屋さんだったんだね。
『次は、オウドウラクド』
腕組みをして一言。
『ない』
そう言い切った。白黒つけたいタイプだから、きっと何も報告はないんだろう。ネクサスもそう思ったのか、ウィニングへと回る。
『私からは一点報告があります。エルフ族が数名、里を出ております。出るのは個人の自由なので止めておりません。もし見かけたら仲良くしてあげて下さい』
「アルバ王国にもエルフ族二人とハイエルフ族一人がいたけど、上手く過ごしてたよ。学園の長と補佐をやってる方はもう、高齢なんじゃないかな。冒険者ギルドのギルドマスターは、まだ若いと思うよ」
『アース様、また下界へ行った際は鼓舞して貰えますか』
「眷属思いだね~」
闇の大精霊アビスと光の大精霊シャインも、報告はなくスムーズに進んだ。
予言らしきこともなく、安心して解散することが出来た僕は、神界へと【転移】した。
今日は百年に一度の大精霊報告会。開催場所は変わらず精霊界で行われる。まとめ役は精霊王である私だ。もう、何度目になるかは忘れてしまったが。
「さて、報告会を始めよう」
開始の合図をかけて円席を見回すと、隣に座る本物の精霊王と目が合った。
『アース様、私の真似をしなくても良かったのでは?…改めて報告会を始める。では、タイキから』
名を呼ばれた火の大精霊タイキが報告を行っていく。
『俺のいる火山地帯の近くでたま~に、ドワーフを見かけるんだよ。ラクド何か知ってるか?』
「また予言に関係すること?」
『アース様、黒龍の件は持ち出さないで欲しいなぁ~』
苦笑いをしながら椅子の上でぷかぷか浮かぶタイキ。
彼も予想が当たるとは思っておらず、当時は酷く焦っていたようだ。
『若いモンが勝手にうろついておるようじゃ。見つけ次第、燃やしてくれてかまわん。例え眷属でも他のモンの所に、ズカズカ入るような奴らは面倒見きれんわい』
『おっけ~』
軽く返事するタイキもだけど、”王道楽土”の文字そのままの名を与えた、ドワーフお爺さんも中々言うことが過激だ。僕もラクドって呼ぼうかな。
「ラクドとタイキの場所って近いの?」
疑問をぶつけてみた。
『いんや。間に海があんだけど下で繋がってんだよな、あの場所』
「え、大陸同士が繋がってるの?初耳なんだけど」
なんと、大陸下部が繋がっており、行き来することが出来るようだ。大陸間に海があっても川のような扱いだからか、ドワーフでもギリギリ渡ることが出来るらしい。
問題は繋がっている場所で、崩れることはないが呼吸がし難く、最悪死に至るという。しかし危険を犯してでも若いドワーフは、より良い素材を求めてタイキの支配領域へ向かうとか。
「ちなみにその、より良い素材ってどんな鉱石?」
『六角形状の集合体でクオーツと呼ばれ、めちゃくちゃ綺麗なやつは水晶ってぇモンになる。後は…そうだな、龍鉄か』
「龍鉄?聞いたことない鉱石だね」
チラチラとタイキの方に視線を向けつつ、ラクドは話し始めた。
要は、寿命で死んでしまった龍の外殻だった。龍族が寿命で死ぬ際に、自身より高位の龍に燃やしてもらう訳だが、そうすると外殻が硬質化し魔素と合わさることで、龍鉄という物質に変化するらしい。
鉄の最上位物質が龍鉄で、龍族が死ぬ時が素材を入手出来る時な為、非常に価値が高いという訳だ。また、ドワーフであれば龍鉄は加工がしやすく、どんな鉱石とも相性が良いという。
そりゃ、欲しくなるな。
『龍は素材じゃねぇ』
『あぁ、わかっとる。若いモンらにも伝えとるが、奴ら、「再利用してるだけだ」と言い張っておるんじゃ。じゃから、火山地帯におるドワーフは燃やしてくれてかまわん』
過激だ。龍鉄も会話の内容も出来れば聞きたくなかった。
そして、タイキの報告が終わり水の大精霊アマヨの番になった。
『次は、アマヨだ』
『……特にない』
青の短髪に上半身は上着一枚で、下半身が海龍尾の男性が呟く。
女性のような名前だが、男性でしかも強面。黒龍と同じで話せば良い奴なのだが、非常に口数が少ない。力は強いが消極的と、色々残念な大精霊だ。
「アマヨが普段いるのってどこ?」
『海の底の楽園……』
「へー、じゃあ近々行ってみるよ」
顔を赤らめて俯くアマヨ。恥ずかしがり屋さんだったんだね。
『次は、オウドウラクド』
腕組みをして一言。
『ない』
そう言い切った。白黒つけたいタイプだから、きっと何も報告はないんだろう。ネクサスもそう思ったのか、ウィニングへと回る。
『私からは一点報告があります。エルフ族が数名、里を出ております。出るのは個人の自由なので止めておりません。もし見かけたら仲良くしてあげて下さい』
「アルバ王国にもエルフ族二人とハイエルフ族一人がいたけど、上手く過ごしてたよ。学園の長と補佐をやってる方はもう、高齢なんじゃないかな。冒険者ギルドのギルドマスターは、まだ若いと思うよ」
『アース様、また下界へ行った際は鼓舞して貰えますか』
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