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第四章 水の楽園編
二回目の授業
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「揃ってないな。同じAクラスのエリアルは何か知ってるか?レインは休み?」
「い、いえ、来てます」
首を振り答えるエリアル。来てるのに来ないのか。
座学が理由なのか、そういう態度が許されると思ってるのか、どちらにしろ良くない。
とりあえず、放っとこう。
「ふぅん。じゃあ今日は、アクロから聞いてると思うけど座学をする。題をつけるなら、呼吸と制御ってとこかな。最初の質問は、ビアンカにしてもらうけど魔力って何だと思う?」
「へ?あ、ま、魔力…ですか。魔法を使う為に必要な力です」
「当たってるようで当たってない」
皆は驚いた顔をする。そうだな、教科書には、そう書いてるからな。
「魔法を使う時に必要になるのは、魔力じゃなく魔素になる。魔素は無味無臭無色透明で空気と同じくどこにでも存在する。全ての生き物は、呼吸をする。体内に酸素…必要な物質を含む空気を送り、二酸化炭素…必要な物質がなくなった空気を吐き出すことで、生きることができる」
チラリと彼らを見ると、皆ノートにもの凄い速さでペンを走らせていた。
うん。ゆっくり話そう。
「吸って吐く呼吸をした時に、酸素と一緒に魔素も体内に入る。だいたい一分間に、十二回~二十回までが呼吸の回数として正常だと思う。酸素も魔素も取り込み過ぎると、身体に疲労が蓄積されてしまい身体に不調が起きるんだ…魔力酔いとかね」
思い当たることがあるのか、アクロが難しい顔をしている。
わかりやすい例えも話しておこう。
「魔力回復を促す、マナポーションを過剰摂取すると起きる魔力酔いも、同じ理由だよ。皆それぞれに魔素を取り込む量は決まっていて、それを超えてしまうと不調に繋がるんだ」
「酸素は、生きるために必要な物質を体内に取り込むことで、消費する。対して魔素は呼吸で取り込み、心臓近くに魔素を溜めて容量が超えると、息を吐く時に魔素も吐き出され無意識の内に取り込む量は制御される」
一度説明されただけじゃ、難しくてわからないだろう。
ぜひ、ノートを見返して頑張って欲しい。
「長々と魔法を使う為に必要な魔素について話したけど、魔力の答えを言うと、魔力とは”魔素を取り込み過ぎないように制御する力”のことだ。これ以上入らないから、後の魔素はいらないよって拒否する力のことを魔力と言い、拒否反応が他と違うことを表す為に、魔力量と呼ばれるようになった」
エリアルは本を沢山読んでるみたいだから、突き進むタイプに聞いて理解してるか試してみるか。
そう思い、彼女に尋ねてみた。
「アニカはわかったか?」
この中で頭が悪そ…気合いで突き進みそうなアニカに、振る。
アニカがわかっているなら、皆わかるハズだ!
「えっとー、魔力は、魔素っていう魔法を使う為に必要なものを溜め込み過ぎないように、抑える力……?」
そうだよ、アニカ!良くやった!
アニカがわかってるなら大丈夫だ!
僕は嬉しくなって、微笑みながらうんうんと頷く。
おや、エバレットが手を挙げてる……。
「どうした?」
「呼吸で魔法を使う力、魔素が溜まるんやったら魔法をつこうてる時にも呪文唱えるんやから、呼吸が止まらん限り尽きることはないんとちゃう」
「良いこと聞くなぁ、エバレット。呼吸をし続ける限り魔素は、体内に入ろうとする。けど、さっき言ったけど魔力量は決まってるから、いくら呼吸をしようとも身体そのものを休ませないと、魔素を受けつけることはない。魔力量は身長と同じで、無限に伸び続ける訳じゃないからな」
理由つきで「無限じゃない」と言われて納得したのか、エバレットはまたノートにペンを異常な速さで、走らせた。
早すぎて、摩擦で燃えるんじゃないか、と思う程に。
「はい、アマネ」
「何で学園の教科書に書いてることと違うんですか?」
「教科書に書いてることの方が、伝わりやすくて難しくないからだと思うよ。それにもし他の人が知ってたなら、少しでも書物に残ってるんじゃないか?」
僕の返答にエリアルが「そんな本見たことない」、そう呟いていた。
まぁそれが答えだな。僕以外知らないことだから、本がない。
多分合ってると思う…という憶測で、教科書には記されている。
そしてそれが続くことで”当たり前”になった。
「今日の授業は終わりだ。あぁ、毎日体内に溜まった魔素を使い切ると、魔力量は少しずつ増えるぞ。だいたい一ヶ月で、ウォータが一回分くらい増える。じゃあ、明日もこの時間で~」
最後に爆弾発言をしたことで、アクロを含む全員の動きが止まる。
その場を離れた僕に聞くのではなく、残っていたアクロに顔をグリンッと向けて、矢継ぎ早に質問攻めをしたらしい。
アクロから恨みがましく言われた。
「い、いえ、来てます」
首を振り答えるエリアル。来てるのに来ないのか。
座学が理由なのか、そういう態度が許されると思ってるのか、どちらにしろ良くない。
とりあえず、放っとこう。
「ふぅん。じゃあ今日は、アクロから聞いてると思うけど座学をする。題をつけるなら、呼吸と制御ってとこかな。最初の質問は、ビアンカにしてもらうけど魔力って何だと思う?」
「へ?あ、ま、魔力…ですか。魔法を使う為に必要な力です」
「当たってるようで当たってない」
皆は驚いた顔をする。そうだな、教科書には、そう書いてるからな。
「魔法を使う時に必要になるのは、魔力じゃなく魔素になる。魔素は無味無臭無色透明で空気と同じくどこにでも存在する。全ての生き物は、呼吸をする。体内に酸素…必要な物質を含む空気を送り、二酸化炭素…必要な物質がなくなった空気を吐き出すことで、生きることができる」
チラリと彼らを見ると、皆ノートにもの凄い速さでペンを走らせていた。
うん。ゆっくり話そう。
「吸って吐く呼吸をした時に、酸素と一緒に魔素も体内に入る。だいたい一分間に、十二回~二十回までが呼吸の回数として正常だと思う。酸素も魔素も取り込み過ぎると、身体に疲労が蓄積されてしまい身体に不調が起きるんだ…魔力酔いとかね」
思い当たることがあるのか、アクロが難しい顔をしている。
わかりやすい例えも話しておこう。
「魔力回復を促す、マナポーションを過剰摂取すると起きる魔力酔いも、同じ理由だよ。皆それぞれに魔素を取り込む量は決まっていて、それを超えてしまうと不調に繋がるんだ」
「酸素は、生きるために必要な物質を体内に取り込むことで、消費する。対して魔素は呼吸で取り込み、心臓近くに魔素を溜めて容量が超えると、息を吐く時に魔素も吐き出され無意識の内に取り込む量は制御される」
一度説明されただけじゃ、難しくてわからないだろう。
ぜひ、ノートを見返して頑張って欲しい。
「長々と魔法を使う為に必要な魔素について話したけど、魔力の答えを言うと、魔力とは”魔素を取り込み過ぎないように制御する力”のことだ。これ以上入らないから、後の魔素はいらないよって拒否する力のことを魔力と言い、拒否反応が他と違うことを表す為に、魔力量と呼ばれるようになった」
エリアルは本を沢山読んでるみたいだから、突き進むタイプに聞いて理解してるか試してみるか。
そう思い、彼女に尋ねてみた。
「アニカはわかったか?」
この中で頭が悪そ…気合いで突き進みそうなアニカに、振る。
アニカがわかっているなら、皆わかるハズだ!
「えっとー、魔力は、魔素っていう魔法を使う為に必要なものを溜め込み過ぎないように、抑える力……?」
そうだよ、アニカ!良くやった!
アニカがわかってるなら大丈夫だ!
僕は嬉しくなって、微笑みながらうんうんと頷く。
おや、エバレットが手を挙げてる……。
「どうした?」
「呼吸で魔法を使う力、魔素が溜まるんやったら魔法をつこうてる時にも呪文唱えるんやから、呼吸が止まらん限り尽きることはないんとちゃう」
「良いこと聞くなぁ、エバレット。呼吸をし続ける限り魔素は、体内に入ろうとする。けど、さっき言ったけど魔力量は決まってるから、いくら呼吸をしようとも身体そのものを休ませないと、魔素を受けつけることはない。魔力量は身長と同じで、無限に伸び続ける訳じゃないからな」
理由つきで「無限じゃない」と言われて納得したのか、エバレットはまたノートにペンを異常な速さで、走らせた。
早すぎて、摩擦で燃えるんじゃないか、と思う程に。
「はい、アマネ」
「何で学園の教科書に書いてることと違うんですか?」
「教科書に書いてることの方が、伝わりやすくて難しくないからだと思うよ。それにもし他の人が知ってたなら、少しでも書物に残ってるんじゃないか?」
僕の返答にエリアルが「そんな本見たことない」、そう呟いていた。
まぁそれが答えだな。僕以外知らないことだから、本がない。
多分合ってると思う…という憶測で、教科書には記されている。
そしてそれが続くことで”当たり前”になった。
「今日の授業は終わりだ。あぁ、毎日体内に溜まった魔素を使い切ると、魔力量は少しずつ増えるぞ。だいたい一ヶ月で、ウォータが一回分くらい増える。じゃあ、明日もこの時間で~」
最後に爆弾発言をしたことで、アクロを含む全員の動きが止まる。
その場を離れた僕に聞くのではなく、残っていたアクロに顔をグリンッと向けて、矢継ぎ早に質問攻めをしたらしい。
アクロから恨みがましく言われた。
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