瞬間移動して暴く彼女

episode.hotaka

藤穂高の生まれ持った才能

　私がもう一つ気になっていたことは、穂高さんの特殊能力だ。いきなり特殊能力と言っても、ファンタジーの世界を想像するかもしれないが、穂高さん以外は特殊な能力もないし、この世界に特殊能力があること自体がおかしいと思う。

「穂高さんの瞬間移動ってどうやってできるんですか。」
穂高さんは、何かいいことを思いついたように言った。
「桜、瞬間移動したいのか？教えるぞ？」
私はその途端、今まで発想になかった瞬間移動を自分でするということを意識した。瞬間移動をすれば、この檻から出られて外の世界を知ることができる。外に出られたら何しようかな。

「桜ー。おーい。最近ボーっとしすぎだぞー。」
私もそう思った。最近考えてしまうことが多く。穂高さんの死刑執行が決まってから、考えることが多くなってしまっている。
「穂高さん！したいです、瞬間移動！」
私は純粋な好奇心と、自分の欲望から、瞬間移動取得を希望した。

　それから私と穂高さんとの練習が始まっ......たわけではなく、穂高さんは私の腕に触れて自分の腕に入っているタトゥーのようなものと同じものを落ちていた釘で掘り出した。もちろん痛い、今までけがを避けてきた私には、耐えられない痛みだった。
「痛いよ！穂高さん！いきなり何するの！」
「桜、お前したいって言っただろ！これくらい我慢しろ～あと監視来るから静かにな。」

　その後暫くその行為は続いたが、入れ終わることに成功した。入れ終わると、穂高さんに入っていたタトゥーがみるみる消えて元に戻った。入れ終わった後のタトゥーはひりひりする。
「桜、目をつむってから、私のことを思い浮かべてみろ！」
「いきなりなんですか～。わかりました。」
私は目をつむり頭の中に穂高さんを思い浮かべる。すると、体が一瞬フワッと浮き気付いたころには穂高さんの後ろにいた。
「いざ自分がされるとなると怖いな。でも、できたみたいだし使い方はばっちりだな！」
穂高さんは苦笑いを浮かべた。祝福もしてくれた。だが、それと同時にこの能力の欠点を知ってしまった。知っている人にしか使えないのだ。監視なら外に出るしで監視に使おうとしてみるが、確実にばれる。これで脱獄は無理だ。

「桜、この瞬間移動だけど、この牢でつかっても牢の中の人にしか効かないから、逃げる時は外で使うんだぞ。」
穂高さんの注意点を聞いていると、私は一つ思い出したことがあった。ここの死刑の実施は外で行うことになっていると。