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聖女様だってイチャイチャしたい

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 ――ついにやったわ。
 
 エリはぐっとこぶしを握り締めて天に掲げた。側に控えている侍女がはしたないと声を上げているが構うものか。
「やっと、やっと休みをもぎとったのよぉ!」
「エリ様、やめてください!」
 エリと呼ばれた少女は諫められるのも構わず喜びの声を上げる。異世界に召喚されてから、かれこれ一年ようやく丸二日の休みをもらったのだ。
「聖女様、ちょっとはしゃぎすぎですよ」
 側に控えている赤髪の美男子が笑う。エリはこっそりと耳打ちした。
 
 ――ロベルト、明日私の部屋に来て。



「そんで、せっかく休みなのに俺を部屋に連れ込んで、なあに期待してるんだ」
 帯剣を外し、くつろいだ服装のロベルト。二人きりで気安い口調に、今日は本当に聖女としての役目を忘れていいんだと力が抜ける。
「二人っきりで過ごすなんてこんなときじゃないと無理なんだもん」

 エリは頬を膨らまらせる。
 
 恋人同士なのに、常に人目があるのでこうして二人きりで会うことはなかなかできない。
ロベルトの胸に頬ずりする。こちらに来る前にお風呂に入ってきたのだろうか。石鹸のいい匂いがして、顔を大きな胸に埋める。

「どうした、ずいぶん甘えたじゃないか」
「だって、みんながいる前じゃきちんとしてないといけないんだもん」

 私は頬を膨らませる。
 同じ気持ちだと知った日は嬉しくて嬉しくて、一日中頭がふわふわしていた。有頂天になって、周りが見えなくなって、柱に頭をぶつけてみんなが何事かと心配してくれたのを覚えている。
 それだけ好きな人と両想いになれたというのに、恋人同士の時間が持てない。だからこの機会に思いっきり甘やかしてほしいのだ。
「ねえ、ロベルト。もっと顔見せて?」
「毎日見てるだろ」
「カッコイイ顔は、毎日見てたって飽きないの」
本心をそのまま告げる。ロベルトは褒められてまんざらではなさそうだった。
「そりゃあ、俺は男前だからな」
 誇らしげに胸を反らすしぐさに、私は笑ってしまう。けれども、ロベルトが美男子なのは本当だ。以前お忍びで一緒に買い物に行ったら店番の女性が、ロベルトに見惚れていたことも覚えている。
 切れ長の目、長いまつげ。すっと通った鼻筋。形のいい唇。欠点の一つも見当たらない。人によって好みはあるだろうが、私にとっては世界一カッコイイと感じる。そんな彼が他の人から見ても惚れ惚れする美形なんだと実感して、誇らしさと少し不安になったのは内緒だ。
「そうだよね、街を歩いたら皆振り返るもん」
「当然だな」
ロベルトは、私が込めた少しの焼きもちを気づかずに鼻高々といった様子だ。

「イイ男ってのはモテるからな。そんで、イイ男の横には決まってイイ女がいるもんだ」
「……それって私のこと?」
「あんたの他に誰がいるってんだ?」
胸の奥がキュンっとうずいて、どうしようもなく目の前の彼に触れたくなってしまう。
「もう……、なんでそんなにかっこいいの?」
 私は思わず抱きついてしまう。私の体は大きな胸にすっぽりと納まる。
 ロベルトは少したじろいだが、すぐに抱きしめてくれた。

「どうした?」
「だって、ロベルトがかっこいいのがわるい」
 人目の不安がなくなった途端に、名前で呼んでくれた。それが嬉しくて、普段甘えられない分も甘えたくなってしまう。
 輪郭を確かめるように顔を触る。指で薄い唇をふにふにと押す。
「ねえ、キスして」
「おいおい……」
 ロベルトは困ったような声を出すが、抵抗はしない。私はそれを了承と受け取って、彼の唇を奪う。
初めて触れるその感触にくらくらとする。触れ合ったところから幸せが流れ込んでくるようで、頭の中がぽーっとしてしまう。
 息継ぎのために一度離すと、今度は向こうから唇を重ねてくる。
 何度も何度も角度を変えて口づけを交わすうちに、舌を絡ませていた。
 互いの唾液を交換して、飲み込むたびに体が熱くなる。
 名残惜し気に口を放すと銀の糸が伸びてぷつりと切れた。
「聖女様がこんなにいやらしいって知ったら国民は卒倒するだろうな?」
「ふふ、じゃあ二人だけの秘密ね」
悪戯っぽく笑う彼につられて私も微笑む。行儀の悪い手が私のローブに手をかけた。そしてあっという間に生まれたままの姿にされる。
「やだ、エッチ」
「あんたが誘ったんだろ、いやらしい聖女様」
「あんっ♡」
大きな手に腰を撫でられて、背筋に甘い痺れが走る。そのまま背中をなぞりあげられると、ぞくぞくとした感覚が駆け上ってきた。
「んぅ……ぁっ!」
耳元を舐められて、吐息を吹き込まれる。それだけで身体中に快楽が広がるようだった。
「ひゃん!あ……だめぇ……そこぉ……弱いからぁ……」
首筋を甘噛みされると力が抜けてしまう。
「ここも好きだよな?」
胸の先端を摘まれると、びくんと体を跳ねさせてしまう。すっかり開発されたそこは敏感になっていて、軽く触れられるだけでも気持ちよくなってしまうのだ。
「あッ♡ちくびきもちぃ……もっとさわって?あ……あ……あああッ♡」
爪を立てて引っ掻かれる。それだけで達してしまいそうになるほど感じてしまった。
「乳首だけでイッちまいそうなのか?」
意地悪な言葉にも興奮してしまって、子宮がきゅんとうずく。
「胸いじめられると感じちゃうの……もっと苛めて……?」
羞恥心すら快感に変わる。私は恥ずかしい言葉を言って彼を煽る。
「どこをどうしてもらいたいのかちゃんと言えたら叶えてやるぜ?」
「あ……いじわる……」
「ほら、早くしないと俺が満足するまで終わらないぞ?」
焦らすように胸を揉まれ、私はお腹の奥をきゅーっと締め付けてしまう。
「クリトリスもおっぱいもいっぱい苛めてほしいの……。私をめちゃくちゃにして……ロベルトの好きに犯して……」
「いい子だ」
ロベルトはそう言うと、私の両足を大きく開いた。濡れた秘所が外気に晒される。
「可愛いクリが真っ赤になってるな。触ってほしいか?」
「うん、触って……」
「仰せのままに、聖女様」
彼はそう答えると、私の股間に顔を埋めた。
「はぁ、ん……」
陰核に熱い息がかかる。それだけで全身に鳥肌が立った。
「すごいな、こんなに大きくなってる」
「やだ、言わないで……」
「どうして?触ってほしくて震えてるじゃないか」
ロベルトはそう言いながら、赤く腫れた肉芽に舌を這わせる。
「ひゃあんっ!」
ぬるついた粘膜に包まれる。ざらつく表面で擦られ、吸い上げられると頭がおかしくなりそうなほどの刺激が襲ってくる。
「あっ、だめぇっ、それすぐイっちゃうからぁ」
「いいぞ、好きなだけイけ」
「やら、いっしょがいい、一緒にイキたいのお……」
一人で先にイクなんて嫌だ。私は必死に訴える。するとロベルトは仕方がないといった様子で、愛液まみれのそこに指を差し入れた。「あんっ♡」
膣壁をすり上げられて、待ち望んでいた感覚に歓喜の声をあげる。
「これで我慢できるな?」
「できない、足りないの、奥まで突いて、ぐちゅぐちゅってかき混ぜて欲しいの」
「わがままな聖女様だ」
ロベルトは呆れるようなそぶりを見せるが、その目はぎらぎらと輝いている。私は期待に唾を飲み込んだ。
「入れるぞ」
「きて、はやくほしいの」
先端が押し当てられたと思った瞬間、一気に貫かれた。
「あああああ―――ッ!!!」
目の前がちかちかする。あまりの質量に息ができない。苦しいはずなのに、それ以上に満たされているという幸福感が勝っていた。
「全部入ったな」
ロベルトはそう呟くと、抽挿を開始した。初めはゆっくりとした動きだったが、徐々にペースを上げていく。
「あっ、あっ、ああっ!」
パンパンと肌のぶつかる音がする。激しいピストン運動で結合部から泡立った蜜が溢れ出した。
「すげえ、絡みついてくるっ……」
「やら、そんなこと言わないでぇ……!」
「何回抱いても狭くて、最高だよあんたの中。気を抜いたら持ってかれそうだっ……」
「嬉しいっ、ロベルトも気持ちよくなってくれてるんだね……?」
「当たり前だろっ……!」
「あんっ♡」
ごりっと子宮口に亀頭を押し付けられて、強烈な快感に襲われる。
「ここ、好きだよな?」
「しゅきっ、そこぐりぐりってされるのすきっ♡」
「ははっ、淫乱聖女様はここが好きなんだなっ……?」
「あんっ、おく、おくもっとぉ……♡」
腰を打ち付けられる度に、視界が揺れる。与えられる快楽に夢中になっていると、不意に唇を奪われた。
「ふぅ……ん……」
口内を貪るように舌が暴れ回る。呼吸さえ忘れるほどの激しいキスに、私は夢中になった。
「はぁ、イイ顔だな……可愛いよ」
「あんっ、やら、見ちゃダメ……!」
顔を隠そうとする手を掴まれる。そして両手とも恋人繋ぎで拘束されてしまった。
「やだ、離して……恥ずかしいの……お願いだから……」
「駄目だ、あんたのイイところもっと見せてくれ」
「やら、もう許して……おかしくなっちゃう……!」
「いいぜ、壊れちまえ」
「あ、あ、あ、ああっ、や、もう、イッちゃう、あああああっ!!!」
絶頂を迎えたと同時に、最奥に大量の精が注がれていた。熱い飛沫を受け止めた身体が小刻みに痙攣している。
射精の余韻に浸っているのだろう。ロベルトは大きく息を吐いた後、ずるりと自身を引き抜く。
「あ……♡」
栓を失った秘裂から白濁が零れ落ちる。どろりと太ももを伝うそれに、再び熱を呼び起こされそうになるが、欲よりも心地よい倦怠感が私を包む。
「ロベルト……だいすき……」
私は隣に寝転んだ彼に抱き着く。汗ばんだ胸板に頬を寄せると、優しく髪を撫でてくれた。
「私ね、今とっても幸せ」
「奇遇だな、俺もだ」
私たちは笑い合うと、もう一度キスをした。これで休み明けの聖女のお勤めも頑張れそうだ。
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