9 / 76
第一章 幼少期
8.お城へ
しおりを挟む私には父方の従兄弟が三人いる。
お父様の妹がこの国の王妃様なんだそうだ。ラノベでよくある話だ。
従兄弟は、私より六歳上の第一王子リヒャルト様、十ヶ月下の第三王子フリードリッヒ様、三ヶ月前に生まれた第二王女シュテファーニエ様だ。
お兄様達は、リヒャルト王子の学友として、五歳から王宮に度々通っていたらしい。知らんかった…。
ルー兄様が王立魔法学院に入学するため、今日はその挨拶に行くという。
私が行くのはなんでかな~?って思ったら、魔力制御が完璧にできることから、フリードリッヒ王子のところに遊びに連れていかれるようだ。
えっ、それって、王様にばれてるってこと?
面倒臭そうなにおいがするなぁ~。いやだな~…。
登城用の服(私のが用意してあったよ…)に着替えて、両親とお兄様達と一緒に馬車に乗り込む。
めんどくさ臭はするが、初外出はやっぱり楽しみだ!ワクワク…。
(おーっ!お馬だーっ!馬車だーっ!!初めて乗るぅ!!!)
馬も馬車も想像より大きくて驚いた。
馬は、前世の競走馬よりふた回りくらい大きくて足も太い。しかも頭に角が生えていた…。えっ、馬、だよね…?
お兄様に聞いたら“馬”で良いんだって。この世界の馬は角が生えていた…。
馬車の車体も一トントラックくらいの大きさがあって、これを曳くならこの“馬”が必要なんだと納得した。
すぐそこに見える程お城は近いのだが、二十分くらいかかるそうだ。
お兄様に抱っこされて乗っているから、石畳の振動も気にならない。私はね…。
屋敷の外に出るのも初めてなので、馬車の窓に張り付いて外を覗くが、我が家の塀が途切れたら……お城だった。
楽しくない!!!塀垣だけ…。人も歩いていないし。
もっと、街並みとか歩いている人とか……ないのぉ?
城門での検問を終え、馬車で走ること十分。やっと馬車を降りたところに、お迎えの騎士が待っていた。
燃えるような赤色の髪に濃茶の瞳をした偉丈夫。ほえ~!!!おっきい!
近衛は白い騎士服だそうだが、この人が着ているのは黒だから第四騎士団。腰に大剣を佩いている。
そして、おっきな騎士さんが声をかけてきた。
「ようっ。ゲルト。ハンナ。久しぶりだなあ。陛下のところに行くんだろ? 俺も一緒に行くぞ」
「ハイン! いつ帰ってきたんだ? 視察の最中だろ? 予定では、まだ西の砦にいる頃だろう?」
「あら~♪ ハイン。久しぶりですわ。相変わらず暑苦しいですわね~♪」
お父様とお母様が気軽な言葉を返している。
不思議そうにしていると、『騎士団の総団長で辺境伯の嫡子でいらっしゃるハインリッヒ・フォン・バッハム様だよ。陛下とお父様とはご学友でね、お母様は幼馴染なんだって』と、マティ兄様がこっそり教えてくれた。
おっきな人は総団長さんだった。強そうだし恐そうだから愛想よくしておこう。
そうして歩き出し……はやっ、速いって!
ポテポテットテトテッと小走りでついていく。
突然、両脇に手が差し入れられ、アッという間に視界がお父様よりも高くなった。
「おーっ、悪い悪い。チビがいたんだな。坊主の名前はなんだ?」
「っ!はい。ゲルハルト・フォン・カネッティがだいよんし、アルフォンス・フォン・カネッティともうしましゅ!」……噛んだ。
「ブッ!ぅおーっ、しっかりしてるなー。アルか。俺はハインだ。よろしくな」
「はい。よろしくおねがいしましゅ!」……また噛んだ…。
「ブホッ、ハハハハハッ。よし、行くぞ!」
いきなり抱き上げられて驚いたけれど、覗き込んできた意外に優しそうな瞳に安心した。
腕一本のたて抱っこで、そのまま王宮の深部、王様ご家族の居住区に向かった。
応接室に通されて待っていると、程なく王様達が入ってきた。
後ろに、乳母に抱かれたシュテファーニエ王女もいる。
(うっわ~ぃ!赤ちゃんだ~♪♪♪)
我が家にも一歳になった妹がいるが、ホントーに可愛いんだ!!!
小っちゃい子ってみんななんて可愛いんだろうね!?ホントに天使!
前世でも子どもが大好きで、にへら~として眺めていて、危ないおばちゃん認定されたこともある。
今も、自然に顔がにへら~っとして……。
かまいたくて、手をワキワキさせてしまっていたらしい。
お母様に笑顔で……『アルちゃ~ん♪』て言われて気が付いた…。
ハッ!ヤバ……ィ。
「「「ブッフッフハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」」」
王様と総団長さんとお父様が、耐え切れずに笑っている。
王妃様達もクスクス笑っている…。
お母様と兄様達は、妹を構い倒している私を知っているからか、生温く笑っている。
あちゃ~…。やっちゃった…。
きっと顔が赤い。首まで赤くなっているだろう。恥ずかしい……。
落ち着いたところで、赤ちゃんに指を握らせたり、フクフクのほっぺをプニプニしたりしながら、お茶の時間を楽しんだ。
今日は、私の魔法の話は出なそうだ。
少しホっとして、ぬるくなった紅茶をこくりと一口飲んだ。
145
あなたにおすすめの小説
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。
享年は25歳。
周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。
25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる