異世界でのんびり暮らしたい!?

日向墨虎

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第一章 幼少期

8.お城へ

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 私には父方の従兄弟が三人いる。
 お父様の妹がこの国の王妃様なんだそうだ。ラノベでよくある話だ。
 従兄弟は、私より六歳上の第一王子リヒャルト様、十ヶ月下の第三王子フリードリッヒ様、三ヶ月前に生まれた第二王女シュテファーニエ様だ。
 お兄様達は、リヒャルト王子の学友として、五歳から王宮に度々通っていたらしい。知らんかった…。
 ルー兄様が王立魔法学院に入学するため、今日はその挨拶に行くという。
 私が行くのはなんでかな~?って思ったら、魔力制御が完璧にできることから、フリードリッヒ王子のところに遊びに連れていかれるようだ。
 えっ、それって、王様にばれてるってこと?
 
 面倒臭そうなにおいがするなぁ~。いやだな~…。

 登城用の服(私のが用意してあったよ…)に着替えて、両親とお兄様達と一緒に馬車に乗り込む。
 めんどくさ臭はするが、初外出はやっぱり楽しみだ!ワクワク…。

 (おーっ!お馬だーっ!馬車だーっ!!初めて乗るぅ!!!)

 馬も馬車も想像より大きくて驚いた。
 馬は、前世の競走馬よりふた回りくらい大きくて足も太い。しかも頭に角が生えていた…。えっ、馬、だよね…?
 お兄様に聞いたら“馬”で良いんだって。この世界の馬は角が生えていた…。
 馬車の車体も一トントラックくらいの大きさがあって、これを曳くならこの“馬”が必要なんだと納得した。

 すぐそこに見える程お城は近いのだが、二十分くらいかかるそうだ。
 お兄様に抱っこされて乗っているから、石畳の振動も気にならない。私はね…。
 屋敷の外に出るのも初めてなので、馬車の窓に張り付いて外を覗くが、我が家の塀が途切れたら……お城だった。

 楽しくない!!!塀垣だけ…。人も歩いていないし。
 もっと、街並みとか歩いている人とか……ないのぉ?

 城門での検問を終え、馬車で走ること十分。やっと馬車を降りたところに、お迎えの騎士が待っていた。
 燃えるような赤色の髪に濃茶の瞳をした偉丈夫。ほえ~!!!おっきい!
 近衛は白い騎士服だそうだが、この人が着ているのは黒だから第四騎士団。腰に大剣を佩いている。
 そして、おっきな騎士さんが声をかけてきた。

 「ようっ。ゲルト。ハンナ。久しぶりだなあ。陛下のところに行くんだろ? 俺も一緒に行くぞ」
 「ハイン! いつ帰ってきたんだ? 視察の最中だろ? 予定では、まだ西の砦にいる頃だろう?」
 「あら~♪ ハイン。久しぶりですわ。相変わらず暑苦しいですわね~♪」

 お父様とお母様が気軽な言葉を返している。
 不思議そうにしていると、『騎士団の総団長で辺境伯の嫡子でいらっしゃるハインリッヒ・フォン・バッハム様だよ。陛下とお父様とはご学友でね、お母様は幼馴染なんだって』と、マティ兄様がこっそり教えてくれた。
 おっきな人は総団長さんだった。強そうだし恐そうだから愛想よくしておこう。
 
 そうして歩き出し……はやっ、速いって!
 ポテポテットテトテッと小走りでついていく。

 突然、両脇に手が差し入れられ、アッという間に視界がお父様よりも高くなった。

 「おーっ、悪い悪い。チビがいたんだな。坊主の名前はなんだ?」
 「っ!はい。ゲルハルト・フォン・カネッティがだいよんし、アルフォンス・フォン・カネッティともうしましゅ!」……噛んだ。
 「ブッ!ぅおーっ、しっかりしてるなー。アルか。俺はハインだ。よろしくな」
 「はい。よろしくおねがいしましゅ!」……また噛んだ…。
 「ブホッ、ハハハハハッ。よし、行くぞ!」

 いきなり抱き上げられて驚いたけれど、覗き込んできた意外に優しそうな瞳に安心した。
 腕一本のたて抱っこで、そのまま王宮の深部、王様ご家族の居住区に向かった。
  
 応接室に通されて待っていると、程なく王様達が入ってきた。
 後ろに、乳母に抱かれたシュテファーニエ王女もいる。

 (うっわ~ぃ!赤ちゃんだ~♪♪♪)

 我が家にも一歳になった妹がいるが、ホントーに可愛いんだ!!!
 小っちゃい子ってみんななんて可愛いんだろうね!?ホントに天使!

 前世でも子どもが大好きで、にへら~として眺めていて、危ないおばちゃん認定されたこともある。
 今も、自然に顔がにへら~っとして……。
 かまいたくて、手をワキワキさせてしまっていたらしい。
 お母様に笑顔で……『アルちゃ~ん♪』て言われて気が付いた…。
 ハッ!ヤバ……ィ。

 「「「ブッフッフハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」」」

 王様と総団長さんとお父様が、耐え切れずに笑っている。
 王妃様達もクスクス笑っている…。
 お母様と兄様達は、妹を構い倒している私を知っているからか、生温く笑っている。

 あちゃ~…。やっちゃった…。
 きっと顔が赤い。首まで赤くなっているだろう。恥ずかしい……。

 落ち着いたところで、赤ちゃんに指を握らせたり、フクフクのほっぺをプニプニしたりしながら、お茶の時間を楽しんだ。
 今日は、私の魔法の話は出なそうだ。
 少しホっとして、ぬるくなった紅茶をこくりと一口飲んだ。




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