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第一章 幼少期
9.えっ、かめ~?
しおりを挟むみんなでまったりとお茶を楽しんだ後、王様はお父様と総団長さんを連れて執務室に戻り、王妃様は王女とお母様と一緒に部屋を出ていった。
お兄様達がリヒャルト王子と魔法学院の話を始めた。
来年は殿下もマティ兄様も入学するので、興味津々で話題はつきないようだ。私も楽しく聞いていた。
ふと見ると、二歳のフリードリッヒ王子がポツンと椅子に座っていた。
私は、この時初めて、第三王子をしっかりと認識した気がする。
サラサラの金髪でくりっくりの碧の瞳が不安そうに揺れている。色白で頬が少し上気してピンク色だ。小さめのピンクの唇がきゅっと結ばれている。
話題についていけずに、どうしていいかわからないんだろう。
(ナニコレ―!可愛い!!可愛いんですけど!!!頭なでなでしたいわ~♪)
その様子が、私の母性本能?を思いっ切り刺激した。
母性…?
う~ん?今生は父性?になるのかなぁ…?
早速、フリードリッヒ王子に向き直り話しかけた。
「でんか、わたくしはアルフォンス・フォン・カネッティともうします。
どうぞ、アルとおよびください」
「うん、ぼくはフリードリッヒでしゅ。フリッツでいいでしゅ」
話しかけられて嬉しかったのか、ふんわりと微笑んだ。
かわええー……!
くねくねできないから、心の中で悶えるしかない…。
遊びの話、勉強の話、妹の話。お互いたくさん話をした。
まだ、たどたどしく時おり噛みながらも、一所懸命話してくれた。
因みに、私は噛まないように必死に頑張った。
なぜなら、お兄ちゃんぶりたいから……キリ。
楽しい時間はあっという間に終わる。
侍女が、両親が待っているからと呼びに来た。
王子達も一緒に部屋を出た。
回廊に差し掛かった時、その瞬間すぐそばで魔力が膨れ上がるのを感じた。
「っ、あぶない!!!」
私は、咄嗟に、フリッツ王子に抱きついて、風魔法を使い反対側に跳んだ。
(ぐっ! いったぁーっっ!)
振り返ると、私達がいた場所に獰猛そうな熊のような魔獣が現れた。
「グルルルルッ! グルガアアアアアアアーーーッ!!」
魔獣の本でそれが何であるかは知っている。知っているが身体が全く動かない。
どうにかしないとっ!
気持ちばかりが焦る…!!
魔獣はリヒャルト王子に向かって跳びかからんと姿勢を低くした。
その瞬間、王子の前に膨大な魔力が渦巻き……黒い巨大な……亀が出たーっ!!!
えっ?えっ?……かめ~???
しかし、……亀は強かった。
一瞬で勝負がついた。
かめ…?を驚いてマジマジと見ていると、バタバタといくつも足音がしてお父様達が駆けつけた。
「「「大丈夫かっ?」」」
「はっ、はい。私たちは大丈夫ですが、フリッツ殿下とアルが…」
ルー兄様が震え声で答えていた。
その声を聞いて、跳んだまま倒れた状態からやっと動くことができた。
恐怖で身体が硬直して動けなかった…。
総団長さんに助け起こしてもらい、フリッツ王子のケガを確認する。
幸い頭を抱え込んで跳んだので、腕の擦り傷と腰の打ち身だけで済んだようだ。
私は、足を捻挫してしまっていて、痛くて泣きそうだったので、こっそり<ハイヒール>をかけて治した。
ホントはチョビっと涙がにじんでいたのは内緒だ…。
総団長さんが<ハイヒール>の魔力を感じ取り目を瞠ったが、気付かないふりをしてくれた。
王子のケガは軽いから、だまって王宮魔法士に任せよう。
そして……かめ…。
お父様の召喚獣は……亀だった。マジかーっ!!!
お父様のステータスを見た時から、ずーっと気になっていた召喚士スキル。
モフモフを期待していたんだよね…。
どんな手触りなんだろうって。モフらせてもらえるのかとか…。
想像して楽しみにしてたんだよ…。
勝手にフサフサだと思っていたのが悪いんだけどさ…。
でも…、亀かぁ~……。ツルツルじゃん。
しかもヘビ付き! これもツルツルじゃん!
よくよく観察したら、尻尾から伸びるヘビ………んーーーっ?
うわーーーーーっ!玄武かぁ!!!
お父様の召喚獣は、亀は亀でも聖獣だった…。
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