異世界でのんびり暮らしたい!?

日向墨虎

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第二章 幼少期~領地編

54.フォルツの整備

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 温泉に入って、ホカホカスベスベになって屋敷へ帰ってきた。
 お婆様達にぜったいにばれないように、こっそり部屋に入らなければ…。
 玄関でエルンストが出迎えてくれた。お爺様とは午前に会って追手の報告は済んでいる。温泉の報告は明日する旨、伝言を頼んで急いで部屋に入った。

 翌朝、身支度を手伝ってもらった時に、レオンとエリアにはお肌ツルツルが温泉の効能だとバレた。レオンは単純に温泉に興味を持っただけのようだけれど、エリアには必ず連れて行くことを約束させられた。やっぱり近いうちに女湯を作りに行くしかないよね…。

 そして、お婆様にもすぐにバレた。なぜなら、ルカが自慢したから…。マジか…。エルフの追手の話は口止めしてあったが、温泉の自慢をするとは思わなかった。お婆様に毛並みのツヤツヤを褒められて、嬉しくて温泉に入った件だけを話したんだそうだ。お婆様に詰め寄られて約束させられた私に、すまなそうに言ってきた。

 フォルツの整備が終わったら連れて行くことになったので、今日、女湯を作りに行ってきた。更衣室の建屋を大きく作り直して、女性用を広く取り、トイレも<クリア>の魔法陣を組んで設置した。内風呂と露天風呂の両方を作り、結界も二重に張って、許可したもの以外は入れないようにした。
 だって、魔獣の楽園だからないとは思うが、温泉に入りに行ってみたら、知らない人がいたり住み着いていたら嫌じゃないか。正式な施設になるまでは、私の至福の空間にしておきたいんだ。だから許可制。私かリヒト先生が一緒じゃなければ入れない。学園都市の整備の段になったら、みんなが使えるように作り変えるつもりだけれどね。

 午後は建具を作ったり、テーブルやベッドなどの基本的な家具を大量に作ったりして準備を終えた。

 そして、下水整備の約束の日。 
 早朝から、屋敷の門の前で魔力を練っている。両隣にお爺様とリヒト先生がいて、そのまわりを少し離れて騎士団が囲んでいる。
 やっ。邪魔だなーなんて思っていないよ? お爺様がいるから騎士団がガードするのは当然じゃないか。

 「では、始めます」

 そう言って、魔力を地中に広げ始めた。
 頭の中にできあがっている配管図に沿って、地魔法で下水道を整備していく。本管は壊れないように頑丈に、枝管は各戸の排水管との接続部に<プリフィケーション>の魔法陣を組んでいく。ちゃんと流れるように勾配も忘れないでつけよう。トイレに<クリア>の魔石が組み込まれていない建物には、<クリア>の魔法陣も忘れてはいけない。ゲームのように、ドンドン新しい配管をしながら、同時に古い配管を壊して埋め戻していく。これらを、地表に全く影響させずに進めていくんだ。

 「アル君。昼だ。休憩しよう」

 「えっ? もう昼ですか?」

 先生に言われて、配管が途切れないように古い管とつなげてから魔法を中断した。
 いつの間にか昼になっていた。集中していたから全然わからなかったわ。
 お爺様は、早々に執務に戻っていたようで、まわりを囲んでいた騎士団も、数人を残していなくなっていた。
 今回もだが、私は、魔法を集中して発動している間は、全くの無防備になってしまうようだ。先生がまわりの警戒をしてくれている状況で安心しているからというのもある。でも、このままだとマズいよね…。後で先生に相談しよう。

 先生は座ってお茶を飲みながら、まわりの警戒をしつつ、私の作業を見ていたようだ。正確には、魔力で感じていたって言う方が正しいかな?
 お爺様は、<探索>の魔法は得意じゃないらしく、つまらなくて執務に戻ったという。私が魔法を発動しても、表面上はただ佇んでいるだけだし、地表では何も変化がないからね。

 午前中に、街の半分までの配管が終わった。予想よりかなり速いペースで進んでいる。午後は残りを終わってしまえるかもしれない。そうすれば、明日は細かい調整をすることができる。

 昼食を食べて、食休みをゆっくりとってから、午後の整備を始めようとしたら、先生から待ったがかかった。
 午前中の私の地魔法をみるというか感じていて、自分もやってみたくなったらしい。先生の性格的に、緻密で正確、丁寧な魔法を発動するから、一部を任せることにする。

 頭の中に描いていた地中の配管図を羊皮紙に書き出して、発動する魔法と図面の認識のすり合わせをする。私の前世の知識が入っている図面だけれど、違和感は感じないようだ。
 すり合わせの時に、私の作る管壁の材質が問題になった。上手く説明ができないんだよ。私の万能すぎる魔法だと、材質はこれって指定しなくても作れてしまうんだ。だから、今回は本管は私が作って各戸からの枝管を先生に作ってもらう分業にした。埋め戻しは私が担当する。お互いの認識に相違がなくなったから、午後の作業を始めよう。 

 先生が一緒になって配管ゲームを始めた。とっても楽しそうだよ。普通は地魔法をそんな使い方をしないそうだ。だって穴を掘ったり埋めたりするだけなんて…。それなら、地中で管を作りながら通せば良くないかってことだ。新たな魔法の使い方がとっても楽しいみたいだね。

 やがて夕方になり、街全体の下水整備が終わった。トイレと排水口の魔法陣もすべてつけ終わった。先生の参戦で2日の作業予定が1日で済んだ。明日は細かい確認をするだけだ。

 翌々日のスラムの整備の日。
 住人は仮住まいに退去済だ。スラムに誰も入らないように、まわりを騎士団に警戒してもらう。
 今日は、変化が目で見える作業だからだろうか? お爺様とお婆様がピクニックのように簡易のテーブルと椅子で、お茶を飲みながら見物するようだ。

 範囲内に何の気配もないことを確認してから、スラム全体を結界で覆う。そうして、結界内に一気に<プリフィケーション>をかけた。これで地表に堆積した汚物も綺麗になくなった。焼却しようと考えていたけれど、<プリフィケーション>でいけるかなって使ってみたんだ。上手くいったようだ。
 それから、教会以外を一気に更地にする。結界で覆ったから土埃りも大丈夫だ。

 結界内の視界をクリアにすると、まわりからどよめきが起こった。
 まあ、更地になったしね…。
 
 次に、区画整理をする。道路と用水の整備や上下水道の整備をしていく。それから、建物を地魔法で建てていく。石造りっぽい建物にしよう。タウンハウスみたいな感じにする。やがておしゃれな感じの住宅街が出来上がった。
 まだ建具も内装もついていないが…。完成が楽しみな外観に仕上がったと思う。

 それから、教会に孤児院と薬草園を作ることにする。
 教会に併設して、孤児院を外観の違和感がないように作っていく。遊戯室に図書室、子供たちの部屋。年長になれば二人部屋くらいがいいかな? <クリア>の魔法陣がついた子供用のトイレ。広い洗面室に洗濯乾燥室やお風呂。シスターと寮母さんたちの私室も何部屋か作ろう。
 さらに、教会の裏側に薬草園を作る。畑にするから水はけを良くして、土は柔らかく耕しておく。収穫した薬草を洗う水場と、乾燥したり作業をする小屋も作っておく。

 因みに、半年前に、洗濯乾燥用に生活魔法でランドリーの魔道具を作った。我が家の王都と領都の両方の屋敷に設置して、使用人さん達に大変喜ばれている。そして、なぜかお城にも納品されている。トイレに<クリア>の魔石はあるのに、洗濯は手洗いだったのが私には不思議だけども。
 噂を聞きつけて他の貴族から問い合わせがあるようだが、お父様や王様がすべて跳ねのけているらしい。私的には大変助かっているが、そろそろ限界かもしれないから、隠れ蓑に商会でも作らないとダメかも…。これ以上忙しいのは勘弁願いたいし。


 その後2日をかけて、建具をつけたり内装をしたり、町中にエコな街灯をつけたりして、ようやくフォルツの整備が終わった。

 すべての整備が終わった次の日には、お爺様やお婆様達と温泉に行ってゆっくり過ごした。

 そして今日、これから次の街に出発するんだ。
 一週間の予定で、代官が治めるフォルツの東の街を視察する。
 農業と酪農の地だという。どんなところかとっても楽しみだ。







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