女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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“賠償”以外の話し合い 4

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明けましておめでとうございます。
本年も どうぞよろしくお願いいたします。
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「今ギルドが把握しているアリスさんのレシピが全てこの町で登録された場合の経済効果の試算から、アリスさんの譲歩を引き出すのに税収の18%を支払ったとしても、決して高い金額ではございません」

 驚愕で何も言えないレイナルドと私を気に留めることなく、サンダリオギルマスは自信を持って言い切った。

「なんと強欲な……」

 レイナルドが私を憎々しげに睨みながら呟くのが聞こえたけど、私から見れば、これだけの人数の前(水晶越しとはいえ王様もいる!)で交わした誓約を破ってまで、私から利益を引き出そうとするレイナルドの方が強欲で恥知らずだと思う。

 レイナルドの態度に苛立ちを覚えた私は、近くにいたモレーノ裁判官の法服の袖をツンツンと軽く引っ張った。

 顔をこちらに向けて、私が内緒話をしたがっていることに気が付いた裁判官は背を屈めて耳を貸してくれたので、

 “ぽしょぽしょぽしょぽしょ……………”

 この領に関係する一つの情報と、私の希望を言ってみる。

 私の話を聞いてくれたモレーノ裁判官は軽く目を瞠り微笑を浮かべながら少しだけ考え込んだ後、ギルドマスター2人にメモを渡して王様とつながっている水晶の側に向かった。

 みんなの視線を遮るようにこちらに背を向けて水晶を手に取り、小さな声で王様と話し込み始める。

 しばらくするとモレーノ裁判官は水晶を裁判官席に置いて私たちの席まで戻ってきたが、何にも言ってくれなかった。

 サンダリオギルマスに代わってベルトランギルドマスターが“兵を掌握しておくことの重要性”をレイナルドに説いている (なぜ?)間もゆったりと笑っているだけで何も言ってくれなかったので、私の希望は通らなかったんだろうと諦めの心境になっているときに、

「いくらご令嬢が我らに友好的だと言っても、この話を祖国のご親族が知ったなら怒りをかうのは必至でしょう!」

 怒り交じりの知らない声が水晶から響いてきた。 向こうで何かトラブルが起こったらしい。

「伯爵家の当主は嫡子に委任状を持たせているのですね? では、変則的ではありますが問題はございません」

「よいのか?」

「陛下の命で行った誓約をないがしろにしたのですから当然の措置でございましょう。 
 非公式とはいえ、わが国に遊学中のご令嬢の命をわが国の貴族が……。  国際問題ですぞ! もしもの事があったなら、戦争に発展していたかもしれません!」

(この国に天変地異が起きるかもにゃ~)

(もしかして、“他国のご令嬢”って私のこと?)

(他に誰がいるのにゃ?)

 どこかで聞いたような話だと思っていたら、私のことだったらしい。 王様、やっぱり私が平民だって事は納得していなかったんだ……。

 複雑な気分で水晶を眺めていると、モレーノ裁判官が近づいてきた。

「宰相も納得しているようだし、アリス殿の希望は通りますよ」

 とにっこりと笑ってくれるんだけど……。

 ねえ、裁判官? 話がどんどん大きくなっていくのに戸惑っていることには気が付いてもらえませんか~~?







「静まれっ! 皆の者、静まれーぃ!!
 ガバン伯爵家当主代理、レイナルド。 陛下よりの勅令である! 謹んで拝聴するように!」

 モレーノ裁判官曰く宰相らしい男性の声が水晶から響き法廷に静寂が広がると、レイナルドが緊張した面持ちで水晶の前まで進み出て胸に手を当てて礼をする。

「ガバン伯爵家に領地替えを命ずる。 これよりひと月の間にハルメトヤ男爵領へ向かうが良い」

 王様の命令が響くと同時に静寂が破られて、法廷内が喧騒に包まれた。

「陛下! なぜでございますか!? なぜ我が家が移封など……!」

「全てはソラルなどを派遣した現当主と、欲をかき後始末に失敗したそなた自身が招いた事態。 
 他国のご令嬢の命を奪おうとした上に、陛下のご下命による誓約をないがしろにした罰が領地替えでは不服というなら爵位剥奪…、お家取り潰しでもよいのだぞ?」

 一際大きな声でレイナルドが叫ぶが、もう王様はレイナルドと話すつもりがないのか代わりに宰相が冷たい声で言った。

「お家取り潰し……? そんな……」

 呆然と呟くレイナルドに構うことなく、宰相は、

「ガバン家はそなたが交わした誓約書のとおりの賠償を期日内にアリス殿と護衛の冒険者たちに支払ったのち、速やかに新領地へと向かうがよい。 手伝いの為に畏れ多くも陛下の近衛から数名をガバン伯爵領へ向かわせる。 
 早く戻らねばそなたよりも近衛兵の方が先に領地へ入ってしまうぞ?」

 冷たい声のままで冷静に追い討ちをかける。

「なっ……! わかりました。 しかし、護衛たちへの賠償などは…!」

「ああ、迷惑をかけたことへの慰謝料であったな。 まさか払わぬとは言わんだろうな? そなたから言い出したことであろう。 
 畏れ多くも国王陛下が証人である。 速やかに支払うがよい」

 レイナルドの抵抗はあっと言う間に宰相に封じられ、レイナルドは呆然とした足取りで出て行こうとした。が、

「ああ、アリス殿の命を狙った領兵5名の刑の執行が明日の朝に決まりました。 処刑場にて四つ裂きの刑です」

 モレーノ裁判官の静かな声で行われた宣告にビクリッと足を止めた。

 ……四つ裂きの刑って、なに?  私はそんなの望んでないよ!?



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寒さが厳しい年明けになりましたね。
皆さん、体調にはくれぐれもお気をつけください。
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