女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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初めての馬車旅 20

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「アリス」

「あれ? もう起きたの?」

「ああ、もう十分だ。 何もなかったか?」

 盗賊たちの襲撃のせいで昼間に睡眠を取れなかった私たちは交代で仮眠をとることにしたんだけど、心配性のイザックは早々と起きてきてしまった。

 もう少し寝ていてもよかったのに、寝起きのお水をおいしそうに飲み干したイザックは「次はアリスの番だ、早く寝ろ」とテントを指さす。

 私たちはペーター君と一緒にお昼寝をしたから大丈夫なんだけどね。 

 野菜を自分たちの分と馬にあげる分に仕分けしている従魔たちを眺めながら「もう少し」と言うと、苦笑が返って来た。

「…相変わらずハクとライムは規格外だよな」

「そう? 他の仔を知らないから何とも言えないんだけど」

「あれは❝潰れてる❞とか❝形が悪い❞とかだけで仕分けてるんじゃないんだろう?」

「うん。味も関係してる。 馬は仲間扱いじゃないみたいだね。 自分たち基準でイマイチなのをあげるみたいだよ」

 ライムの上で指示を出しているハクと、片方の手(?)でハクの指示をこなし、もう片方の手(?)で自分の判断で仕分けをしているライム。

 スライムの生態に詳しくはないんだけど、こんなに器用に変形できるのはすごいよね? 自慢してもいいよね?

「うちの仔たち、優秀だから♪」

 胸を張ってドヤ顔を決めたのに、

「ああ。俺もそれほど従魔を知っているわけじゃないが、あの2匹は特別だな」

 イザックは真剣な顔で頷いた。 ……イザック、そこは笑ってくれないと、私が恥ずかしいよ。 









 2人で仕分けの済んだ野菜を馬の食べやすい大きさにカットしていると、ディエゴが「明日からの移動時に、あんたらの馬にも馬車を引かせていいか?」と聞きに来た。 了承すると「これなら馬を休ませる時間が少なくてすむ。野営地でゆっくりとできるぞ」と嬉しそうに呟きながらテントに戻っていった。

 ゆっくりとできる時間が増えるのは私も嬉しい。 顔をほころばせる私を見ながら、イザックは真剣な顔になる。

「馬のことだが…。 昼にも言ったが、俺が1番良い馬を選んでもいいか? その代わり残りの2頭を売った金はきっちり全部アリスに渡す」

「あ~。だったら、馬の餌代は私持ちってことでどう? イザックの選ぶ馬と他の馬の売値がそこまで離れているとは思えないし」

「……いいのか? 馬は結構食うぞ?」

「うん。馬用に選んだ野菜は、あの2匹が『食べたくない』って判断したものだしね。 ……ハクは特にグルメだから、素材にもこだわるの」

 軽く苦笑しながら言うと、イザックは楽しそうに笑い出す。

「グルメな従魔なぁ。 普通なら持て余すんだが、アリスには大した苦労でもなさそうだな!
 よし。じゃあ、途中の村で買う牧草代は俺が出そう」

 野菜で良かったら十分な量があるんだけど、馬には牧草の方がいいみたいだ。 野菜よりは安価に買えるらしいので、イザックの言葉に甘えることにする。

 後は乗客たちに払ったバイト代と使ったクリーンの代金の半分をお互いに受け渡して、面倒なお金の清算は終了だ。

 あとは夜が明けるまでのんびりとごはんを作るだけ。

 馬の餌の為に野菜をたっぷりと複製したので、今夜は野菜をメインに作ることにした。 ハクやイザックが残念そうなのは見ないふり! 

 ご飯を何回も炊いていろいろな具入りのおむすびもたくさん作る。 

 イザックも手伝ってくれたんだけど、きれいな俵型にならなくて、ハクににゃごにゃご文句を言われて四苦八苦している姿が面白かったのは、私とライムだけの内緒だ。

「炊き立ての飯を握ったのに、なんでまた焼くんだ?」

 焼きおむすびをひっくり返しながら不思議そうに聞かれたので「表面の水分を飛ばすから、少し傷みにくくなる」と答えると、網の上におむすびが追加される。 

 そこまで日持ちするものじゃないって説明したんだけどね。別れるときに売って欲しいと押し切られた。 いったいいくつ食べるつもりなんだろうね?










 空が白み始めるとイザックがディエゴ達を起こしに行き、その間に私たちはクリーンを掛けて気分をすっきりとさせる。

 夜中にごはんを作りながらつまみ食いあじみをしていたので朝ごはんはいらないかな?と思ったんだけど、従魔たちに猛抗議を受けた。

 従魔たちにせっつかれながら支度をしていると、ディエゴとクルトが嬉しそうに寄って来た。 朝ごはんも買ってくれるらしい。

 昨日の❝危機管理❞の話もあるので2人には別々のメニューを出すと、とても嬉しそうにお礼を言ってくれたのが嬉しい。 もしもお腹を壊したら格安で治してあげよう! 

 ……私の作ったものでお腹を壊したら、無料で治療をするべきだと思うんだけどな。 ダメだって言われているから、有料だ。   

 ……せっかく別々のメニューにしたのに、半分こで交換しながら食べると意味がないんだけどね?
 
 乗客たちは暖を求めて温かい物を欲しがったので私たちと同じ芋粥を売ろうと思ったんだけど、みんなの朝食が固いパンだと気が付いたので、野菜たっぷりの卵スープに切り替えた。

 1杯700メレで4人前。ペーター君の分はイザックが上手に調整して注いでくれるので、安心して鍋を離れる。 …サルがきつい目で見ているけど、まあ、仕方がないよね。 スルーして、自分たちの朝食の準備を整える。

 今朝の朝食は芋粥と野菜炒めだ。 野菜炒めはオーク肉を控えめにしておいたので、あっさりとした仕上がりになっている。 

 不服そうな従魔たちとついでにイザックにはポルボロンとホットミルクを出して、私はホットミルクだけでお付き合い。

 休憩ごとにおやつや軽食を出すことがわかっているので2匹と1人もそれで納得してくれたけど、表情かおには❝まだまだ食べられる!❞と書いている。 相変わらずの凄い食欲だね。

 今日も馬車酔いをしないようなら、明日からは普通の食事にしてみようかな。
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