女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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きっと後悔してるはず

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 清算に時間を取られてしまい、朝食を食べたらすぐにスフェーンに向けて出発する時間になってしまった。

(商業ギルドには行かないのにゃ?)

(うん……。サンダリオギルマスに連絡するって約束してるから、行きたいんだけどね)

 私たちだけの行動ではないので、出発時間を遅らせることはできないし……。  でも、スフェーンへの往復の時間を考えると、今のうちに連絡しておいた方がいいよね? この街に着いたって知らせが遅くなると、心配をかけてしまうかもしれないし。

 馬車の用意をしているようだから、みんなには先に出発してもらい、私たちは後から追いかけることを検討していると、

「そろそろ出発するが、何か不足でもあるのか?」

 出発準備の指揮を執っていたサブマスが近づいて来た。 ちょうどいいタイミングだったので事情を話すと、

「そんなことか。 だったら……、誰か! 手が空いているものがいたら<商業ギルド>まで使いに行ってくれ。私たちが出発した後で構わない!」

「ああ、だったら僕が行きましょう。 商業ギルドの買い取り担当との打ち合わせがあるので」

 あっさりと解決してしまった。

 手を上げてくれた男性職員にサンダリオギルマスから預かっていた手紙とお礼のクッキーを渡すと、驚いたような顔で「僕は担当職員ではないのに…」と呟く。 元は私のお願いなんだから私がお礼をするのは当然だよね? 

 こんなことは担当職員ディアーナたちにお願いすることでもないから、彼が引き受けてくれてとても助かったとお礼を言うと、戸惑っていた彼はとても嬉しそうな顔でクッキーのお礼を言ってくれた。 それを見ていたサブマスが、

「これでもう、不足はないね? そろそろ出発するよ!」

 とみんなに合図を出すのと同時にギルドの扉を開けて職員たちが見送りに出て来てくれる。 ディアーナやシルヴァーノさんも一緒に出て来て、口々に「気を付けて!」「無事のおかえりを!」と声を掛けてくれるので、

「戻ってきたらまた一緒にごはんを食べよう! おいしいお店を紹介してくれる? もちろん私がごちそうするから高いお店でもいいよ!」

 と誘ってみると、

「「だったら、アリスさんのごはんがいいです!」」
「あいすくりーむ?をもう一度!!」
「あの柔らかいステーキを是非!」

 揃って笑顔でリクエストをされた。 

 ……私の担当職員さん達は安上がりだな。気を遣ってくれているのかと思ったんだけど、

「桃とオークステーキもいる?」

「「食べたいです!!」」

 昨日出したメニューを挙げてみると声を揃えて嬉しそうに即答するので、遠慮している訳でもないみたい?

 どっちにしても、お店で食べるよりは安上がりなんだけどね。 ……この街のおいしいお店の開拓ができなくて残念な気持ちもあるけど、私の作るごはんを喜んでもらえる嬉しさに比べたら全然大したことじゃない。

 私が笑顔で頷いたのを機に、ニールが(では、参りましょう)と私が乗りやすいように身をかがめてくれる。

 憧れの目でスレイとニールを見ていた人たちから起こるどよめきや、

「スレイプニルがあんなに従順なのを見たことあるか!?」
「乗り手の為にひざを折ってくれる馬なんて初めて見た!」

 などの声をスルーして、

「じゃあ、行ってきます!」

「「行ってらっしゃい!」」

 ディアーナたちと挨拶を交わしてゆっくり別れる。

 口をぽかんと開けてニールを見ていたマスター&サブマス姉弟が気を取り直したように出発の合図を出し、私たちはフランカの眠るスフェーンの森への移動を開始した。






 ちなみに……。

 今回は私が1人でニールに乗せてもらい、ハクとライムはスレイの背中で楽しそうにじゃれ合っている。

 みんなみうちいがいの前でスレイを従魔部屋ハウスに移動させるわけにもいかないし、かと言ってスレイの背中を空けておいて、誰かが乗りたいと言い出しても困るから。

「なんて贅沢な従魔たちなの……」
「ほんの少しの間でいいから代わってよーっ!!」

 私たちの後ろで誰かが呟いているのが聞こえたけど、当然スルーだ。 私は何も聞いてませ~ん!










 森へ行くメンバーは、ギルドマスター、サブギルドマスターを始めとして、Aランク&Bランク冒険者とギルド職員の合計5人と私たち。 

 ギルドマスター以外は全員女性。 ❝検分役は女性にして欲しい❞とお願いしたときは❝メンバーに女性を含む❞のつもりだったので、女性ばかりを揃えてくれた気遣いに感謝する。

「ギルマスとサブマスが揃ってギルドを留守にしていいの?」

 という疑問は、

「今回は3バカに留守番させているから大丈夫さ。 あれでも少しは役に立つんだよ」

 口で言う以上には冒険者こぐまたちを信頼しているようなサブマスターの様子で解消された。

 女性ばかりのメンバーに、なぜギルマス(男性)が1人入っているのかというと、

「穴掘り要員が必要だろう。 力仕事担当だね」

 ……こき使われる為らしい。 ……ギルドマスターギルドのトップなのに。

「さすがギルマス! 頼りになるわ~♪」

 おだてながらも、

「うちらが正しい女の扱い方ってやつを教えてやるよ!」
「これを機に、女性への紳士的な態度を学びましょう!」

 少しだけ棘を含む彼女たちの言葉で、これがサブマスあねが仕組んだギルマスおとうとへの❝お仕置き❞の一環だとわかり、ほんの少しだけギルマスが不憫に思えたことは……内緒だ。
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