女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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街歩き4日目 9

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 普段使い用の気軽な服とはいえ、街でも有数の仕立て屋さんで仕立ててもらうのだからお値段の方もやはりそれなりの物があり……。2着の購入を決めたディアーナは少しだけ❝しまった❞という表情をしていたけど、購入の意思を撤回することはなかった。

 2着の内の高い方をギルマスからの特別手当として、もう1着分を今からギルドへ戻ってお金を用意してくるというディアーナを引き留めて私が立て替える。 この店への支払い方法は前金で見積額の3分の2を、商品と引き換えに残りの3分の1を支払うそうだから、返済はその時までにしてもらう予定だ。

 ちなみに、私は服の他に手袋も仕立ててもらうことになった。「淑女の嗜みでございます! この美しい手が日焼けや怪我を負ったらどうするのです!?」と力強く説得をされ、私は淑女ではなくけんを振るう冒険者だと言えば真っ青な顔で「だったら尚更です! 武具屋と相談してきっとご満足いただけるものをお仕立ていたします!」と力強く請け負われ、魔法を撃つ時に破れてしまうかも?という意見はディアーナに「大丈夫よ。魔法を覚える時に教わらなかった?」と不思議そうに言われて、ごまかすように「じゃあ、5枚ほど」と言ってしまったのだ。

 ハク……、着物ドレスに恥じないものを作ってくれるそうだから、あんまり怒らないで? ね! ちゃんと反省してるし、手袋の代金はギルマス達に出してもらうから!









 今日もいい天気だし、軽い昼食の後はお散歩がてらの買い物を続けることにした。

 以前から欲しかった、四角い<卵焼き専用フライパン>はこの街では見たことがないと言われ、特注するために鍛冶屋へ向かう。

 最初に行った鍛冶屋ではあっさりとお断りされてしまい、ちょっとがっかりしたけど、ふと思いだした、スフェーンの近くまで馬車で一緒だった鍛冶屋のおじさんの話をディアーナにすると、なんだか思い当たったようでにこにこと微笑みながら案内してくれた。

「おおっ! ちゃんと無事に着いたんだな!! 心配はしていなかったが心配したぞ!」

 顔を見せた途端に大声を上げて寄って来たおじさんは、やっぱりあの時の鍛冶屋のおじさんだった。ということは、その奥にいるのが話に聞いていた新しいお弟子さんだね。

 新弟子を迎えたばかりのおじさんには無理な相談はできないなぁ、武器が専門なんだし。と発注は諦めて再会を喜び挨拶だけにしておこうとしたのに、

「アリスがこんな形のフライパンを作って欲しいって言っているのだけど、請け負ってくれる工房に心当たりはないかしら?」

 ディアーナがさっさとおじさんに事情を話してしまった。

 そうか。おじさんに頼まなくても、紹介してもらえばいいんだよね!

 ディアーナの期待どおり、おじさんは自分が受けられないことを残念がってくれながら知り合いの工房に紹介状を書いてくれたので、私は紹介状のお礼に晩ごはんを置いて行くことにする。 

 おじさんがわざわざ奥から呼んで紹介してくれた奥さまが、「主人が何度も話していた、料理上手な商人さん!? 今日はお店は開かないの!? この街にいる間に一度でもいいから営業してね!」とキラキラした目で見られてついほだされたというか……、手放しで褒められて調子に乗ったというか……。

 凄く喜んでくれたから後悔はないけどね? ハクとライムがクスクス笑っているのは気が付かないフリ!













 おじさんの紹介してくれた鍛冶屋さんは最初は私の注文に戸惑っていたようだけど、おじさんからの紹介状を読むと諦めたように笑いながら、❝そのフライパンを使って作った物をごちそうする❞ことを条件に引き受けてもらえた。

 ……紹介状の内容の半分以上は、旅の間に私が販売した食べ物の話だと聞いて、頭を抱えちゃったけどね。なんだかすごくハードルが上がってるんだけど、鍛冶屋さんの満足のいくものを作れるかなぁ? <卵焼き専用フライパン>だから、卵焼きや出汁巻き卵しか作らないんだけど。 

 あまり期待しないで欲しいと伝えてからお店を出ると、今度はハクとライムに混ざってディアーナまでもが「私にも!」とおねだりを始めたので、一瞬だけ自分の職業を疑ってしまったことは……。内緒でなんでもないな。

 焼いて焼いて焼きまくってあげるよ! 出汁巻き卵と卵焼き! 乞うご期待♪
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