女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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街歩き4日目 11

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「……なるほど。それは、あるようでなかった品ですね」

<商業ギルド>へ行ってラファエルさんの呼び出しをお願いしたら、ラファエルさんは来客中とのことだった。

 もしかすると相手は宿の総支配人さんかもしれないし、わざわざ接客中に邪魔をすることではないので、❝テントの商品登録❞を検討してもらいたいので担当者の方を紹介してもらいたいとお願いすると、……なぜかにこにこ笑顔のギルマスさんが待つ部屋に案内される。

 わざわざギルドマスターに話すようなことでもないんだけどね。ちゃんと❝テントの商品登録❞の話だとは伝えているはずだから、まあ、問題はないだろう。

 先ほどのお店でした話を改めてギルマスさんに(ディアーナが)説明し、私が補足する形で「対面になる2面を蚊帳にしておくと風が抜けて涼しいし、日差し避けがない場所で使うと直射日光を遮れて体力の温存ができる」と伝えるとあっさりと申請が通ってしまった上に、商業ギルドの方で1面と2面を蚊帳にしたタイプのテントを2種類試作してくれることになった。

 ディアーナの言った通りに話が進むので、お礼のつもりでこの登録に関する権利をディアーナと分け分けしようと提案したんだけど……、あっさりと拒否されてしまった。

 大したことをしたわけではない、とか、私の付き添いは一応仕事の一環になっているから、とか、今回の登録ではそこまで大きな儲けはでないと思うから、が理由なんだけどね。

 ジャスパーの冒険者組も似たようなことを言って初めは辞退していたから、今回も同じようにディアーナがいてくれなかったら登録をしていなかったからその分は貰って欲しいと説得をしても、ディアーナは頑として首を縦には振ってくれなかった。

 でも、今回登録する<蚊帳付きテント>は、<テント>も<蚊帳>も元々この世界にあるものをセットにしただけのものだし、私だけが得をするのはどう考えてもおかしい。だったらこの登録自体を止めた方が良いのではないかと思い始めていると、

「だったら、アリスが登録した料理のレシピが欲しいわ。まだ発売していないものだけど……、無理かしら」

 遠慮がちにディアーナがおねだりしてくれたので、ディアーナへのお礼は私の料理レシピということに決まった。ディアーナが使う分には、それを使って商売を始めたとしても使用料はかからないという条件だ。

 ギルマスさんからラファエルさんに話を通しておいてくれると言うのでここは甘えることにして、次のお買い物に意識を向ける。

 せっかく商業ギルドのギルドマスターが目の前にいるのだから、どこかいい馬車工房を知らないかと聞いてみると、どんな馬車がいいのかと詳しい希望を聞いてくれる。 さっき、ハクに言われて買うつもりになったばかりだから、特に希望があるわけではないんだけど……。

「天井に人が乗っても大丈夫な程度にしっかりしているものであれば、見た目にはこだわらない。中は、座面は片側だけにして、その分床面を広くとって絨毯を敷いて欲しいかな。ああ、道が悪くてもお尻が痛くならないように、座面も絨毯もふかふかしてるものがいいな。後ろの一面が中から空いたら、そこで対面販売……。いや、今のはなし! 
 馬車は2台購入したい。1台は今言った通りの物で、もう1台は質素でもいいから、どこかの面が内側から開けられるようにして、馬車に乗ったまま対面販売ができるようにして欲しい」

 今の段階で考えられることをお願いしてみると、2台とも特注することになってしまった。

 結構なお値段がしそうなのですこしだけ躊躇すると、ギルマスさんは笑いながら、これまでに登録して来たレシピの使用料で十分にお釣りがくるので、今手持ちがないのならギルドが立て替えることを約束してくれる。無利子・無担保・無期限の約束なので、ギルドへのメリットがないことに戸惑ってしまったんだけど、

「きっと、アリスさんの手持ちで十分に賄えますよ」

 ギルマスさんが自信満々に請け負ってくれたし、ディアーナも力強く笑顔で頷いているのでその話を受けることにした。もしも、足りない時は遠慮なく❝借り入れ❞させていただく。その代わりに、何か思いついたら、このギルドで登録することを私の中での約束事にした。












 馬車の発注はギルマスさんが工房に話を通してくれるそうなので、今日の買い物はここで終わり! 結構色々と買い物に回ったので、ギルドを出た時にはもう、辺りは暗くなってしまっていた。

 冒険者ギルドに用があると言うディアーナと別れて宿に戻ると、スレイとニールが宿の門の前で1対の置物のように立っていた。

 何かあったのかと急いで駆け寄ると、スレイとニールが甘えたようにヒンヒンと鳴きながら両側から私の頬に頬を寄せてくる。

 門番さん達は微笑ましそうに私たちを見ているんだけど……、一体何事!?
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