女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

文字の大きさ
466 / 754

再会 1

しおりを挟む




「………さん?」

 孤児院の窮状を聞いて、「お使いは済んだからこれで良し!」なんて言えなくなった。

 フランカの大切な院長おかあさんや子供ていまいたちの為に何か力になりたい。自分に何ができるのかと考え込んでいたから、

「……さん!」

 自分を呼ぶ声がしていることには気がつかなくて、

「アリスさん!! だよな!?」

 後ろから追い抜きざまに振り返って声を掛けてきた男性の姿を見て、本当に驚いてしまった。

「ルシアンさんっ!?」

「ああ、やっぱりアリスさんだったな! 元気そうだ!」

 だって、ネフ村でリハビリ中だと思っていたルシアンさんが、元気いっぱいの笑顔で立っていたから!

「ハクとライムも元気そうだな~! いっぱいメシ食ってるか? 相変わらず可愛いな!!」

「にゃん!」
「ぷきゅっ!」

「……やっぱりスレイプニルだよな。……アリスさんらしい…のか?」

「……ブルッ」

「あ~、初めまして。ルシアンだ。アリスさんには世話になっている」

「ブルッ、ブルルッ」

 こんな所で再会するとは思ってもいなかったのでびっくりして反応が遅れている間に、ルシアンさんはハクやライムと再会を喜び、初対面のスレイと挨拶を交わしていた。

 相変わらず順応力が高い。

「スレイっていうの。番にニールっていう雄がいるんだけど、今はお出かけ中なんだ。
 マルゴさんやルベンさんは元気!? ルシィさんやオスカーさんは!?  時間があるなら一緒に晩ごはんを食べようよ! 私の作ったごはんで良かったら、だけど」

 思わぬ再会が嬉しくて声が弾んでしまう。マルゴさん達の話が聞きたくて晩ごはんに誘ってみると、

「アリスさんの作るメシ!? すっげぇ食いたい!! ……アリスさんが旅立った後も、父さんたちに作りたての美味さを自慢されてて悔しかったんだ」

 二つ返事で了承してくれた。 あの頃よりも、すこ~しだけ、おいしいものが作れるつもりだよ♪

 ルシアンさんはこの街に来るまでの馬車で一緒だったパーティーに仮加入中らしく、彼らに一言断りを入れてから私の泊っている宿キャロ・ディ・ルーナに来てくれることになった。

 宿へと向かいながら、今夜のごはんはどれにするかと考えていると、

(主さま、わたくし夜は従魔部屋ハウスに入れていただきとうございますわ)

 スレイが甘えるように言った。 ……ニールがいない厩舎で独り眠るのは、やっぱり寂しいよね。

 でも、従魔部屋ハウスで独りでいるのも寂しいだろうと思い、部屋で一緒に泊まれるように交渉しようかと提案したけど、スレイは宿の備品を壊す心配があるから従魔部屋ハウスの方が良いと言う。ハクとライムも従魔部屋の居心地の良さを保証してくれたので(ハウス内では時間の経過をあまり感じないらしい)、スレイは私たちと一緒に行動できない時間は従魔部屋で過ごすことになった。

 問題はどこで従魔部屋に入ってもらうかなんだけど……。私のインベントリ内に生物が入れる従魔部屋があることは当然内緒の話だ。うかつに出入りしている所を見られたら大騒ぎになってしまう。

 スレイの提案で❝街の外に散歩に出た❞ように装うことになったので、私たちは急いで門の方へ向かった。街を出て人目につかない所でスレイをハウスに入れたら、私たちは徒歩で戻ってこないといけないので大忙しだ。

 ルシアンさんより先に宿に戻っておかないといけないからね!











「えっ!? マルゴさん達にバレちゃったの!?」

「ああ。マエルの腰巾着たちが怒鳴り込んで来たからな。あ~、やっぱりアリスさんの料理は美味いな! って言うか、ここまで美味いものだったのか!  
 …あのジジイ、アリスさんのカモミールティー製造販売計画を横取りしようとしやがった」

「いや、あれはマルゴさんの計画だよ? カモミールティー普及計画」

「ん? そうだったか? これも凄く美味い!」

 ルシアンさんは私の泊っている宿が街で一番の宿キャロ・ディ・ルーナなことに驚きを隠さず、「やっぱりお姫さまだったか…」と訳のわからない独り言をつぶやいていたけど、お風呂のある宿に泊まるという目標を早々に達成したことを一緒に喜んでくれた。

 落ち着いたルシアンさんから聞いて嬉しかったことは、マルゴさんを始めとする、私がお世話になったみなさんがとても元気だということ。ルシィさんとオースティンさんがなんだかいい感じだということ。

 驚いたことは、私がマルゴさん達の代わりにカモミールティーの<情報>や<レシピ>を<仮登録>していたことが、マルゴさん達にバレてしまっていたこと。

 マルゴさんやルベンさん達がジャスパーの商業ギルドに登録に行ってくれていたなら、サンダリオギルマスの権限で仮登録をしていた事実を抹消できたんだけど、どうやって嗅ぎつけたのか(狭い村での話だから仕方がないんだろうけど)、狸村長マエルが計画を自分のものとしてギルドへ登録に行ってしまったのだ。

 と言ってもその内容が❝カモミールを栽培してお茶にして売る❞だけのずさんにも程があるものだったので、窓口の担当者が「その件はすでに登録申請を受理している」とあっさり撃退してくれたんだけどね。

 強欲なマエルの腰巾着たちがマルゴさんやルベンさんに「村の財産になるべきものを私物化するなんて!」と恥知らずにも怒鳴り込んだりしたものだから、詳細を聞きにジャスパーの商業ギルドに向かったマルゴさんとオスカーさんに全てがバレてしまったのだ。

「……気を悪くしてない?」

 私が先に仮登録したことで、100%マルゴさんやルベンさんの一家が手にするはずだった利益が減ってしまうことになった。……そういう方法でしか権利を守れなかったんだけど、そのせいで利益の一部を横取りする形になってしまったことは事実だ。

 あの狸ジジイが余計なことをしなければ……! 腹立たしさを紛らわす為に、頭の中でマエルを逆さづりにして髪の毛を毟っていると、

「するわけないだろ? みんなアリスさんの機転に感謝してる。 ああ、あの話は村を挙げての計画になってて、アリスさんの取り分は今のところ利益の30%になってる。 一応仮登録は完了してるけど、50%までの変更はすぐにできるから遠慮なく言ってくれ」

 ルシアンさんがとんでもないことを言い出した。 利益の30%が私のもの!?

 意味が分からない!とルシアンさんを問い詰めると、ルシアンさんはあっさりと、

「アリスさんがいなければこの話は持ち上がらなかったし、アリスさんが仮登録をしてこの権利を守ってくれていなければ、利益は全てマエルのものになっていただろ? 元々アリスさんの取り分は利益の70%を考えていたんだ」

 もっととんでもないことを言い出した。

 何にもしていない私にどうして利益が出る話になってるの? それも70%っておかしいにも程があるでしょう!?

 私の動揺をよそに、ルシアンさんはご機嫌のハクとライムに勧められるままごはんを楽しんでいる。 

 詳しく聞いてみると、マルゴさんとオスカーさんの担当をしてくれたサンダリオギルマスが2人に仮登録の経緯を詳しく話してくれたおかげで、私の取り分は30%で落ち着いたらしい。それでも最初の計画よりも取り分が増えているんだけどね? そのことについては、今度改めてサンダリオギルマスに相談してみよう。

 それよりも聞きたいことがまだまだいっぱいあるんだ。 

 ルシアンさんがこの街で冒険者になっている理由とか、ね?
しおりを挟む
感想 1,118

あなたにおすすめの小説

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。 【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】 本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。 Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited. © 魯恒凛 / RoKourin

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~

Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。 うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。 でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。 上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。 ——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...