女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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トラブルはお約束? 3

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「待ちたまえっ! <キャロ・ディ・ルーナこのやど>を追い出されたりしたら、今後の商売が……っ!」

「今後のご発展をお祈りいたします」

 血相を変えて抗議する商人と、腰を折って優雅に礼をする従業員さんたちの間で固く閉ざされる門扉。

 視線を感じたらしい商人さんがキッと睨み上げるのに気づいて、慌ててカーテンの陰に隠れた。……ハクとライムは窓枠に乗ったままだけど、一応、ね。





 ❝ハクとライムに部屋を汚されたり壊されたりする前に、自分がこの部屋を使ってやる❞的なことを堂々と口にした商人に対し、総支配人さんはゆっくりと笑みを深めて見せた。……目の奥の冷たい光を除けば、完璧な笑顔だ。楽し気にすら見える。

 それを了承ととった商人が側仕え(?)の人に、自分の荷物を持ってくるように伝えるのとほぼ同時に総支配人さんは背後に向かって合図を送った。

 気になって振り返ってみると、眼鏡をかけた女性がベルパーソンさんたちと共に速足に近づいて来て私たちの側で立ち止まり、

「本日分のお代はいただかなくて結構です。速やかに清算を」

 と微笑む総支配人さんに向かって頷くと、商人と側仕え(だと思う)の人に向かって、

「お客さま方にはチェックアウトをお願いいたします。お荷物をお持ちになりフロントまでお越しくださいませ」

 と軽く頭を下げた。

 ベルパーソンさん達が続いて「お荷物をお運びいたします」と言って商人さん達を誘導しようとすると、やっと事態を理解した商人が、

「なっ!? 私はチェックアウトの予定などないぞ!」

 と声を荒げる。

 急な展開に理解が追い付いていない私(ハクとライムは当然!というように落ち着いていた)に総支配人さんは優しく微笑むと、私の手を取り部屋の奥にエスコートして部屋の扉を閉めてくれる。

 一件落着!みたいな表情だけど、まだ商人と側仕えの抗議は続いているからね?

「私は予約日数分の前金を払っているではないか! なぜチェックアウトなどと?」
「ご主人様に何という無礼な真似を……! 許さんぞ!」

 という2人に対して、落ち着いた女性の声が、

「もちろん前金は返金させていただきますし、本日分の代金は頂戴いたしませんのでご安心ください。
 ……他のお客さまにご迷惑をおかけする行為を、我が宿は容認いたしません。どうぞお引き取りを」

 と突き放す。

 うん。いきなり部屋にやって来て「部屋を代われ」と言い出したり、きゃくの大事なハクとライムかぞくを侮辱することは、確かに迷惑行為だ。 

 私は納得して頷いてしまったけど、突然宿泊先を追い出されそうになっている商人たちは簡単には納得しない。

「少し話をしたにきただけ」「少しお願いをしてみただけ」なのに❝迷惑行為❞なんて大袈裟だと笑い話に変えようと必死だけど、

「同じ宿に宿泊しているだけの、なんの縁もない女性の部屋を訪れるのはマナー違反です。強盗、暴行目的だと疑われても仕方がない行為かと。
 それに、客室とご不浄の区別のつかない方のご宿泊は他のお客さま方に不安を与えますので……」

 女性は毅然とした声で商人たちの言い分を封じてしまった。

「なっ! それは……! くそっ、おまえのせいで!」
「知らなかったのです! お許しください!」

 商人が悔しそうに側仕えをなじる声が聞こえるけど……、側仕えの教育は主人の仕事だよね? それを反省することもなく、

「あの獣とその主よりも私の方が部屋を綺麗に使える! 私の方が上客だとわからないのか!?」

 と言い出した。

 カチンときて踵を返そうとした私の足を、ハクとライムがそれぞれ乗っかりながら止める。大人しく様子を見ろと視線で言われ、耳を澄ますと、

「あの可愛らしいニャンコちゃんとスライムちゃんが部屋を汚す!? 彼らはマナーを知っているとても賢い❝従魔❞たちですわ。そんなことありえないことです。
 それにこのお部屋は彼らの主であるお客さまがご自身であのように美しく整えられているのです。あえて、上客、というのなら……。お分かりでございますね?」

 自信満々の声でハクとライムを庇ってくれる声が聞こえた。 

 そこまで聞いて興味を無くした私は、総支配人さんに勧められるままにソファに腰をおろした。

 初めは❝強制チェックアウト❞なんて少し大袈裟かも? 私のせいでそんな大事にしなくても…。と思ったんだけどね? 

 もう、私が気に病むことじゃあ、ないみたい。

 騒ぎが落ち着くまで、大人しくお茶を楽しむことにした。
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