女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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お引越し準備 18

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「はぁ~く、がぁんばれっ! すれい、がぁんばれっ! にぃる、がぁんばれっ!」

「まかせろにゃ!」
「はい! ライム兄さま!」
「はい! ライム兄上!」

「私は?」

「アリスはぼくとオウエンするの!」

「はぁ~い」

 すでに通い慣れた気がする森の中に、ライムの元気いっぱいな応援の声が響いている。

 いつもなら戦闘中は大人しく従魔部屋ハウスに避難してくれるライムなんだけど、今回は珍しく、

「ぼくもみんなといっしょにアリスのやくにたちたいの!」

 なんてけなげなことを言いながらハウスに入るのを拒んだので、みんなと相談の結果、応援係&私の護衛役として働いて貰うことになった。

 ライムはいつも調合や料理、解体の後始末などで何かとお手伝いをしてくれているのだから、戦闘まで頑張らなくてもいいって言ったんだけどね? 

「だって、ぼく、ニールとスレイのおにいちゃんだもん!」

 ❝お兄ちゃん❞として、弟妹が戦闘している時にのんびりお昼寝をしていることに抵抗を感じるようになったらしい。

 だから、まだ魔物が強くない森の外周付近だけは、ライムも応援係として戦闘に参加してもらうことになったんだ。ハクの提案で。もちろん、ライムと私の周りにはハクの防御結界が張られている。

 でも、ライムを納得させるのは少し大変だったんだ。

 ライムとしては弟妹ニールやスレイと共に攻撃に加わりたかったみたいなんだけど、そんな危ないこと、みんなが許すわけがない。確かにライムの酸攻撃はなかなかのものだけど、防御力はやっぱりイマイチだからね。危険なことはさせたくない。

 だけど、ライムに対してそんなことを正直に言える訳はないし……。

 と悩んでいたら、

「ライム、今日は諦めるのにゃ。ここの魔物が相手だと、ライムはまだ自分の身を守れないのにゃ。ライムが怪我をすると、アリスが泣いちゃうのにゃ!!」

 長兄としての貫禄を滲ませながら、ハクがあっさりと言ってしまった。

 ハクの言葉に黙って俯いてしまったライムに、なんとかフォローの言葉をっ!と慌てたんだけど、ハクはやっぱりライムの優しいお兄ちゃんで、

「ライムは防御力は低いけど、応援力はとっても高いから、戦う僕たちを応援するのがライムの役割なのにゃ!」

「おうえんりょく、ってなに……? 」

「❝がんばれーっ!❞って相手を応援することで、相手のヤル気を大幅に上げる力のことにゃ! アリスに褒められたり、がんばれって言われたらライムは❝嬉しい! がんばろう!❞って思わないかにゃ?」

「おもう!」

「それと同じにゃ! 僕はライムに応援されたら嬉しくて、索敵能力が上がる気がするにゃ! ニールとスレイはどうかにゃ?」

「我はライム兄上に応援していただけたら、いつもよりも強い力で敵を蹴り倒せる気がいたしますぞ!」
「わたくしはライム兄さまに応援していただけたら、いつもよりも力強く敵を踏み倒せる気がいたしますわ!」

「そっか……。じゃあ、ぼくはオウエンをがんばるっ! えへへ、いっぱいいっぱいオウエンするね!」

 弟妹ニールとスレイを巻き込んで、ライムのヤル気をしっかりと別の方向に持っていってくれた。しょんぼりしていたライムが今はにこにこのご機嫌さんで笑っている。

 うん、嬉しい! ライムが笑っていることも、兄弟みんなが仲良しなのもとっても嬉しい! でも、

「私もライムが応援してくれると、いつもよりも魔法の威力が上がる気がするんだ! 頑張るからね!」

「ああ、アリスもライムと一緒に応援係なのにゃ。 ライム、アリスの護衛も任せるのにゃ!」

「うん! まかせて♪」

 私の戦力外通告はどういうことかな? ライムの護衛にはハクの方が適任だよね?












 私は脚の多い虫が大嫌いだ。だから、虫系統の魔物も同じように大嫌いだ。

 そのため、森の中心部のアラクネー(もちろん大嫌い!!)の生息地まで、虫系の魔物がいる場所は避けて行く予定だった。でも、

「そんなのは時間の無駄だから、ここから森の中心部まで真っ直ぐに向かうのにゃ。その間に見つける有益なものは全て採取、討伐しながら最短で進むのにゃ。だから、アリスは後方で応援係なのにゃ」

 ハクによって私のプランは却下。 みんなを待たせているのだから早く帰る!って言われたら、おとなしく従うしかないからね。

 本当は、戦闘に参加しないライムが引け目なんて感じなくていいように、素直に応援に力を入れられるように、私も一緒に応援係にしたんだってわかってるし。

 ハクとスレイとニールが力強く敵を倒すのを応援しながらライムと私は採取に励み、倒された魔物を回収しながら中心部へとさくさく進行する。

 中心部付近になるとどんどん魔物たちが強くなるので、きちんと状況の判断をしたライムは自分からハウスへと入ってくれた。ハウスの中にいる方が、戦闘中のみんなも安心だからね。

 そして、ここからは私も戦闘に参加することが許可された。

 よぉし、狩って狩って、狩り尽くしてやる! …………アラクネー以外!











「ウインドカッター・ダブル! あっ……、あんなところにもう一匹? えいっ!」

 中心部に近づくにつれて増える極桃オークは大切な食糧&換金用素材! 不必要な傷などつけないように、狙いを定めて風魔法で首を飛ばす。

 ここに着くまでに遭遇した魔物を相手に練習を重ねた結果、単発のウインドカッターは無詠唱でもきっちりと威力とコントロールの効いたものを発動できるようになっている。

 みんなと一緒に遠慮なく狩り倒したら、あっという間に付近から極桃オークがいなくなってしまった。これまでに来た数回の狩りのせいで、個体数が減っていたのかな?

 仕方がないから意識を桃狩りに切り替える。アラクネーは視界に入れない。

 極桃の木とほぼセットになっているアラクネーの相手はスレイとニールに丸投げして、私はハクと一緒に薬草類&極桃の採取に勤しんでいたら、あっという間に付近の桃が無くなってしまう。

 このまま放って置いてもいいんだけど……、他の冒険者が来た時に1本の木に桃が1つだけしか残っていないっていうのは気の毒なので、早く次の実がなるように<植物活性薬>を撒いておいた。

 きちんとアラクネーの糸と本体も回収したし、採取できる実は取り尽くしたから(小さいのとかはきちんと残してるよ!)もうここですることは何もない。

 さて、そろそろ街に戻ろうか!
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