女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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言い訳? いいえ、説明です

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「で? どうするつもりなのにゃ?」

 私が告白のタイミングの悪さを後悔していると、さっきまで大きな声で鳴き声を上げていたハクがとても静かに私に問いかけた。

「1メレも持っていない僕たちは、今日からどうやって生きていくつもりなのにゃ? ごはんは? お風呂は? ベッドはどうするのにゃ?」
「マチのそとでノジュクでもするの?」

 今後のことを問いかける2匹は、先ほどまでの興奮が嘘のように冷静だ。

 ……やっぱり2匹は最初からお財布事情に気が付いていたんだな。と思い当たり、嬉しくてついつい口元が緩んでしまう。

 私が有り金全てをミネルヴァ家のお引越しの為に費やしたことに気が付いていながら、2匹は何も言わずにいてくれた。それはきっと、今回のお引越しで子供たち(と皆)が困らないように、と考えてくれたのと、たとえ一瞬だけ無一文になってしまっても、生活費の工面は私がきちんとすると信用してくれているからだと思うんだ。

 だから気合を入れて説明する。

「ごはんはひと月分以上のストックと食材があるから大丈夫。宿代はお水を納品する代金と足りない分は冒険者ギルドで依頼を受けるか、街の外に狩り&採取に行って稼ごうと思う。それでも足りない時は、今日の分の【複製】がまだ残っているから残っている素材でポーションや薬を作って、それを複製して売るよ。それか、インベントリの整理を兼ねてごはん屋をオープンするのも良いかなぁ。食材の品質が落ちる分は、ハクたちは食べないでしょ?」

 ❝善後策❞なんて言ってみても、実際は今までの金策と大差はない。違うのは、何百万・何千万メレを短期間で稼ぐ必要がないということ。

 最低限1日の宿泊代25万メレひく宿に卸す浄化水代を稼げばいいのだから、気は楽だ。まあ、出来たら数日分の宿代くらいは貯めておきたいけどね。

 あれ? う~ん……? 

 もしかして、1メレ無しの貧乏状態の今、街一番の高級宿<キャロ・ディ・ルーナ>に泊まろうと思っていることがおかしいんじゃないかな?

 部屋も他の宿とは比べ物にならないくらいに広くて綺麗でお風呂もベッドも気持ちが良いんだけど……、どう考えても、現在の状況では贅沢過ぎるよね? お金が貯まるまで安い宿に宿替えしようと提案すると、

「……いいのにゃ。でもその前に総支配人ロランドにきちんと事情を説明するのにゃ」

 思いの外あっさりと了承されて安心した。まあ、金銭に関してはかなりのしっかり者の保護者ハクだから、当然なのかもしれないけどね!












 ……今夜の宿は<旧ミネルヴァ邸>に決定した。

 総支配人さんにチェックアウトの報告と、急なチェックアウトになってしまったことへのお詫びを言い、聞かれるがままにその理由を説明すると、「この先の宿泊料はいただきませんのでこのままお泊りを!」と言われてびっくりした。

 アクシデントなどで急に浄化水が足りなくなった時の為にもキャロ・ディ・ルーナに泊まっている方が都合が良いと言われたんだけど、毎日多めに水を販売しておけば済む話なのでせっかくだけど断った。今まで私が街にいる時に宿の水が足りなくなったことはなかったし、どう考えても、宿にとっては迷惑な話だしね。

 その代わりに勧められたのが、今日から正式にカッサンドラさんの商会の持ち物になった旧ミネルヴァ邸での宿泊だ。

 簡単な仕事で報酬付き。

 仕事の為に泊り込みが必要だという名目で宿泊費は無料。畑の用心棒と家の掃除を請け負うことで、日当+清掃料が手に入るというオイシイ条件だ。

 ハクの勧めに従って引き受けた。住人がいなくなってしまったミネルヴァ邸でのお泊りは寂しいだろうと思って躊躇したんだけど、「ここなら窓を開けるだけで、いつでもスレイとニールに会えるのにゃ!」と言われたら、ねえ? 

 ここは総支配人さん夫妻のご厚意に甘えさせてもらいます!











 色々と話し込んでいたら、お昼が近くなっていた。

 夜には戻って来て畑の作物を守らないといけないし、私が留守の昼間の間に、ほとんど物が無くなってがら~んとしているこの家に宿の不要な家具を置きに来るとのことなので、その掃除もしなくてはいけない。

 残念だけど街の外に行くのは諦めて、街の中でできる仕事を探しに行く。……うん、当然だけど、目ぼしい依頼は残っていない。

 よぉし! <ごはん屋・アリス>を張り切ってオープンしよう!
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