女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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ごはん屋アリスオープン! 高いのには訳がある。

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「卵と野菜のサンドイッチを3つと野菜と卵がたっぷり入ったスープを3つとサングリア・ブランカを1つとポテトチップスを1,500メレ分ください! あの…、アイテムボックスを持っていないので1人では運べません!! 配膳をしてください!」

「は~い! じゃあ、ライム。サンドイッチとポテチを運ぶのを手伝ってくれる? あ、お代は」
「猫ちゃん!! 小銀貨2枚からお願いね!」

 お代は隣のにゃん仔ハクに、という前に後衛職らしい華奢な彼女はハクの前に移動して小銀貨を置き、ハクが小さな手を使って、お釣りの硬貨を1枚1枚丁寧に彼女の方に押しやるのを嬉しそうに見ている。

「うふふっ! うふふふふふ……っ♪ ちいちゃなおててが何度も往復しててかわゆいぃぃぃ♪ ……お金の計算までできるなんて、猫ちゃんは本当に賢いね~!!」

 にこにこ笑顔の彼女がハクからお釣りを受け取り、ライムと一緒に体格のいい冒険者たちが座っているベンチに移動を始めると、

「アソートおむすびセットを5人分とボアのハンバーガーとハーピーのシチューを5人分ずつくれっ! 俺もインベントリは持っていなくて、仲間はあそこで席取りを……」

「おむすびセットには唐揚げとスープが付いてますけど、シチューも」
「いるんだっ! なんなら10人分でもいいっ! だから、その……」

「お鍋持ってます? よければシチューはお鍋に入れましょうか?」

「そうしてくれるか!? あ、いや、俺はこう見えても非力で、配膳を……」

「は~い! ニール! ハンバーガーとシチューを運んでくれる? お客さまはおむすびセットをお願いしますね! あ~、5セット運ぶのは厳しいですか?」

「いや、大丈夫だ! 盾の上に乗せて運ぶからな! 金は……、すげえ、本当に計算できてる。なあ、おまえさんは本当に猫なのか?」

「んにゃん!」

「そうか……。利口な猫なんだな! チップだ。受け取ってくれ!」

「にゃ~ん♪」
 ❝ぽむぽむ!❞

「うわっ、もふもふ…、真っ白のもふもふが俺の手をぽむぽむって……っ! カッコいいスレイプニルが飯を運んでくれて、可愛いねこが俺の手を……。女神よ、楽園は、俺の楽園はこんな所に!!」

 チップを貰ってご機嫌のハクは可愛いおててでぽむぽむ攻撃をサービスし、感動で震えていた筋肉モリモリのお兄さんは席で待っている仲間の冷たい視線にハッと気が付き、急いで大きな大きな分厚い盾の上におむすびセットを5つ乗せると軽々と持ちあげて仲間の待つ木の下へと移動する。視線はニールに固定したままで。

 う~ん? 大成功、なんだよね? <ごはん屋・アリス>。なんだか自分が凄い悪徳商売人になってしまった気がするんだけど、従魔たちもみんな楽しんでるしお客さんたちも笑顔だし……。

 冒険者ギルドの訓練場内で急遽オープンした<ごはん屋・アリス>は、屋台バージョンに変形させた馬車で食べ物を売っている。……かなりの割高で。

 それでもお客さまがひっきりなしに来てくれるのは、うちの看板従魔たちによる❝配膳サービス❞による賜物だ。

 スレイ発案の配膳サービスは、持ちきれない量の食事を購入したお客さまにのみ適用されるサービスだ。配膳区域は、この訓練場内のみ。

 このサービス価格(割安ではなく割高なのがポイント)を最初にスレイから提案された時は、正直なところどうなるのかと思っていたんだけど、いざ蓋を開けてみると、大反響!だった。

 とんでもなくお利口なハクがお会計を、可愛いライムやカッコいいスレイとニールが配膳を担当していることが知れ渡ると、あっという間に長蛇の列が出来上がった。

 主な客層は依頼を選び終えて現場に出向く前の冒険者たち。だから急いでいる人たちは配膳された後その場で食べずに、お弁当として持って出る人も珍しくない。でも、みんなが共通して、

「あ~~! 本当にカッコ良いなぁ! すっげえでっかい身体に綺麗な毛並みっ! おとぎ話より実物の方がカッコいいなんて思ってもみなかったなぁ」

「こんなに素敵なスレイプニルが私たちの為にごはんを運んでくれるなんて! 友達に自慢しても信じてもらえないかもしれないわ!」

「スライムがこんなに上手に飯を運んでくれるなんて思ってもいなかったなぁ。 あ~、すべすべでぷにぷにですべすべでぷにぷにぃぃぃ……」

 配膳担当の仔たちを褒めちぎってくれるんだ。

 従魔たちが許せばお触りもOKらしく、子供のようなピカピカな笑顔でごはんを受けとり、なでなでしたり抱っこしたり……。

 これはしっかりバイト代を渡さないとだめなヤツだね。

 うちの仔たちの働きぶりにより、当初の予定の何倍もの売り上げがでた。

 うちの仔たちが稼いでくれた大切なお金。どんなものに使ってあげようかな♪
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