女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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ごはん屋アリスオープン! 高いのには訳がある。 2

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「3番テーブルにたっぷりミルクのふわとろトーストを2つと照り焼きハーピーのサンドイッチ、りんご水と温かいコーヒーを2つ、メロンの丸ごとゼリーを3つお願いします」

「メロンの丸ごとゼリーは結構ボリュームがありますよ? 華奢なお嬢さんたちだけど大丈夫ですか?」

「確認済みです」

「わかりました。ライムとスレイ、行ってくれるかな?」

「ぷきゃ!」
「ヒンッ!」



「7番テーブルにシチュードティーとミルクレープを2つずつお願いします」

「は~い。ハクとニール、お願いできる?」

「にゃん♪」
「ヒヒン!」



「1番テーブルのオーダーです。ローストオークのサンドイッチを3つ、トマトの肉詰めチーズ乗せを3つ、ハーピーの手羽元の塩コショウ焼きを2つとオークステーキを6つ、味付けは塩コショウとオニオンソースをそれぞれ3つずつ。採れたて野菜の天ぷらを大皿で、オークのハンバーグを3つ、オークのハンバーグチーズ入りを2つ、オークのハンバーグ目玉焼き乗せを1つとアウドムラのミルクと飲むヨーグルトとお水をそれぞれピッチャーでお願いします。あの……、とてもテーブルに乗りそうにないのですが……」

「1番テーブルって……、ああ、なるほど。お出しする順番をこちらで組み立ててから2度に分けてお届けすると伝えてください。前半はハクとスレイ、後半はライムとニールにお願いするね」

「んにゃん!」
「ぷきゅ!」
「「ヒヒ~ン」」


 皆さま、トラットリア・アリスへようこそお越しくださいました! 本日は心ゆくまでおいしい料理と可愛い&カッコいいカメリエーレとの触れ合いをお楽しみくださいませ!

 ……なんて、ね。

 ただいま<キャロ・ディ・ルーナ>の中庭でごはん屋・アリスを営業中。中庭の入り口には<トラットリア・アリス>の看板が飾られている。

 一流の宿キャロ・ディ・ルーナの中庭で営業するならリストランテとして営業するべきなんだろうけど、トラットリアにしたのは、出す料理が和食交じりだったりするからだ。それに、お料理を一度にテーブルに運んでしまったり、ウエイターカメリエーレはお料理を運ぶだけで注文を取ったりお料理の説明をしたりしないから。一部カフェとして利用しているお客さまもいるしね。

 どうしてここでこんなことをしているのかというと、冒険者ギルドで臨時営業させてもらった<ごはん屋・アリス>ぼったくりバージョンの評判が良すぎて、その日お店に来られなかった人たちから「自分たちにも希少種の従魔との触れ合いを! おいしいごはんを!」と連名の要望書が届けられてしまったから。……その日の晩に。

 しかも筆頭にこの街の領主の名前があったから断わりづらかったんだよね。持って来たのは総支配人さんだったし。

 なにより、ハクがノリノリだったのが決定打になった。

 ハクの意見で、今日の営業を<キャロ・ディ・ルーナ>で行うことになった。客層ターゲットを領主一家や総支配人夫妻をはじめとしたお金持ちばかりに絞り込み、オークを使ったメニューを解禁して料理の価格を引き上げ、さらに今回は注文の料理を必ずハク達が運ぶということで付加価値を付け、ぼったくりにぼったくりを重ねた価格になったんだけど……。

 お客さまたちが、み~んな笑顔なことを報告しておこう。お金って、ある所にはあるんだね……。

 さて、せっかくだから、この機会に領主ルクレツィオさんに報告しておこうかな。

 1番テーブルの料理があらかた無くなったのを確認してからテーブルに近づく。このテーブルは領主一家と総支配人さん夫妻のテーブルだ。小さな子供さんもいるから直接話をするのはやめておいた方がいいだろうと思い、インベントリから取り出した紙にささっとメモのような簡潔な手紙を書いておいたんだ。

 内容は、領内の孤児院の経営が不健全である可能性があることを踏まえ、実態を調査してはどうかという提案。

 引っ越しの前の夜に各孤児院から集まってくれた子供たちの発言が不穏だったからね。

 職員たちによって子供たちが不当に売り買いされたり、売春を強要されている可能性が高いと感じたのでそれをそのまま書いておいた。

 ルクレツィオさん、信用しているから後はよろしくね! 








 ……この日の収益およそ約5分の1がハク、ライム、ニール、スレイの4匹が稼いだチップだったことは、う~ん、想定外だったなぁ。

 始めから従魔たちのサービス込みのぼったくり価格なのに、上乗せしてチップまでくれるなんて……、普通、想像しないよね?

 当然って表情で笑っている従魔たちを見て、苦笑を禁じ得ない私だった……。
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