女神の代わりに異世界漫遊  ~ほのぼの・まったり。時々、ざまぁ?~

大福にゃここ

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出発前の下準備 4 

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 さっさとギルドマスタールームこのへやを出て行くべきだった。

 改めて私が深く反省したのは、

「そうだろう? やっぱりアリスには必要だと思うだろう?」

「にゃ!」

「ぷきゅん♪」

「お? ライムは俺を褒めてくれるのか? そうだよな、これは姉貴じゃなくて俺が書いたものだからな~」

「<信認証>を用意することを思いついたのはわたしだが?」

「にゃ~ん♪」

「ハクはわたしを褒めてくれるのかい? 面倒な手続きをした甲斐がある!」

 両手を後ろに回して受け取り拒否の姿勢を取った私を笑うかのように、ハクとライムが連携してサブマスから信認証を受け取ってしまったからだ。

 とてとてと可愛らしい足音を立てながらハクがサブマスの足元に近づくと、待ってましたとばかりにしゃがみ込み信認証をハクに差し出すサブマス。差し出された信認証を縛っているリボンを口に加えたハクがたたっ!と軽やかにライムに駆け寄ると、ハクから信認証を受け取ったライムが頭部に入れている従魔プレートの横にとりこんでしまった。

 体内に取り込んでいるのに、従魔プレート同様に紙を溶かすことなく保管するライムに感心しかけたが…、違う! そうじゃない!

「そんな面倒そうな代物を、どうして受け取っちゃうの~っ!?」

 私が拒否を示した物を受け取ってしまった行為について、きっちりと抗議しなくては!

 たとえ、私の抗議を受けたハクとライムが、

(絡まれ体質のアリスには必要なものなのにゃ!)
(トラブルたいしつのありすにはひつようだとおもうの)

 自信満々で自分たちの行動を反省なんてするそぶりがなくても、ね。

(だったら先に相談してくれたらいいでしょ? どうして勝手に受け取っちゃうの?)

(どうして貰っちゃいけないのにゃ? 絶対役に立つのに!)

(役に立つような状況にならないようにトラブルは全力で回避するつもりだし、そんなものを受け取ったら、逆にトラブルの種になるだけだよ!?)

(回避できなかった時の為に、受け取っておいた方が良いのにゃ! それに、受け取ったからって、必要がなければ使わなければ良いだけなのにゃ。なんの問題もにゃいのにゃ。僕らは間違っていないのにゃ!)

 たとえ言い負かされることになったとしても……。抗議は必要だと思うんだ。今後の為にも、ね?

(自分が間違っていないと思ったら、相手が嫌がっていることでも強制して良いっていうことなの? 相談や説得をすっ飛ばして、自分の考えを相手に押し付けても構わないってことなの?)

 ハクとライムの考えはわかった。だったら仕方がない。

「……今日から街を出るまでの間、私たちのごはんはパンとサラダと具なしのスープだけになるから。もちろんおかわりはないよ。ああ、スレイとニールから分けてもらうのも禁止だからね」

 どんなに抗議をしても相手に聞くつもりがないなら仕方ない。こちらも同じような手段を使うだけ。

「にゃにゃ!?(なんでにゃ!?)」
「ぷきゃあ!?(どうして!?)」
「「……はあっ?」」

「仕方がないよね? 今、ハクとライムのしたことは、主である私の意向を完全に無視した行動だもん。こんなことが住人に知られたら❝テイマーの言うことを聞かない魔物を街に入れるなんて危険!❞って追い出されても文句言えないし? そうならない為にも❝ちゃんとお仕置きしつけをしています❞って、周りに見せておく必要があるよね」

 私の考えを押し付ける。おいしいもの食べるの大好き!な2匹にとって、もっとも辛いと思う方法で。……私にとっても辛い方法なんだけどね。

「にゃにゃん! にゃんにゃにゃにゃ、う~、にゃ!!(そんなのひどいのにゃ! 僕たちは住人に危害を加えたりしないのにゃ! 横暴なのにゃ!!)」
「ぷきゅう、ぷきゅきゅ~!(ぼくも、まちのひとをいじめたりしないよ~!)」

 2匹からは猛反発を受けるけど相手にしない。

「これから先も、いろんなヒトのいる集落で生活していくためには必要なことだもん」

 自分は正しい!と言った表情で2匹の抗議を切り捨てる。

「待ってくれ、アリス! いくらなんでもそれはかわいそうだ!」
「2匹は俺たちに力を貸してくれただけで……。メシ抜きはひどすぎる!」

 ごはんを抜くなんて一言も言っていないけど、まあ、いいや。サブマスとギルマスの抗議も、

「従魔が主の意向を無視して他者を優先したってことよね? 冒険者ギルドとして、見過ごしにするつもり?」

 一応正論を叩きつけて黙らせる。

 なんだか私が一方的に悪者になってるけど仕方がない。だって、このやり取り、前の町ジャスパーでもした記憶があるんだもん。

 ……お互いに、成長していないってことかなぁ?











「にゃにゃ~! にゃあ、にゃにゃあ!」
「ぷきゃあ……。ぷきゅ~、ぷきゅ………」
「ダメだ、姉貴! 俺の耳にはアリスがマジで怒ってるようにしか聞こえねぇ!」
「そんなことはわかってる! どうしたら怒りが解けるかを考えろ! じゃないとハクとライムの飯が……っ」

 ギルドマスタールームに響く、それぞれの嘆きや焦りの声。

 今、私はハクとライムの悲痛な鳴き声に絆されかかっている。でも、こういったことが今後も当たり前のように繰り返されるのは受け入れがたい……。ということで、内心の思いを隠しながら、

 ❝私は怒っている。ライムがギルマスのデスクの上にひっそりと置いた<信認証>をさっさと破り捨て、この話をなかったことにしてから私を解放しろ❞

 と見えるようにポーズを作っているんだけど、ギルマスもサブマスも、どちらも<信認証>をチラチラと困ったように見るだけで、私に受け取らせようという姿勢に変わりはないらしい。

 ああ、もう、仕方がないな……。

 穏便にこの部屋を出ることを諦めた私は大きなため息を1つだけ落とすと、何も言わずにドアへと向かう。

 ❝立つ鳥跡を濁さず❞って言うけど、仕方がないよね? なんて自分に言い訳をしながらドアに手を掛けると、

 ❝コンコンコンコン❞
「失礼します」

 ディアーナの声が聞こえてきた。一瞬、天の助け?と思ったんだけど、

「アリスはまだこちらでしょうか? ご領主さまの使いの方がお見えなのですが」

 どうやらそうではないらしい。

 領主ルクレツィオさんからのお使い? 大事でなければ良いんだけど……。
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