12 / 37
第2章 幽霊屋台を追いかけて
6.寂れたコンビニ
しおりを挟む
(まずい、地図の方に集中していて、いつも神様に話す感じで敬語になってしまった……)
『え~っと……なんか仕事モードになってたみたいだ。ごめんごめん。あ、あのコンビニに停めよう』
私はひきつった笑みを浮かべながら誤魔化すと、左手に見えてきたコンビニエンスストアを指差した。
駐車スペースに車は一台も停まっていない。私と宵山は神様を車に置いたままコンビニへと向かった。
神様を連れて行くと、様々な食品が集結している店内ではしゃぎ回ってしまうので、いつまでも車に戻れなくなる恐れがあった。
普段なら力尽くでひっぺがせるが、今日は宵山が一緒なのでそうもいかない。
車から降りると、外はかなり冷え込んでいた。海風のせいなのだろうか。何だか風が冷たく感じる。コートの襟元を押さえながら、我々は足早に店に向かった。
「ヒガシマート」
入り口上の古くかすれた看板が目に入ったが、聞いた事のない名前だった。恐らく、どこかのチェーンの加盟店ではなく、地元の個人商店をコンビニ風に改装したものなのだろう。
店内を見渡しても、私達の他に客はおらず閑古鳥が鳴いていた。
品揃えを見ても、大手メーカーの製造した商品は殆ど見当たらず、簡易に包装された手作り風の菓子や弁当、野菜などが並んでいた。地方の道の駅のような雰囲気だ。
『なんだか、がらんとしているな』
宵山が呟きながら奥へと歩いて行く。
私は神様のリクエストに従い、ツナマヨと焼きたらこのおにぎりを手に取った。レジ前に向かうと、ホットスナック売り場に焼き鳥が並んでいたので、それを二本と温かいお茶を買う。
『相変わらず、食が細いな~』
後ろに並んだ宵山はそう言いながら、生姜焼き弁当と焼きそばパン、お茶を購入し、我々は揃って店を出た。
学生時代から宵山は良く食べる。体育教師として毎日身体も動かしているので、今もその食欲は筋肉と共に健在のようだ。
対して、自身の小食については、「低燃費」という良い感じの言い方に置き換える作戦を取りつつ、私は誰に弁解するでもなく車内へと戻った。
『え~っと……なんか仕事モードになってたみたいだ。ごめんごめん。あ、あのコンビニに停めよう』
私はひきつった笑みを浮かべながら誤魔化すと、左手に見えてきたコンビニエンスストアを指差した。
駐車スペースに車は一台も停まっていない。私と宵山は神様を車に置いたままコンビニへと向かった。
神様を連れて行くと、様々な食品が集結している店内ではしゃぎ回ってしまうので、いつまでも車に戻れなくなる恐れがあった。
普段なら力尽くでひっぺがせるが、今日は宵山が一緒なのでそうもいかない。
車から降りると、外はかなり冷え込んでいた。海風のせいなのだろうか。何だか風が冷たく感じる。コートの襟元を押さえながら、我々は足早に店に向かった。
「ヒガシマート」
入り口上の古くかすれた看板が目に入ったが、聞いた事のない名前だった。恐らく、どこかのチェーンの加盟店ではなく、地元の個人商店をコンビニ風に改装したものなのだろう。
店内を見渡しても、私達の他に客はおらず閑古鳥が鳴いていた。
品揃えを見ても、大手メーカーの製造した商品は殆ど見当たらず、簡易に包装された手作り風の菓子や弁当、野菜などが並んでいた。地方の道の駅のような雰囲気だ。
『なんだか、がらんとしているな』
宵山が呟きながら奥へと歩いて行く。
私は神様のリクエストに従い、ツナマヨと焼きたらこのおにぎりを手に取った。レジ前に向かうと、ホットスナック売り場に焼き鳥が並んでいたので、それを二本と温かいお茶を買う。
『相変わらず、食が細いな~』
後ろに並んだ宵山はそう言いながら、生姜焼き弁当と焼きそばパン、お茶を購入し、我々は揃って店を出た。
学生時代から宵山は良く食べる。体育教師として毎日身体も動かしているので、今もその食欲は筋肉と共に健在のようだ。
対して、自身の小食については、「低燃費」という良い感じの言い方に置き換える作戦を取りつつ、私は誰に弁解するでもなく車内へと戻った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
時戻りのカノン
臣桜
恋愛
将来有望なピアニストだった花音は、世界的なコンクールを前にして事故に遭い、ピアニストとしての人生を諦めてしまった。地元で平凡な会社員として働いていた彼女は、事故からすれ違ってしまった祖母をも喪ってしまう。後悔にさいなまれる花音のもとに、祖母からの手紙が届く。手紙には、自宅にある練習室室Cのピアノを弾けば、女の子の霊が力を貸してくれるかもしれないとあった。やり直したいと思った花音は、トラウマを克服してピアノを弾き過去に戻る。やり直しの人生で秀真という男性に会い、恋をするが――。
※ 表紙はニジジャーニーで生成しました
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる