護堂先生と神様のごはん 幽霊屋台は薄暮を彷徨う

栗槙ひので

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第2章 幽霊屋台を追いかけて

6.寂れたコンビニ

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(まずい、地図の方に集中していて、いつも神様に話す感じで敬語になってしまった……)

『え~っと……なんか仕事モードになってたみたいだ。ごめんごめん。あ、あのコンビニに停めよう』

 私はひきつった笑みを浮かべながら誤魔化すと、左手に見えてきたコンビニエンスストアを指差した。

 駐車スペースに車は一台も停まっていない。私と宵山は神様を車に置いたままコンビニへと向かった。
 神様を連れて行くと、様々な食品が集結している店内ではしゃぎ回ってしまうので、いつまでも車に戻れなくなる恐れがあった。

 普段なら力尽くでひっぺがせるが、今日は宵山が一緒なのでそうもいかない。

 車から降りると、外はかなり冷え込んでいた。海風のせいなのだろうか。何だか風が冷たく感じる。コートの襟元を押さえながら、我々は足早に店に向かった。

 「ヒガシマート」

 入り口上の古くかすれた看板が目に入ったが、聞いた事のない名前だった。恐らく、どこかのチェーンの加盟店ではなく、地元の個人商店をコンビニ風に改装したものなのだろう。
 店内を見渡しても、私達の他に客はおらず閑古鳥が鳴いていた。

 品揃えを見ても、大手メーカーの製造した商品は殆ど見当たらず、簡易に包装された手作り風の菓子や弁当、野菜などが並んでいた。地方の道の駅のような雰囲気だ。

『なんだか、がらんとしているな』

 宵山が呟きながら奥へと歩いて行く。
 私は神様のリクエストに従い、ツナマヨと焼きたらこのおにぎりを手に取った。レジ前に向かうと、ホットスナック売り場に焼き鳥が並んでいたので、それを二本と温かいお茶を買う。

『相変わらず、食が細いな~』

 後ろに並んだ宵山はそう言いながら、生姜焼き弁当と焼きそばパン、お茶を購入し、我々は揃って店を出た。

 学生時代から宵山は良く食べる。体育教師として毎日身体も動かしているので、今もその食欲は筋肉と共に健在のようだ。

 対して、自身の小食については、「低燃費」という良い感じの言い方に置き換える作戦を取りつつ、私は誰に弁解するでもなく車内へと戻った。
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