護堂先生と神様のごはん 幽霊屋台は薄暮を彷徨う

栗槙ひので

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第3章 墓場とラーメン

5.とりあえず一杯

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『いや、本当じゃろうな。お前さん、本業は死神じゃろう?』

 神様はカウンターの奥に立て掛けてあるものを指差す。そこには大きな鎌が立て掛けられていた。うちの生徒達の平均身長くらいありそうだ。
 確かにこんなサイズの鎌は死神くらいしか持っていないだろう。


 というか、

『死神ってなんですか!? まず、死神が居るって事と、割と物静かに応対してくれてる事と、ラーメン屋台を営業してる事と、驚きポイントが多すぎですよ!?』

 前に私の生活について「田舎ライフを満喫している」等と偉そうな事を言ったが、面妖な災難に巻き込まれ続けているの間違いだったので、謝罪して訂正しておく。

『まあまあ、落ち着かんか。ほれ、出来たようじゃぞ』

 思わず立ち上がった私をなだめつつ、神様は箸を取り上げた。

 ふと横を見ると、いつの間にかカウンターには美味しそうな醤油ラーメンが二つ並んでいる。



 黄金色のスープに浮かぶ煮卵とチャーシュー、湯気と共に漂う醤油の香りはなんとも美味しそうだ。しかし、

『し、死神の作った料理なんて食べて大丈夫でしょうか……』

『体験者達がこぞって、また食いたいと言うとるくらいじゃ、平気じゃろう』

 神様はそう言うと、すぐに卵色のちぢれ麺をずるずると啜り上げた。

『おお、美味い美味い♪』

 あんまり美味しそうに食べるので、私も我慢出来ず、つい箸に手を伸ばしてしまう。
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