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第一幕:双翼の出会い
007非力な戦闘巧者
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ヒトが投げたまっすぐに飛ぶ剣は、槍の突きと同じ点の攻撃。
故に射線をずらすだけで回避が可能となる。
しかも槍のように手元で操作していないから、投げ込まれる剣を避けるのは距離があるほどに容易い。
そんな見せ掛けだけの攻撃の回避に移った火竜に、ヒトは新たに魔法を繰り出した。
一つ目は高圧縮の水で作った槍。
二つ目は空間を冷やす凍結の魔法。
三つ目は火竜へと向かう収縮の力場。
同時に三つの魔法を、空を舞う火竜目掛けて殺到させた。
ヒトの身に余る魔法行使と射程は今に始まったものではないが、それにしても流麗な魔力運用だな。
対する火竜は何も考えず、<ははっ!>と一笑して正面から突っ切った。
槍のようにただ圧縮しただけの水では竜種の強靭な鱗を破ることは難しい。
それが体躯が高温の熱を持つ火竜であればなおさらで、着弾した水槍は瞬時に蒸発してしまうだろう。
そこに冷やす魔法を重ねたところで大して変わらず、あわよくば表皮の熱を若干奪える程度。
火竜へ向かう力場に至っては、収縮するより離脱速度が高ければ意味が無い。
だから火竜のように正面から突っ切るのは悪くない手で、むしろ最短で敵に迫れるので最良とも言えるだろう。
しかし、火竜に着弾した魔法により、空中に巨大な蒸気の華が開いたことで、我はヒトの勝利を確信する。
水槍は生成した水を火竜に当てて蒸発させ、冷気は蒸発した湯気を冷却して水に戻すため。
そして収縮の力場は、凍える水を熱い火竜に改めて纏わせ、何度も何度も水を気化し続け熱を奪う。
まったく、よくできた魔法だ。
一つ一つの効果だと、火竜は何ら困らない。
しかし、初撃の水槍を回避しなかったことで完成した、この『極寒の檻』に囚われた火竜は、周囲に放っていた熱だけでなく全てを奪い尽くされる。
それは体躯を動かすのに最低限必要な熱までもを強引に根こそぎ。
なるほど、溶岩の鎖を瞬時に冷やしたのはこれかと我は得心した。
以前の魔法はもっと規模が小さく、発動も一瞬のみだったので気付かなかったのだろう。
火竜の体躯は我の四倍はあるからな。
我がそんな納得をしていると、意識を逸らすために投げた剣が力場に引かれて火竜へと到達した。
いや、違うか…ここまで見越して投げ込んだはずだ。
でなければ牽制ごときにいきなり主武器をあの者は捨てたりしない。
ただ………その剣が、奇しくも空を行くための翼の根元に突き刺さったのは偶然だろうが。
<馬鹿な!!>
急激に熱を奪われて体躯が動かず、しかも翼まで傷付けられた火竜は落下しながら呻いていたが、今更遅すぎる感想だった。
そして余りにも悠長な竜に対して『馬鹿なのはお前だろう』という思いしか、我には無かった。
それだから火竜は墜落の憂き目に遭うのだ。
「馬鹿はお前だ。
じゃぁな、お前の骸は俺達矮小な人ごときが、生活するために使わせてもらおう」
地面に激突した火竜の眼前に立ち、奪われた体温が戻る前に予備の剣で額を貫く。
何かしらの術式が編まれていたのは間違いなく、ただの補助武器がすんなりと突き刺さった。
頭を壊されてはどうしようもない。
我との戦闘時間よりも遥かに短く、ただの一合すらも打ち合えない余りの竜の弱さに我は嘆息してしまう。
これが我の上位種か、と。
そして浮かび上がった疑問をぶつけた。
<何故その技を我に使わない?>
「おぉ、お前喋れるのか」
戦い続けた我等が交わした初めての会話は、非常に残念で気の抜けたものだった。
故に射線をずらすだけで回避が可能となる。
しかも槍のように手元で操作していないから、投げ込まれる剣を避けるのは距離があるほどに容易い。
そんな見せ掛けだけの攻撃の回避に移った火竜に、ヒトは新たに魔法を繰り出した。
一つ目は高圧縮の水で作った槍。
二つ目は空間を冷やす凍結の魔法。
三つ目は火竜へと向かう収縮の力場。
同時に三つの魔法を、空を舞う火竜目掛けて殺到させた。
ヒトの身に余る魔法行使と射程は今に始まったものではないが、それにしても流麗な魔力運用だな。
対する火竜は何も考えず、<ははっ!>と一笑して正面から突っ切った。
槍のようにただ圧縮しただけの水では竜種の強靭な鱗を破ることは難しい。
それが体躯が高温の熱を持つ火竜であればなおさらで、着弾した水槍は瞬時に蒸発してしまうだろう。
そこに冷やす魔法を重ねたところで大して変わらず、あわよくば表皮の熱を若干奪える程度。
火竜へ向かう力場に至っては、収縮するより離脱速度が高ければ意味が無い。
だから火竜のように正面から突っ切るのは悪くない手で、むしろ最短で敵に迫れるので最良とも言えるだろう。
しかし、火竜に着弾した魔法により、空中に巨大な蒸気の華が開いたことで、我はヒトの勝利を確信する。
水槍は生成した水を火竜に当てて蒸発させ、冷気は蒸発した湯気を冷却して水に戻すため。
そして収縮の力場は、凍える水を熱い火竜に改めて纏わせ、何度も何度も水を気化し続け熱を奪う。
まったく、よくできた魔法だ。
一つ一つの効果だと、火竜は何ら困らない。
しかし、初撃の水槍を回避しなかったことで完成した、この『極寒の檻』に囚われた火竜は、周囲に放っていた熱だけでなく全てを奪い尽くされる。
それは体躯を動かすのに最低限必要な熱までもを強引に根こそぎ。
なるほど、溶岩の鎖を瞬時に冷やしたのはこれかと我は得心した。
以前の魔法はもっと規模が小さく、発動も一瞬のみだったので気付かなかったのだろう。
火竜の体躯は我の四倍はあるからな。
我がそんな納得をしていると、意識を逸らすために投げた剣が力場に引かれて火竜へと到達した。
いや、違うか…ここまで見越して投げ込んだはずだ。
でなければ牽制ごときにいきなり主武器をあの者は捨てたりしない。
ただ………その剣が、奇しくも空を行くための翼の根元に突き刺さったのは偶然だろうが。
<馬鹿な!!>
急激に熱を奪われて体躯が動かず、しかも翼まで傷付けられた火竜は落下しながら呻いていたが、今更遅すぎる感想だった。
そして余りにも悠長な竜に対して『馬鹿なのはお前だろう』という思いしか、我には無かった。
それだから火竜は墜落の憂き目に遭うのだ。
「馬鹿はお前だ。
じゃぁな、お前の骸は俺達矮小な人ごときが、生活するために使わせてもらおう」
地面に激突した火竜の眼前に立ち、奪われた体温が戻る前に予備の剣で額を貫く。
何かしらの術式が編まれていたのは間違いなく、ただの補助武器がすんなりと突き刺さった。
頭を壊されてはどうしようもない。
我との戦闘時間よりも遥かに短く、ただの一合すらも打ち合えない余りの竜の弱さに我は嘆息してしまう。
これが我の上位種か、と。
そして浮かび上がった疑問をぶつけた。
<何故その技を我に使わない?>
「おぉ、お前喋れるのか」
戦い続けた我等が交わした初めての会話は、非常に残念で気の抜けたものだった。
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