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しおりを挟む僕が外に出るのを渋っているとそれぞれの衣装に着替えた女子が僕の両腕を掴み外へ連れ出す
「やっぱ無理!やっぱ無理!!」
「千秋さん、そんなこと言って男らしくないですよ
って今は女の子かあ」
「千秋ちゃん、もうちょっと女の子らしく歩いてよね!!」
「やだやだ!!」
腕を組まれ逃げる術を失った僕はだらんと項垂れることしかできない
「ちょっと可愛いお顔を周りに見せてあげてください」
後輩が僕の頭を掴み、無理矢理前を向かせる
え?本当に後輩?
泣きそうなのを抑えて少しだけ前を向くと色んな人の視線が向けられている
やっぱり気持ち悪い?男ってバレてる?
早く戻りたい…
お金に釣られて引き受けなければ良かった…
「よかったら来てください~」
「すぐ入れますよ」
隣の女子たちは積極的に声かけをするから余計目立つ
僕は下を俯きつつ首に下げてる看板で顔を隠すと女子達が再び詰め寄ってきた
「ちょっと千秋さん!何やってるんですか!せっかく可愛いのに!」
「や、やめて!
あとちょっと2人に相談あるんだけどさ」
「何?」
「千秋だとバレちゃうかもしれないから今だけ偽名で呼んでくれない??」
僕の面影が少しでも残っている限りは不安だ
「偽名~?」
後輩の女の子が僕の顔をじっと見て考える
「じゃあ千夏ちゃんとかどうですか!?」
「あ、それ可愛いね!
センスある!」
センスあるじゃないよ…
どんどん立場がなくなっていく
「じゃあ千秋ちゃん改め千夏ちゃんで!」
「はい…」
「じゃあ千夏ちゃん、その看板貸して」
「え?」
首にかけてた看板をとりあえず渡すと、次はチラシを渡される
「え?僕が渡すの?!」
「そう!その方が経済効果あるでしょ」
「ほら!早速前から20代前半学生と思われる男性4人が歩いてきましたよ!!
さあ!行って!」
背中を勢いよく押され、その人達の前に立ってしまう
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