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しおりを挟む狭い部屋の中、りっくんを特別待遇する女子たち
お陰で男の僕たちは座っていた椅子を強引に立たされて、女子たちがりっくんを囲んで座っている後ろに立つような形になり、不満げな顔をした男子軍は一斉に僕を睨んだ
僕はジェスチャーで必死に誘ったのはウッチーだと伝えるけど、そのジェスチャーも全く意味をなさず、睨まれ続けた
「あの…律先輩は好みのタイプとかありますか??」
机の上で組んだ手を顎について、上目遣いをしながら訪ねる
彼女たちのこんな姿を僕たちは見たことがない
「タイプ??
好きになった人がタイプかな…?」
「「「ですよね~」」」
女子たちが声をそろえて、とろけそうな顔でりっくんを見る
「あ、そういえば、私ちょっと聞いてみたいんですけど、この人とか可愛いと思いません??」
後輩の1人がスマホを取り出し、りっくんに画面を向ける
りっくんはその画面を見て、一瞬だけ目を丸くした
「かっ、わいいね…」
明らかに動揺したその様子に女子たちがニヤニヤしながら、僕へと顔を向けた
何か企んでいるのではないのかと、ソワソワしてきたため、僕も画面を覗こうとするも隠される
「な、なに!
何で僕の方見るの?!」
「山岡先輩もこの人可愛いと思いますよね??」
こちらに向けられた画面に目を向けると、そこには文化祭の時に撮られた僕の女装姿が写っていた
「ばっ!!え?!
ちょっ!?!何見せてるの?!?!」
僕が慌てる様子を見て、女子たちは顔を机に伏せて笑いを堪えている
まさか、こんなところで見せられるとは思ってなかった
もう数ヶ月前のことだし、だいぶ油断をしていた
自分のフォルダには残っていないけど、確かに何枚か写真を撮られていたような気がする
今更になってぶり返してくる恥ずかしさに、顔に熱が集中してきた
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