178 / 256
11
しおりを挟む「早く新しい恋人作ればいいじゃん…」
「…ねえ、それ本当に言ってるの?
俺本気にするよ?」
さっきまで困った顔をしていたのに、次はイラついたように眉間に皺を寄せた
「ほ、本当だって…」
「ちょっとお二人さん!
こんなところで喧嘩はやめてちょうだい」
後ろから声がしたため、振り返ると片手に臣の靴を持った春也が駆け寄ってきた
「おまえさ、裸足で外出るとか必死すぎ
陸上の代表でもそんなトレーニングしねえよ?」
はあはあと乱れた呼吸を整えながら、臣の足元へと乱暴に靴を投げた
「千秋もいったん落ち着こう
臣もあんなの本心じゃないっしょ
恋人の話をさ友達の前でするのも恥ずかしい時あるのよ
わかってあげて」
春也はの元に近づき、警戒する猫を宥めるように顎を指先で撫でる
「やめて」
「やめませーん、千秋怒んないで
アイス買ってあげたら機嫌直す?
今なら2本サービスしてあげる、どう?
千秋だけに買ってあげるよ」
「子供じゃない」
春也は眉を8の字に曲げながら微笑むと、顎を撫でいた指先を僕の膨らんだ頬に移し、片手で挟んで潰す
僕の口の中の空気がプシューと唇の隙間から漏れていった
「触んな」
臣が春也の手を払い、僕の目の前に立つ
身長差があるから目の前で見下ろされるとそれなりに威圧感がある
「臣ごめんね」
「何が」
投げやるような口調で僕が言葉を放っていくため、隣で僕たちを見守る春也がヒヤヒヤとした表情で僕たちをみているのが目に入った
これ以上は油を注がないでくれというように目で訴えてくる
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
646
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる