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しおりを挟む「ずっと僕に不満があったんでしょ?
それなのに付き合ってくれる臣はほんっとうに優しいね」
抑えたつもりがだいぶ嫌味ぽくなってしまい
臣の眉間の皺が深くなるのがわかった
「なんでそんなこと言えんの?
今までの俺の行動見てそう言ってんの?俺なりに今までの恋人より1番大切にしてきたんだけど伝わってなかった?」
「じゃあ何であんなこと言うの…」
「いやいや、千秋
臣の味方するわけじゃないけどさ、こいつ俺の前ではえぐいくらい惚気るよ
千秋の話ばっかするしさ、うるさいのよ」
春也のフォローも虚しく、全く僕に響かない
話している間に鼻の奥がツンと痛くなり、僕の目の前はどんどんぼやけていき、溢れそうな涙を必死に堪える
臣がそれに気づいて、いつものように溢れそうになった涙を拭ってくれようと手を伸ばしてこようとするけどその手も払った
「よっしゃ、一旦ストップ
このままじゃ戦争に持ち込まれるよ」
春は両手をパンと叩き、僕たちの間に入って臣と僕の肩を押してお互いの距離を離す
「臣も誤解があるんしょ?
それ千秋くんに説明してあげないと、外暑いしさ臣の部屋の中に戻って話そ
あいつらにも帰って貰えば良いし」
「いいよ、悪いし…
帰る…」
「ちょ、この状況でそれ言う??
とりあえず話そう」
僕は足を自分の家に帰る方向に向けて歩き出そうとすると、デカい男が長い足を使ってこっちに向かってゆっくりと歩いてくる
片手には有名洋服ブランドのおしゃれな袋が握られていた
僕たちを見つけた途端、立ち止まった
「おい!早く来いや!」
春也が呼びかけると僕たちに背を向けて、来た道とは逆に歩き出そうとするため、春也が駆け寄って男の腕を掴み強引に引っ張って来た
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