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しおりを挟むレジの前に立ち春也の横に並ぶと、肩を春也とは反対側へと押される。
「ちょっとなに、近づくなとか子供みたいなことしないでよ
そんな小学生みたいな意地悪するから女の子に振られちゃうんだよ」
「おい、口に気をつけな
お嬢ちゃん」
春也は僕の言葉に眉を顰めて、片手で僕の頬を挟んだ。
春也の手首を掴んで、払おうとするもよっぽど恨みを買ってしまったのか力が強くてどかせない。
「おひょうひゃんにゃにゃい(お嬢ちゃんじゃない)」
「あ?なんて?」
春也の手がパッと離れて、ジンジンと痛む頬を手の甲で撫でる。
若い女性の店員さんが僕たちを交互に不思議そうな目で見ながら合計金額を告げる
よく聞こえなかったため、レジスターに映る合計金額を見ようとすると、春也の大きい体が僕の前にはばかる。
「ちょ!見えないって!」
春也の体をどかそうとするも全く動じず、ポケットの中からスマホを取り出すと、簡単に会計を済ましてしまった。
店員さんから袋に入った商品を受け取って、出口へと足速に向かうから、僕だけレジ前に取り残される。
目の前の女性店員さんとしばらく目があってなんだか気まずい気分にまでなってしまった。
すでに店の外に出てしまった春也の後を追うと、店の前で携帯をいじっていた。
ただ、たっているだけなのにいい男の雰囲気を感じさせてしまう春也に世の中は理不尽だと思う。
「なんで先行くの!」
「ごめんなさーい」
全く悪気のなく、気の抜けたような返事が返ってくる。
「絶対ごめんと思ってないじゃん!
あとおか」
「はい、どうぞ
千秋くん」
お金払うといおうとした瞬間、固い何かが唇に当てられた
反射的に口をすこし開くと、口の中にあまったるさが広がる
春也の指が唇をかすめて、少しだけ唇の端を撫でて離れていく。
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