【R18】平凡な男子が女好きのモテ男に告白したら…

押して引く(高校時代)

河田君とあの出来事があってから1カ月ほどが経った。

あれから河田君が僕に話しかけてくる様子はないし、僕も相変わらず河田君の前には姿を見せないようにした。

舞さんは僕を推し活に誘ってくるけど、河田くんのブラックリストに載ってしまったのだからもう近づくことはできない。

だけど、河田君を推したいという気持ちは変わらないため、河田君が授業でサッカーなどをしている時はつい見すぎてしまい、先生にはそんなに体育の授業を受けたいなら外に行けと怒られたくらいだ。

違う、僕は運動音痴だから体育なんか大嫌いだ。
サッカーなんて見ていてもルールなんてさっぱりわからないし、他のクラスの体育なんて一切見ない。

体育の授業を受ける河田君が好きなんだ。
できれば近くで観戦したい。
一緒のチームの人はなんて羨ましいんだろう。あんなかっこいい姿を近くで見られたらどれくらい幸せなんだろう。

外に集中しすぎて、授業が終わったことに気づかないなんてよくあることだ。


「おい、千秋
お前また外を見すぎて怒られてただろ
マジでどうしたの？最近のお前おかしいよ
今までだって授業真面目に受けてたじゃん」


いつもなら茶化してくる雅也が珍しく本気で心配してくる。

僕も高校3年生だ。

大学進学予定のため受験が待っている。好きな人が気になりすぎて勉強に集中出来なくて落ちましたなんて言ったら父さんはまだしも、母さんは怒りを爆発させるかもしれない。


「失恋のせいかな」


ヘラっと笑って答えると、雅也は眉を下げて困ったような表情をした。


「雅也
僕、好きな人のこと諦めるよ」

「え？まじ？！」


流石の雅也も驚いたようだった。
それもそのはずだ。振られても雅也にストーカーと呼ばれるほど追いかけ続けていたのだから。

きっと僕が諦めることはないと感じていたのかもしれない。


「うん、なんかこのままだとずっと追い続けちゃいそうだし、どこかで区切りつけないと」

「千秋、お前は大人になったな」

「なんだろう、雅也に言われるとなんだかイラつくな」

「生意気なチビが！
じゃあ俺が慰め合コンセッティングしてやるからそこで今度こそ彼女作ればいいだろ。
恋を忘れるためには恋をする。」

「えー、また合コン？？
僕、もう合コンはいいよ…
この前のでこりごり。どうせ僕が選ばれることなんてわかってるんだから。」

「まあ、いいだろ
俺の引き立て役になってくれ」

「結局、それが目的じゃん！！」


雅也を睨みつけると、足早に自分の席へと戻っていった。合コンはもうやりたくない…とは思うけど舞さんの例みたいに友達ができるかもしれないし、河田君を忘れられるいい機会かもしれない