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しおりを挟む「否定しないんだ?」
蓮介くんはヘラヘラと笑いながら聞いてくる。
「じゃあさ、環のどこを好きになったの?」
「え……?」
「やっぱ顔でしょ?
てか、顔しか見てないでしょ?」
口元は笑っているのに、目はまったく笑っていなかった。
「私が伊藤くんを好きかどうかは別として……彼の“いいな”って思うところはたくさんあるよ?」
「例えば?」
「私なんかに優しくしてくれるところ、とか……」
「え、それだけ?」
「ううん、それだけじゃないよ。
気遣いができるところとか……。そういうのって、人のことをちゃんと見てないとできないと思うから。
そういう面も含めて……好きなのかもしれない」
言い終わってから、はっとする。
——あれ?
今、私……“好き”って言った?
あまりにも自然に出てきた言葉に、自分で驚く。
まだ会って三回目なのに。私、単純すぎない……?
「あっそ。どうせ顔だけなのかと思ってた」
蓮介くんはどこか腑に落ちないような顔で私を見る。
その視線は少し怖いのに、不思議と色気が滲んでいる。
「だってさ」
一歩、距離を詰めてくる。
「今、俺があんたにこうやって近づいたら、一瞬で落ちるかもしれないじゃん」
「え?」
気づいたときには、腰に腕を回されていた。
一気に距離が縮まる。
「ど、どうしたの?」
「あんま、こういうことしたくないけどさ」
ぐっと引き寄せられ、顔が近づく。
「ちょ、ちょっと蓮介くんっ」
「なに?」
「近い……」
俯いた私の顔を、下から覗き込む。
その瞬間、脇腹あたりに違和感が走った。
視線を落とすと、蓮介くんが私の脇腹の肉を指で摘んでいる。
「きゃ!」
「すごいお肉だねぇ。
意外と気持ちいいわ」
「だ、だめ!」
子どもを叱るみたいに声を出し、蓮介くんの手の甲を軽く叩く。
すると、あっさりと距離を取った。
「どう? ドキドキした?」
「しません!」
即答すると、蓮介くんは子どもみたいな笑顔を浮かべる。
「ユイさんのお肉、気持ちいいね。
周り、細い女しかいないから新鮮」
さりげなく嫌味を言われたような気がするけど……気のせいだろうか。
確かに、モデルの世界なら細い女の子ばかりだろうし、蓮介くん自身もイケメンだから、そういう子ばかりが寄ってくるのかもしれない。
蓮介くんは懲りずに、もう一度お腹に手を伸ばしてくる。
私はさっと後ろへ下がり、距離を取った。
「あ、俺の携帯にも環から連絡きた」
「早く出ないの?」
「んー、もうちょっと遊んでもいいかなあ
ユイさんあっちにサメ見に行こう~
俺サメ好きなんだ。」
蓮介くんに背中を押される。進んでいる途中で携帯のバイブレーション鳴る。
「ちょ、ちょっと待って」
携帯を取り出し確認してみると案の定伊藤君からだ。
だが、電話に出ようとすると携帯を取られてしまった。
「あ!!」
「これから鬼ごっこでもしようよ」
蓮介くんの顔は実に楽しそうだ。さっきはあんな冷たい表情浮かべてたのに。
何を考えているのかが全然読めない。
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